これまでUK盤を皮切りにデンマーク盤、インド盤、ドイツ盤、オーストラリア盤と、良い音でビートルズを聴きたい一心で色んな国のレコードを買ってきた。その大半は十分傾聴に値する各国独自の音作りがなされており、UKオリジナル盤との聴き比べやら何やらで大いに楽しませてもらったが、上記の国々に続いて私が目を付けたのがガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」でも高く評価されていたニュージーランド盤だ。
以前に行ったアルバム「ヘイ・ジュード」の各国盤聴き比べにおいてもUKオリジナル盤に勝るとも劣らない音を聴かせたNZ盤は私にとってまさに “ビートルズの高音質盤最後の秘境” と言っても過言ではなく、一体どんな音が聴けるのかワクワクドキドキさせてくれる存在だ。私のターゲットはもちろん60年代にプレスされた初回盤で、「アナログ・ミステリー・ツアー」で “一音一音の細部まで手に取るようにわかる、ニュアンスに満ちた繊細な音” といって絶賛されていた70年代や80年代プレスのNZシルヴァー・パーロフォン盤はパス。“繊細な音” が聴きたければそれこそハイレゾでも聴いてればいいと思うし、ビートルズの熱いロックンロールは60年代の 1stプレス盤をヴィンテージ・オーディオ装置で聴くのがベストと固く信じている私にとって、70年代以降にリリースされた有象無象の再発盤なんぞ無用の長物だ。
NZ盤1stプレスのセンター・レーベルは「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ア・ハード・デイズ・ナイト」までがブラック・パーロフォン(黒パロ)で、「ビートルズ・フォー・セール」から「サージェント・ペパーズ」までがブルー・パーロフォン(青パロ)、そして「ホワイト・アルバム」以降がアップルになっているのだが、いざネットオークションでNZ盤をチェックしてみても、人口が少ないせいでプレス枚数が少ないからか、どのレコードも中々市場に出てこない。特に、状態の良い黒パロ盤を探すのは至難の業なのだが、最近ラッキーなことに「プリーズ・プリーズ・ミー」と「ア・ハード・デイズ・ナイト」の2枚を手に入れることが出来たので、今日はその2枚を取り上げよう。
①Please Please Me [PMCM-1202]
実はこの8月に大腸内視鏡検査を受けたのだが、腸を空っぽにするために1.5リットルも下剤を飲まされるという生き地獄を味わい、ボロ雑巾のようになって帰宅した私を待っていたのが “ほしい物リストのアイテム1点が出品されています” という Discogs からのメール。開いてみると何と入手困難なNZ黒パロ盤「プリーズ・プリーズ・ミー」がNZ$39(約3,200円)という信じられないような安値で出ているではないか! まさに地獄から天国とはこのことで、テンションが一気にMAXまで急上昇(笑) 垂涎盤入手の高揚感でポリープなんか消し飛んでしまうのがレコード・コレクターという人種なのだ。
しかし一体何でこんなに安いんや??? と思ってよくよく見ると、盤質がVGでジャケットがGとなっている。Gはさすがにちょっとキツイかもしれんなぁと思ったが、これまで何度も買っている旧知のセラーだったのでダメ元で写真をメールで送ってもらったところ、ジャケットの方はかなりくたびれてはいるが十分許容範囲内。問題なのはレコード本体の方で、A②を縦断するように走る傷が白っぽく光っている。あまり出てこない盤なので出来ればこのチャンスを逃したくはないが、かと言ってあの不気味に白く光る傷が気になって中々購入に踏み切れない。
困った私は友人であり師匠でもあるplincoさんに画像を添付したメールを送って意見を伺ったところ、「光の加減で何とも言えんけど、確かにちょっとヤバそうな傷やね。でもその値段やったら稀少盤の filler(埋め草)として取りあえず買っとくというのもアリかも...」というアドバイスを頂き、迷いが吹っ切れた私は即買いを決めた。
届いた盤を恐る恐るかけてみたところ、確かにA②ではポツッポツッと周期的にノイズが入るがそれほど酷くはなかったし、それ以外ではA①前とA⑦前の無音部分でボン!という大き目のノイズが入るぐらいで曲に被っていないので私的には全然OKだ。音の傾向としてはコンプ感が弱めで、UK盤で言うと金パロの凶暴性(笑)を少し緩和してバランスを整えたような感じ。黄パロの低域をスッキリさせたようなサウンドと言ってもいいかもしれない。これが3,200円だなんてめっちゃ得した気分だ。背中を押して下さったplincoさん、どうもありがとうございました(^.^)
②A Hard Day's Night [PMCM-1230]
この「ハード・デイズ・ナイト」のNZ盤、他国盤とは違ってジャケットのタイトルロゴが赤色ではなく白抜きになっているのが新鮮に映るのだが、何より面白かったのがスパイン(背表紙)部分のタイトル表記が A HARD NIGHT'S DAY になっていたこと。ネイティヴでもこんなアホなミスをするんやね...(^.^)
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音の方も個性的で、音圧がそれほど高くないせいもあってかガツン!とくるサウンドではUK盤に一歩譲るが、バックの演奏がやや引っ込み気味な分だけ天才シンガー、ジョン・レノンの歌声が際立って聞こえるので、ヴォーカル・グループとしてのビートルズの魅力を味わいたいのならこのNZ盤が良いかもしれない。「アナログ・ミステリー・ツアー」には “倍音全開でコーラスを切なく聴かせる、いわばジョンのボーカルの「女心」にスポットを当てた音で、ビートルズをぴんからトリオ的に捉えたNZ盤の視点は当然評価されてしかるべき” と書いてあり、最初は何を言いたいのかサッパリ分からなかったが、実際に聴いてみて著者の言わんとする所がようやく理解できた。私はビートルズの若さ溢れるエネルギーの爆発を全身で浴びたい時にはUK盤を、歌手ジョン・レノンの天賦の才を思う存分に堪能したい時にはNZ盤を聴くようにしている。
このレコード、盤質表記はVGだったが “Have played both sides and although there're lots of light marks, low level crackle, plays really well.” という説明に嘘偽りはなく、ウチのシステムではEx+レベルの良い音で鳴ってくれたので大満足。これでNZ$60(約5,000円)なら安い買い物だ。こういう掘り出し物があるからビートルズの各国盤蒐集はやめられませんわ...(^o^)丿
以前に行ったアルバム「ヘイ・ジュード」の各国盤聴き比べにおいてもUKオリジナル盤に勝るとも劣らない音を聴かせたNZ盤は私にとってまさに “ビートルズの高音質盤最後の秘境” と言っても過言ではなく、一体どんな音が聴けるのかワクワクドキドキさせてくれる存在だ。私のターゲットはもちろん60年代にプレスされた初回盤で、「アナログ・ミステリー・ツアー」で “一音一音の細部まで手に取るようにわかる、ニュアンスに満ちた繊細な音” といって絶賛されていた70年代や80年代プレスのNZシルヴァー・パーロフォン盤はパス。“繊細な音” が聴きたければそれこそハイレゾでも聴いてればいいと思うし、ビートルズの熱いロックンロールは60年代の 1stプレス盤をヴィンテージ・オーディオ装置で聴くのがベストと固く信じている私にとって、70年代以降にリリースされた有象無象の再発盤なんぞ無用の長物だ。
NZ盤1stプレスのセンター・レーベルは「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ア・ハード・デイズ・ナイト」までがブラック・パーロフォン(黒パロ)で、「ビートルズ・フォー・セール」から「サージェント・ペパーズ」までがブルー・パーロフォン(青パロ)、そして「ホワイト・アルバム」以降がアップルになっているのだが、いざネットオークションでNZ盤をチェックしてみても、人口が少ないせいでプレス枚数が少ないからか、どのレコードも中々市場に出てこない。特に、状態の良い黒パロ盤を探すのは至難の業なのだが、最近ラッキーなことに「プリーズ・プリーズ・ミー」と「ア・ハード・デイズ・ナイト」の2枚を手に入れることが出来たので、今日はその2枚を取り上げよう。
①Please Please Me [PMCM-1202]
実はこの8月に大腸内視鏡検査を受けたのだが、腸を空っぽにするために1.5リットルも下剤を飲まされるという生き地獄を味わい、ボロ雑巾のようになって帰宅した私を待っていたのが “ほしい物リストのアイテム1点が出品されています” という Discogs からのメール。開いてみると何と入手困難なNZ黒パロ盤「プリーズ・プリーズ・ミー」がNZ$39(約3,200円)という信じられないような安値で出ているではないか! まさに地獄から天国とはこのことで、テンションが一気にMAXまで急上昇(笑) 垂涎盤入手の高揚感でポリープなんか消し飛んでしまうのがレコード・コレクターという人種なのだ。
しかし一体何でこんなに安いんや??? と思ってよくよく見ると、盤質がVGでジャケットがGとなっている。Gはさすがにちょっとキツイかもしれんなぁと思ったが、これまで何度も買っている旧知のセラーだったのでダメ元で写真をメールで送ってもらったところ、ジャケットの方はかなりくたびれてはいるが十分許容範囲内。問題なのはレコード本体の方で、A②を縦断するように走る傷が白っぽく光っている。あまり出てこない盤なので出来ればこのチャンスを逃したくはないが、かと言ってあの不気味に白く光る傷が気になって中々購入に踏み切れない。
困った私は友人であり師匠でもあるplincoさんに画像を添付したメールを送って意見を伺ったところ、「光の加減で何とも言えんけど、確かにちょっとヤバそうな傷やね。でもその値段やったら稀少盤の filler(埋め草)として取りあえず買っとくというのもアリかも...」というアドバイスを頂き、迷いが吹っ切れた私は即買いを決めた。
届いた盤を恐る恐るかけてみたところ、確かにA②ではポツッポツッと周期的にノイズが入るがそれほど酷くはなかったし、それ以外ではA①前とA⑦前の無音部分でボン!という大き目のノイズが入るぐらいで曲に被っていないので私的には全然OKだ。音の傾向としてはコンプ感が弱めで、UK盤で言うと金パロの凶暴性(笑)を少し緩和してバランスを整えたような感じ。黄パロの低域をスッキリさせたようなサウンドと言ってもいいかもしれない。これが3,200円だなんてめっちゃ得した気分だ。背中を押して下さったplincoさん、どうもありがとうございました(^.^)
②A Hard Day's Night [PMCM-1230]
この「ハード・デイズ・ナイト」のNZ盤、他国盤とは違ってジャケットのタイトルロゴが赤色ではなく白抜きになっているのが新鮮に映るのだが、何より面白かったのがスパイン(背表紙)部分のタイトル表記が A HARD NIGHT'S DAY になっていたこと。ネイティヴでもこんなアホなミスをするんやね...(^.^)

音の方も個性的で、音圧がそれほど高くないせいもあってかガツン!とくるサウンドではUK盤に一歩譲るが、バックの演奏がやや引っ込み気味な分だけ天才シンガー、ジョン・レノンの歌声が際立って聞こえるので、ヴォーカル・グループとしてのビートルズの魅力を味わいたいのならこのNZ盤が良いかもしれない。「アナログ・ミステリー・ツアー」には “倍音全開でコーラスを切なく聴かせる、いわばジョンのボーカルの「女心」にスポットを当てた音で、ビートルズをぴんからトリオ的に捉えたNZ盤の視点は当然評価されてしかるべき” と書いてあり、最初は何を言いたいのかサッパリ分からなかったが、実際に聴いてみて著者の言わんとする所がようやく理解できた。私はビートルズの若さ溢れるエネルギーの爆発を全身で浴びたい時にはUK盤を、歌手ジョン・レノンの天賦の才を思う存分に堪能したい時にはNZ盤を聴くようにしている。
このレコード、盤質表記はVGだったが “Have played both sides and although there're lots of light marks, low level crackle, plays really well.” という説明に嘘偽りはなく、ウチのシステムではEx+レベルの良い音で鳴ってくれたので大満足。これでNZ$60(約5,000円)なら安い買い物だ。こういう掘り出し物があるからビートルズの各国盤蒐集はやめられませんわ...(^o^)丿