3連休初日の昨日、うだるような暑さの中を901さんがレコードをたくさん抱えて我が家へ遊びに来て下さった。今年のゴールデン・ウイークに再開したオフ会の第2回目、“夏会 '24”である。今回のテーマは①スタンダード曲「Careless Love」聴き比べ、②ビル・エヴァンスの「Portrait In Jazz」聴き比べ、③「タンパのペッパー」を大音量で聴く... の3つだが、あとはその場の気分次第で何でもアリなのがこの会の良いところだ。
901さん:Shiotchさん、「Jazz Vintage Vinyl Want List」て知ってはる?
私:いいえ、知らないです。
901さん:ディスクユニオンが出してる廃盤買い取りリストなんやけど、ネットでも見れるから「Vol. 13」で検索してみて。ちょうどペッパーが特集されてるんよ。例の「タンパのペッパー」の買い取り価格が22万円やて!
私:ひょえ~、買い取りがそれやったら売り値は一体いくらぐらいになるんでしょうね? 普通は買い取り価格の3倍っていうのが目安でしょ?
901さん:そらもう数十万円はいくんとちゃう? “美品で楽譜2枚付き” やからそれだけの値段なんやろけどね。このレコードに元々楽譜が付いてたなんて、知ってはった?
私:楽譜の存在は知ってはいましたが、もちろんネットオークションでも見たことないです。まぁ自分は “生々しい音さえ聴ければ付属物なんて要らない派” なので楽譜には全然興味ないですけど。
901さん:でもShiotchさんお持ちの「イントロのペッパー」も買い取り22万円やし、そんな凄い盤をここの装置で聴かしてもらえるのホンマにありがたいですわ。
私:こちらこそ、901さんとアレやコレや喋りながらレコード聴くの、ホンマに楽しいんで。いつでも来て下さいや。
901さん:それと、「Vol. 12」の冊子がウチに2つあったので1つ差し上げようと思って持ってきましてん。モンクの特集ですわ。
私:うわぁ、ありがとうございます。貧乏なんで高いのはホイホイ買われへんけど(笑)こういうのは見てるだけで楽しいんでじっくり読ませてもらいます。それじゃあ早速「Careless Love」の特集から始めましょうか。
901さん:僕はちょっと変化球から行きますわ... レイ・チャールズの「Modern Sounds In Country And Western Music」です。
私:変化球どころか、いきなりド真ん中の直球ですやん。
901さん:この曲の次に入ってる「愛さずにいられない」はマーティ・ペイチが編曲やってますねん。
私:あの人、ピアニストというよりもアレンジャーの色が強いですからね。じゃあ私はナット・キング・コールで。「St. Louis Blues」っていうレコードです。
901さん:おお、これは珍しい。W.C.ハンディの曲をやってるんやね。
私:コールはハンディ役で彼の伝記映画に出てるんで、それでこのレコードを吹き込んだんでしょうね。あまり有名なレコードじゃありませんが、結構良いですよ、これ。
901さん:僕が次に出そうと思ってたレコードは「Louis Armstrong Plays W.C. Handy」なんやけど、このキング・コール盤と同じ曲が一杯入っる。「ハンディ集」が続くってすごい偶然!
私:ホンマですね。それにしてもレイ・チャールズに続いてサッチモって王道中の王道ですね。
901さん:まさに大御所やね。サッチモはあんまり聴かへんのやけど、こうやって聴くとやっぱりエエねぇ。音の張りが違うわ。モダン・ジャズにはない何かがあるねぇ。キング・コールとサッチモ続けて聴けるとこなんて、中々ないで。
私:ハハハ、確かに。じゃあ私も古いところでリー・ワイリーでいきましょうか。彼女のSP音源を集めた「Unforgettable」っていう国内盤コンピレーションなんですけど、温かみのある良い音がするので大好きなレコードです。
901さん:これは参りましたやなぁ。Shiotchさん、オリジナル盤だけやのうてこういうレコードもちゃんと聴いてるの、ホンマにエライと思うわ。昔、僕の友達がジャズの集まりに行ったんやけど、帰ってきて“二度と行くか!”って怒ってたんで何故か聞くと“オリジナル盤の自慢話ばっかり聞かされて気分悪かった” んやて。
私:わかります。そういう人、いっぱいいてますよね。まぁ自分はオリジナルかどうかよりも良い音で鳴ってくれるかどうかが大事なんで。生々しい音が聴けるんやったら2ndでも国内盤でも何でもエエんですわ。
901さん:なるほど。じゃあ次はインストでいきましょか。チェコのナイポンク・トリオ。これ十何年か前にイーベイで買ったんやけど、売り手がこのCDのプロデューサーで、“日本にいるあなたがよくぞこのCDを見つけてくれました...” っていうお礼のメモがCDと一緒に入っててビックリしましてん。どう、これ?
私:ヨーロッパとは思えないブルージーなピアノですね。こういうピアノ、大好きですわ。
901さん:正直言うて澤野のピアノトリオはもうウンザリ。どれを聴いてもみんな同じに聞こえるんで。こういうピアノトリオ出さんかい、って思うわ。
私:僕もあの金太郎飴みたいなピアノトリオには魅力を感じませんね。ジャズ・ピアノは黒人のグルーヴィーなノリが一番ですよ。ジョン・ライトとかジュニア・マンス系のヤツね。このピアノはまさにボビー・ティモンズ・リスペクトですね。
901さん:ホンマにこれよぉ聴いたわぁ。ジャズ・ピアノはこう弾けよ、っていう感じ。
私:何がきっかけでこれ見つけはったんですか。
901さん:実はこのジャケットなんですよ。
私:へぇ~、ヨーロッパのピアノトリオCDをジャケ買いってすごいですね。それじゃあ私は雰囲気をガラッと変えてコニー・フランシスの「Sings Folk Song Favorites」。
901さん:へぇ~、こんなとこに入ってんの? フォークソング集か。歌上手いねぇ。胸がすかっとするねぇ。コニー・フランシス一杯持ってはるの?
私:いえ、コニーはアルバムよりもシングル盤中心で持ってます。見ます?
901さん:わぁ、ジャケット自前で作ってるの凄いなぁ。
私:シングル盤ってジャケットが無いとレコード棚から取り出す時に区別つきにくくてめっちゃ不便じゃないですか。それで同タイトルの国内盤シングルのジャケット写真をネットで拾ってきて自分で作ったんです。以前の職場にたまたま珍しい高性能レーザープリンターがあったのがめっちゃラッキーでした。残念ながら今はもう無理ですけど。
901さん:なるほど。じゃあ次はディジー・ガレスピーの「New Wave」。ボサノバ集の中に何故かこの曲が入ってるという... これもあんまり聴くレコードやないんやけどね。ボサノバのボラ・セチっていうギタリストがここではエレキ弾かされてるのが聴き所です。ボラセチのエレキってここでしか聴けへんのでめっちゃ貴重ですよ。私の「Careless Love」はこれで終わりです。
私:じゃあ僕はローズマリー・クルーニーの「Thanks For Nothing」を。ビッグバンドをバックにアップテンポで歌ってて、このノリの良さがめっちゃ好きなんですよ。
901さん:この人、ハリー・ジェイムスともやってましたよね。ええレコードやわ。ジャケットもええね。
私:ゴージャスでしょ。リプリーズ・モノラルのサンプル盤って珍しいんです。
901さん:リプリーズのインナースリーヴも貴重やね。
私:ハハハ、確かに。次はテディ・キングです。
901さん:よぉこんなんオリジナルで持ってはるねぇ。これもインナースリーヴ付きや(笑) それにしても何でこの曲をやったんやろねぇ?
私:テディ・キングはリー・ワイリー直系の上品で優雅な歌唱スタイルなのでレコード会社がワイリーの曲を選んだ、ってどこかで読んだ記憶があります。
901さん: なるほどなぁ、勉強なるわ。
私:次は思いっ切り変化球でディック・ミネ。
901さん:へぇ~、これ何年の?
私:1935年やったと思います。リー・ワイリー版のSPが出た次の年ですね。
901さん:エエ曲一杯やってるやん... よかったらついでにこの「君微笑めば」も聞かしてくれる? 【♪~】おぉ、ハワイアンやん! 録音状態エエねぇ。スチールギターにやられてしまうわ。この曲、次の時に特集やりませんか?
私:いいですね。めっちゃ好きな曲なんで。あと、リナ・ホーンも用意してたんですけど、リー・ワイリーやテディ・キングとキャラが被るんでスキップします。「Careless Love」のラストはジャニス・ジョプリンで。
901さん:へぇ~、こんなんあるんや。
私:まだメジャー・デビュー前の1963年にサンフランシスコのクラブでレコーディングされた音源なんですけど、ラッキーなことにサウンドボード録音なのでめっちゃ凄い音してます。
901さん:演ってる曲、全部ブルースやん。この人のルーツはこういうとこにあったんやね。この人がどうやって「サマータイム」に至ったか、よぉわかりましたわ。 (つづく)
901さん:Shiotchさん、「Jazz Vintage Vinyl Want List」て知ってはる?
私:いいえ、知らないです。
901さん:ディスクユニオンが出してる廃盤買い取りリストなんやけど、ネットでも見れるから「Vol. 13」で検索してみて。ちょうどペッパーが特集されてるんよ。例の「タンパのペッパー」の買い取り価格が22万円やて!
私:ひょえ~、買い取りがそれやったら売り値は一体いくらぐらいになるんでしょうね? 普通は買い取り価格の3倍っていうのが目安でしょ?
901さん:そらもう数十万円はいくんとちゃう? “美品で楽譜2枚付き” やからそれだけの値段なんやろけどね。このレコードに元々楽譜が付いてたなんて、知ってはった?
私:楽譜の存在は知ってはいましたが、もちろんネットオークションでも見たことないです。まぁ自分は “生々しい音さえ聴ければ付属物なんて要らない派” なので楽譜には全然興味ないですけど。
901さん:でもShiotchさんお持ちの「イントロのペッパー」も買い取り22万円やし、そんな凄い盤をここの装置で聴かしてもらえるのホンマにありがたいですわ。
私:こちらこそ、901さんとアレやコレや喋りながらレコード聴くの、ホンマに楽しいんで。いつでも来て下さいや。
901さん:それと、「Vol. 12」の冊子がウチに2つあったので1つ差し上げようと思って持ってきましてん。モンクの特集ですわ。
私:うわぁ、ありがとうございます。貧乏なんで高いのはホイホイ買われへんけど(笑)こういうのは見てるだけで楽しいんでじっくり読ませてもらいます。それじゃあ早速「Careless Love」の特集から始めましょうか。
901さん:僕はちょっと変化球から行きますわ... レイ・チャールズの「Modern Sounds In Country And Western Music」です。
私:変化球どころか、いきなりド真ん中の直球ですやん。
901さん:この曲の次に入ってる「愛さずにいられない」はマーティ・ペイチが編曲やってますねん。
私:あの人、ピアニストというよりもアレンジャーの色が強いですからね。じゃあ私はナット・キング・コールで。「St. Louis Blues」っていうレコードです。
901さん:おお、これは珍しい。W.C.ハンディの曲をやってるんやね。
私:コールはハンディ役で彼の伝記映画に出てるんで、それでこのレコードを吹き込んだんでしょうね。あまり有名なレコードじゃありませんが、結構良いですよ、これ。
901さん:僕が次に出そうと思ってたレコードは「Louis Armstrong Plays W.C. Handy」なんやけど、このキング・コール盤と同じ曲が一杯入っる。「ハンディ集」が続くってすごい偶然!
私:ホンマですね。それにしてもレイ・チャールズに続いてサッチモって王道中の王道ですね。
901さん:まさに大御所やね。サッチモはあんまり聴かへんのやけど、こうやって聴くとやっぱりエエねぇ。音の張りが違うわ。モダン・ジャズにはない何かがあるねぇ。キング・コールとサッチモ続けて聴けるとこなんて、中々ないで。
私:ハハハ、確かに。じゃあ私も古いところでリー・ワイリーでいきましょうか。彼女のSP音源を集めた「Unforgettable」っていう国内盤コンピレーションなんですけど、温かみのある良い音がするので大好きなレコードです。
901さん:これは参りましたやなぁ。Shiotchさん、オリジナル盤だけやのうてこういうレコードもちゃんと聴いてるの、ホンマにエライと思うわ。昔、僕の友達がジャズの集まりに行ったんやけど、帰ってきて“二度と行くか!”って怒ってたんで何故か聞くと“オリジナル盤の自慢話ばっかり聞かされて気分悪かった” んやて。
私:わかります。そういう人、いっぱいいてますよね。まぁ自分はオリジナルかどうかよりも良い音で鳴ってくれるかどうかが大事なんで。生々しい音が聴けるんやったら2ndでも国内盤でも何でもエエんですわ。
901さん:なるほど。じゃあ次はインストでいきましょか。チェコのナイポンク・トリオ。これ十何年か前にイーベイで買ったんやけど、売り手がこのCDのプロデューサーで、“日本にいるあなたがよくぞこのCDを見つけてくれました...” っていうお礼のメモがCDと一緒に入っててビックリしましてん。どう、これ?
私:ヨーロッパとは思えないブルージーなピアノですね。こういうピアノ、大好きですわ。
901さん:正直言うて澤野のピアノトリオはもうウンザリ。どれを聴いてもみんな同じに聞こえるんで。こういうピアノトリオ出さんかい、って思うわ。
私:僕もあの金太郎飴みたいなピアノトリオには魅力を感じませんね。ジャズ・ピアノは黒人のグルーヴィーなノリが一番ですよ。ジョン・ライトとかジュニア・マンス系のヤツね。このピアノはまさにボビー・ティモンズ・リスペクトですね。
901さん:ホンマにこれよぉ聴いたわぁ。ジャズ・ピアノはこう弾けよ、っていう感じ。
私:何がきっかけでこれ見つけはったんですか。
901さん:実はこのジャケットなんですよ。
私:へぇ~、ヨーロッパのピアノトリオCDをジャケ買いってすごいですね。それじゃあ私は雰囲気をガラッと変えてコニー・フランシスの「Sings Folk Song Favorites」。
901さん:へぇ~、こんなとこに入ってんの? フォークソング集か。歌上手いねぇ。胸がすかっとするねぇ。コニー・フランシス一杯持ってはるの?
私:いえ、コニーはアルバムよりもシングル盤中心で持ってます。見ます?
901さん:わぁ、ジャケット自前で作ってるの凄いなぁ。
私:シングル盤ってジャケットが無いとレコード棚から取り出す時に区別つきにくくてめっちゃ不便じゃないですか。それで同タイトルの国内盤シングルのジャケット写真をネットで拾ってきて自分で作ったんです。以前の職場にたまたま珍しい高性能レーザープリンターがあったのがめっちゃラッキーでした。残念ながら今はもう無理ですけど。
901さん:なるほど。じゃあ次はディジー・ガレスピーの「New Wave」。ボサノバ集の中に何故かこの曲が入ってるという... これもあんまり聴くレコードやないんやけどね。ボサノバのボラ・セチっていうギタリストがここではエレキ弾かされてるのが聴き所です。ボラセチのエレキってここでしか聴けへんのでめっちゃ貴重ですよ。私の「Careless Love」はこれで終わりです。
私:じゃあ僕はローズマリー・クルーニーの「Thanks For Nothing」を。ビッグバンドをバックにアップテンポで歌ってて、このノリの良さがめっちゃ好きなんですよ。
901さん:この人、ハリー・ジェイムスともやってましたよね。ええレコードやわ。ジャケットもええね。
私:ゴージャスでしょ。リプリーズ・モノラルのサンプル盤って珍しいんです。
901さん:リプリーズのインナースリーヴも貴重やね。
私:ハハハ、確かに。次はテディ・キングです。
901さん:よぉこんなんオリジナルで持ってはるねぇ。これもインナースリーヴ付きや(笑) それにしても何でこの曲をやったんやろねぇ?
私:テディ・キングはリー・ワイリー直系の上品で優雅な歌唱スタイルなのでレコード会社がワイリーの曲を選んだ、ってどこかで読んだ記憶があります。
901さん: なるほどなぁ、勉強なるわ。
私:次は思いっ切り変化球でディック・ミネ。
901さん:へぇ~、これ何年の?
私:1935年やったと思います。リー・ワイリー版のSPが出た次の年ですね。
901さん:エエ曲一杯やってるやん... よかったらついでにこの「君微笑めば」も聞かしてくれる? 【♪~】おぉ、ハワイアンやん! 録音状態エエねぇ。スチールギターにやられてしまうわ。この曲、次の時に特集やりませんか?
私:いいですね。めっちゃ好きな曲なんで。あと、リナ・ホーンも用意してたんですけど、リー・ワイリーやテディ・キングとキャラが被るんでスキップします。「Careless Love」のラストはジャニス・ジョプリンで。
901さん:へぇ~、こんなんあるんや。
私:まだメジャー・デビュー前の1963年にサンフランシスコのクラブでレコーディングされた音源なんですけど、ラッキーなことにサウンドボード録音なのでめっちゃ凄い音してます。
901さん:演ってる曲、全部ブルースやん。この人のルーツはこういうとこにあったんやね。この人がどうやって「サマータイム」に至ったか、よぉわかりましたわ。 (つづく)