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Channel: shiotch7 の 明日なき暴走
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インド盤特集③「Revolver」

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 私がビートルズのインド盤に興味を持ったきっかけは “インド盤はシタールの音が違う!” という腰巻コピーで物議を醸した湯浅学氏の「アナログ・ミステリー・ツアー」だったが、その本の中で氏が “世界最強盤はインド盤と決めつけたくなるほど” と「ラバー・ソウル」以上の高評価を与えていたのがインド盤の「リヴォルヴァー」だ。“世界最強” とはまた大きく出たものだが、本の中でそこまで断言する以上、氏には絶対の自信があるのだろう。
 確かにこれまで何枚か聴いてきてインド盤の音が良いのは分かるが、かといってオリジナルのUKファースト・プレス盤をも凌駕して “世界最強” と言えるほど凄いのかというと、私としては “ホンマかいな?” と懐疑的にならざるを得ない。しかも対象となっているのはビートルズの全アルバム中でも一二を争う私のお気に入り盤「リヴォルヴァー」だ。ここはやはり自分の耳で実際に確かめてみるしかないだろう。
 ということで早速ゲットしましたインド盤「リヴォルヴァー」。一昔前なら奈良に住んでいてインドのレコードをササッと手に入れるなんて不可能に近いことだったが、インターネットの発達のお蔭で今ではインド盤であろうがデンマーク盤であろうがチェコスロバキア盤であろうが簡単に海外から送ってもらうことが出来るようになった。ホンマにありがたい世の中になったものだ。
 私が買ったのはオランダのセラーからで、“Excellent vinyl and sleeve, hardly any wear” という商品説明を見て €29.90 で即決。インド盤を買う時は盤質が一番心配なのだが 100%ポジティヴ評価のセラーが excellent というのならまず間違いないだろう。ついでに同じセラーが同一コレクションから出品していたインド盤の「サージェント・ペパーズ」も併せて購入。こっちは「リヴォルヴァー」以上にレアらしく値段も €39.90 と少々高くついたが、eBayでの相場を考えれば(←インド盤に€100も€200も出せるかいな!)これでもかなり安い方だし、盤質の良いインド盤が安く市場に出てくること自体が極めて稀なので、“出物を見つけたら即買い” が鉄則なのだ。もちろん2枚一緒に買うことで送料が浮くのも大きい。
 届いたレコードは手にずっしりと重く、それだけで良い音がしそうな期待を抱かせてくれる。実際に量ってみると176gもあり、UK盤の155gよりも遥かに重い(←因みに前々回に取り上げた「ラバー・ソウル」の142gと比べても30g以上の重量アップ!)。ジャケットは「ラバー・ソウル」と同じくノン・ラミネートで、表ジャケと裏ジャケのコピーをボール紙に貼り付けただけというシンプルな仕様だが作りはしっかりしており、他のインド盤のようにスパインやエッジの部分がボロボロになっていないので補修しなくていいのが嬉しい。
 盤質もセラーの説明通りのNM盤で(←ラッキーなことに今のところインド・プレスのガチャ盤には当たってない...)、実際に聴いてみた感想としては、まず第一に音がごっつい。武骨な音とでも言えばいいのか、とにかく細かいことを気にせずに音の塊がドバーッと押し寄せてくるのだ。私のリファレンスであるUK初回盤の音と比べると、全体的なエネルギー感ではエエ勝負なのだが、音の立体感や切れ味で一歩譲るという感じ。例えるならUK盤がゾーリンゲンのナイフでインド盤はナマクラのナタのイメージだ。
 音がクリアーで細部まで見通せるようなUK盤とは違い、音が混然一体となってスピーカーから出てくるような感じなので、A③「アイム・オンリー・スリーピング」やA⑦「シー・セッド・シー・セッド」、そしてB⑦「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」といった、いわゆるひとつの “リヴォッてる曲” との相性は抜群だ。又、湯浅氏は本の中で “A④「ラヴ・ユー・トゥ」ではシタールの倍音成分が増え、前面に出てきてしっかりインド音楽の響きになるのは魔法のよう” と書かれているが、それは多分このあたりのことを言っておられるのだろう。マトリクスが -1/-1 であることからも分かるように、「ラバー・ソウル」の「ノーウェジアン・ウッド」みたいにインドでリカットされてシタールが大きく聞こえる、などということは決してない。
 ただ、“A⑤「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」のようなバラードも繊細に聞かせ...” というくだりに関しては、少なくともウチでは “平均点以上ではあるけれどもUK盤ほどではない” という感じ。まぁこればっかりは試聴システム、レコードの盤質や個体差、そして何よりもリスナーの耳によって全然違うインプレッションになることも多いので、湯浅氏の再生システムではそのように鳴ったのだろう。
 ということで「リヴォルヴァー」のインド盤に対する私の正直な感想としては、“世界最強”は言い過ぎだが、“芯のある普通に良い音が楽しめる好盤” というところか。このレコードはUK盤ともドイツ盤とも違う独自の音が聴けるので、その日の気分によって各国盤を取っかえ引っかえしながら楽しんでいる。これってひょっとするとビートルズ・マニアにとっては最高の贅沢なのかもしれない。アナログ・レコード・コレクターに与えられた最大の喜びが聴き比べなのだから...(^.^)

デンマーク盤特集①

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 血糖値を下げるためにとにかく歩きなさい!と医者から言われた母親へのクリスマス・プレゼントとして買った電動ウォーカーが今日届いた。面白そうなので自分もやってみようとマシンに乗り、退屈しないようにテレビをつけてから歩き始めたのだが、その時たまたまCSのミュージック・エアでビートルズの「青盤ドキュメンタリー」をやっており、何の気なしに曲のテンポに合わせて歩いてみたところ、これが思いのほか面白い。「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」が通常歩行に一番ピッタリで、「レヴォリューション」でペースを上げ、最後は「レット・イット・ビー」でクールダウン... という感じ。結局30分間やって70キロカロリーの消費に成功した。コレ、家でビートルズを観ながら運動不足も解消できるってめっちゃエエやん! 明日はポールの武道館ライヴを観ながらやってみよう(^.^)
 さて、ブログの方は相も変わらずの各国盤シリーズだ。ここ何年かで色んな国のビートルズ・レコードを買ってきたが、そんな中でも音質的に一番気に入ったのがデンマーク盤である。私の好奇心に火つけたのは以前ここでも取り上げた「ヘイ・ジュード」のDK(デンマーク)盤の音の良さで、カートリッジが同じデンマーク製のオルトフォンだから相性が良いのかもしれないが、とにかくUKオリジナル盤に勝るとも劣らぬ高音質にビックリ(゜o゜)  そしてそんな私のデンマーク熱に更なる燃料を投下したのが例の「エスキモー・カヴァー」だ。175gもある分厚いビニールに刻み込まれたラウドでクリスプなサウンドにすっかり魅せられた私は “ひょっとして他のレギュラー・アルバムも重量盤やったら聴いてみたいなぁ...” と思い立ち、eBayで60年代プレスのビートルズのデンマーク盤を検索してみた。
 すると運よくイギリスのセラーが何枚もデンマーク盤を出しているのを発見、商品説明には “173 gram vinyl!” みたいな感じで各盤ごとに重量が書いてあり、ご丁寧にも “Old thick vinyl seldom let you down.(昔の分厚い盤はあなたの期待を裏切りませんよ~)” という殺し文句まで添えられている。弱いところを突いてくるなぁ...(笑) 慌てて手持ちのUK黄パロ盤の重さを量ってみると大体みんな140~160gぐらいだ。重量盤信仰が抜けきらない私は試しにこのセラーから安くて盤質が良くて重たいの(笑)を何枚か買ってみることにした。それから10日ほどたってから届いたのが「ウィズ・ザ・ビートルズ」「ハード・デイズ・ナイト」「オールディーズ」「ホワイト・アルバム」の4枚だ。
 いの一番にターンテーブルに乗せたのが「ウィズ・ザ・ビートルズ」(マト枝番:-1N/-1N)だ。UK盤が156gなのに対しこちらは164gもあり手に持った感触もずっしり重い。早速聴いてみるとラウドカットのUKオリジ盤に勝るとも劣らない轟音で(←特にA①のド迫力には思わずのけぞってしまった...)、値段を考えるとコスパは抜群に高い。しかもレーベルはUK黄パロとは違うデンマーク独自のもので、Black/Silver 8 star "shadowed" Parlophone と呼ばれるカッコ良いデザインだ。ただしジャケットはUK盤のものをそのまま流用しているようで、Garrod & Lofthouse のフリップバック式コーティング・ジャケが使われている。
 「ハード・デイズ・ナイト」(マト枝番:-3N/-3N)も同じくBlack/Silver 8 star "shadowed" Parlophone Label なのだが、こちらは更に重くて173gもある(←UK盤は166g)。音の方は言わずもがなの爆音で、アルバム・タイトル曲A①のイントロの “ジャーン!” の衝撃は強烈無比だし、A⑥「テル・ミー・ホワイ」やB①「エニー・タイム・アット・オール」のジョンのヴォーカルの押し出し感も凄まじいものがある。B③「シングス・ウィー・セッド・トゥデイ」やB⑥「アイル・ビー・バック」のアコギのストローク音の力強さなんかもう快感の一言だ。セラーの煽り文句の通り、昔の分厚い盤は期待を裏切らへんね(^_^)
 「オールディーズ」(マト枝番:-1G/-1G)は60年代中頃のプレスのためか上記の2枚より軽い152gだが、それでも同タイトルUK盤の141gに比べると10g以上重い。音の方はステレオということもあって(←UKモノラル盤の音の悪さはショッキングだった...)実にクリアーでクリスプなサウンドが楽しめる。重量が効いているのか低音域の贅肉を削ぎ落としたかのようなサウンドで、A⑥「ミッシェル」のポールのベースがUK盤では量感豊かに響く感じなのに対し、DK盤の方はキリッと引き締まって聞こえた。
 「ホワイト・アルバム」(マト枝番:-1/-1/-1/-1)はUK初盤と同じトップ・ローディング方式ジャケのアーリー・プレス盤ながら、143g / 138g とUK盤の149g / 143g よりもやや軽い。しかし音の方は素晴らしく、躍動感溢れるA①「バック・イン・ザ・USSR」、鬼気迫るリンゴのドラミングが炸裂するA③「グラス・オニオン」、ギター・ソロの説得力がハンパないA⑦「ホワイル・マイ・ギター...」、地を這うようなポールのベースにゾクゾクさせられるC①「バースデー」、アコギの響きのあまりの美しさに耳が吸い付くC③「マザー・ネイチャーズ・サン」など、UKオリジナル盤に勝るとも劣らない生々しいサウンドがスピーカーから飛び出してくる。D①「レヴォリューション1」のグルーヴは圧巻だし、C④「エヴリバディーズ・ゴット・サムシング...」でのジョンとジョージのギターもキレッキレだ(^.^) 
 ということでパワーと繊細さを高い次元で見事に両立させたデンマーク・プレスの音がすっかり気に入った私は他のアルバムもその音で聴いてみたいと思い、eBayやDiscogsを駆使してビートルズのデンマーク盤を探し始めた。 (つづく)

デンマーク盤特集②

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 お試しセットとして買った4枚のレコードを聴いてデンマーク・プレス盤の音がすっかり気に入った私は他のアルバムも欲しくなって(←いつもの悪いパターン...)デンマーク盤のディスコグラフィーのようなものをネットで探してみたのだが残念ながら見つからない。どうやらデンマークというのはビートルズ各国盤の中でもかなりマイナーな存在のようだ。
 ディスコグラフィーが無いのなら自分で調べるしかないわいとpopsikeで "Beatles Danish LP" を検索して過去10年間に亘るデータを基に自家製ディスコグラフィーを作ってみた。私の調査によると、デンマークのモノラル盤は「プリーズ・プリーズ・ミー」から「リヴォルヴァー」までで、「サージェント・ペパーズ」以降の盤にモノ盤は存在せず、一方ステレオ盤のリリースは「ビートルズ・フォー・セール」からで、初期3枚のステレオ盤の存在は確認できなかった。
 センター・レーベルに関しては、「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ハード・デイズ・ナイト」までが 8 star "shadowed" Parlophone、「フォー・セール」から「サージェント・ペパーズ」までが unboxed Parlophone、そして「ホワイト・アルバム」から「レット・イット・ビー」までが dark green Apple のようだ。
 大雑把ではあるが何とか全体像がつかめたので早速eBayで検索を開始、予算は1枚につき5,000円以内だ。まず最初に網にかかったのが「リヴォルヴァー」のステレオ盤で、珍しいことにアメリカのセラーが出している。ビートルズのデンマーク盤の9割以上が地元デンマークかイギリスのセラーの出品だからだ。スタート価格は$9.99で結局ライバル2人という低競争率のおかげもあって$15.50で落札。ビッドが集中するUK盤とは違い、マイナーなデンマーク盤は取るのがラクだ。
 ジャケットはUK盤と同じものを流用しているが盤の方は161gとUK盤よりも更に6g重い。マトリクスは -1/-1 でUK初回盤と同じマザーを使用していることもあって音が良いのは当たり前なのだが、このレコードは盤質がNMなこともあって、ほぼノイズレスの高音質で「リヴォルヴァー」を堪能できるのが何よりも嬉しい。
 次に手に入れたのが「フォー・セール」のモノ盤だ。デンマーク盤では何故かこのレコードだけセンター・レーベルが紫色で(←ステレオ盤は黒色らしいが私は持ってない...)重量は166gと重い。しかし私が入手した盤はマトが-4N/-3Nなせいか(←UK初版は-3N/-3N)、それとも状態がイマイチのVG盤だったせいかは分からないが、UK盤と比べるとイマイチ音がシャキッとしない。特にUK盤の「アイル・フォロー・ザ・サン」が3次元的にリアルな響きを聞かせるのに対し、このDK盤では平面的にしか聞こえないのが残念だ。まぁ全部が全部当たりというワケにはいかないのがアナログ・レコードの奥の深さなのだろう。
 「イエロー・サブマリン」はA面しか聴かない(でしょ?)ので取るかどうか一瞬迷ったが、手持ちのUK盤が "Sold in UK" リマーク無しのセカンド・プレス盤(マトは -3/-1)ということもあってマト -1/-1 のデンマーク盤と聴き比べてみたいと思い BUY IT NOW で購入。€16でピカピカ盤をゲットしたのだが、私にとっては大好きな「ヘイ・ブルドッグ」1曲だけでも何千円も払う価値は十分あるのだ。
 聴いてみた感想としてはとにかく音が良くてビックリ(゜o゜)  盤質がほぼミント状態ということもあるのかもしれないが、とにかくシャープ&クリスプな音で、「オール・トゥゲザー・ナウ」のアコギの生々しさにはゾクゾクさせられたし、「ヘイ・ブルドッグ」の有無を言わせぬへヴィネスなんかもう圧巻の一言(≧▽≦)  UKセカンド・プレス盤の音がややハイ上がりなのに対し、こちらのDKプレス盤の方は音のバランスも最高だ。買う前は迷ったが、コレは買って大正解だった(^.^)
 €26で買った「アビー・ロード」(マト-2/-1)は商品説明に "play as new" とあったので届くのが待ちきれないほど楽しみだったが、届いた盤を実際に手に取ってみると傷一つないピカピカ盤で、上記の「イエサブ」同様にノイズの無い素晴らしい音がスピーカーから飛び出してくる。一言で言うなら“豊潤な音” という表現がピッタリで、「カム・トゥゲザー」のベースなんてもう大地を揺るがさんばかりにズンズン響いてくるし、「オー・ダーリン」ではポールがヴォーカルだけでなく闊達なベースでもメロディストぶりを発揮、まさに“楽器を通して歌を歌う” という天才ぶりを存分に発揮しているのがハッキリと聞き取れる。「ヒア・カムズ・ザ・サン」のギターの美しさには耳が吸い付くし、「ジ・エンド」のギター・バトルも高音質なせいか実にグルーヴィーに聞こえ、“楽器奏者としてのビートルズ” を思う存分堪能できるのだ。やっぱりDK盤って凄いわ...(^.^)

デンマーク盤特集③

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 デンマーク盤蒐集もいよいよ佳境に入ってきた。とにかく10月から11月にかけては “寝ても覚めてもDK盤” 状態でこまめにeBayをチェックする毎日だったが、“コンプリートまで残り数枚” になってからしばらくは足踏み状態が続いた。小国デンマークの人口なんて微々たるものなので(←調べてみたら北海道や兵庫県よりも少ないらしい...)UK盤やドイツ盤とは違って元々タマ数そのものが少ないし、そんな中から盤質良好なブツを見つけ出して安く買おうというのだからそう簡単にいくわけがなく、ひたすら忍の一字で出物を待つのみだった。
 そんなこんなで3週間ほど経ち、ついに「ヘルプ」(マト2モノ)と「ラバー・ソウル」(←何とマト1モノのラウドカット盤!)が同じセラーから2枚同時に出品された。「ヘルプ」が£45で「ラバー・ソウル」が£55ということで単体なら少し予算オーバーになるが同梱で送料1枚分チャラになるし、どちらの盤もExということで状態も良さそうだ。為替レートもあの時はまだ£1=127円で今より20円も安く底打ち感があったのでこのチャンスを逃す手はない。一旦イクと決めた以上、ぐずぐずしていてライバルに先を越されるわけにはいかないのだ。
 私は早速2枚をバスケットに入れてRequest total from seller をクリックしたのだが、どういうワケか This seller does not offer combined shipping という表示が出てそこから先へ進めない(>_<)  そこで私はとりあえず「ヘルプ」をBUY IT NOWで買い、“「ラバー・ソウル」も買うから送料を再計算してinvoiceを送ってくれ” とセラーにメールして返事を待った。
 1時間ほどして返事が来たのだが、何と驚いたことに「ラバー・ソウル」が£55→£75に、送料も£13.50→£17.95 に変えられているではないか! 何という鬼畜なセラーだヽ(`Д´)ノ 私が “1時間前と価格も送料も変えられているようだが、ひょっとしてアンタは私のメールを見てから値段を吊り上げたのか? もしそうなら私はこの取り引きをキャンセルしてカスタマーサポートに報告させてもらうが、どーする?” とメールするとさすがにビビったのか、“私は何も変えていない。きっとシステムエラーか何かだろう。価格も送料もあなたの言う通りでOKなのですぐに新しい invoiceを送るから...” という返事が来た。商品ページを再チェックすると確かに元に戻っているが、ちゃーんとキャッシュに証拠が残っとるで...(笑) コイツは全く信用に値しない糞セラーだが(←IDは rare_records_0です)DK盤2枚ゲットのチャンスを逃したくはなかったし、万が一トラブってもeBay には Buyer Protection があるので、当初の予定通り2枚とも買うことにした。
 無事届いたパッケージからレコードを取り出してまず驚いたのはその重さだ。60年代DKプレス盤の重さに関しては折に触れてこのブログでも取り上げてきたが、特にこの「ヘルプ」は 盤の重量が178gとUK盤よりも17gも重く、他のDK盤と比べても断トツの重さである。早速レコードに針を落としてみると、盤自体に傷はないのだが溝に細かい埃が付着しているようでチリチリとノイズが入って気持ち良く聴けない。そこで久しぶりにコニシの木工用ボンドで盤をパック、完璧にクリーニングしてから再度針を落とすと今度はクリアーな音で再生できて大満足(^o^)丿  特にA②「ザ・ナイト・ビフォア」のまるで目の前でポールが歌っているかのような生々しさには唖然とさせられたし、A③「ユーヴ・ガット・トゥ・ハイド・ユア・ラヴ・アウェイ」なんてこんな重低音が入っていたのかとビックリ(゜o゜)  B⑦「ディジー・ミス・リジー」のジョンのヤクザなヴォーカルもドスが効いていて実に気持ちいい。やっぱりレコード・パックはコニシのボンドに限るわ(^.^)
 「ラバー・ソウル」の方は166gだが、それでもUK初回盤よりやはり17g重い。大好きなラウド・カットのレコードを重量盤で聴ける喜びを何と表現しよう? 特にB面曲ではポールのベースがまるで地の底から響いてくるようにグゥ~ンと下まで伸びた重い音を響かせて私を喜ばせる。A④「ノーウェア・マン」での一糸乱れぬコーラス・ワークやB②「ガール」におけるジョンの説得力溢れるヴォーカルも圧巻だ。ピカピカのラウド・カット盤を大音量で聴く喜びは筆舌に尽くし難い(^o^)丿
 次に手に入れたDK盤は「プリーズ・プリーズ・ミー」だ。このレコードのDKファースト・プレスのレーベル・デザインは前々回取り上げた「ハード・デイズ・ナイト」と同じ 8 star "shadowed" Parlophone なのだが文字色はUK盤と同じゴールドという “金パロ” 盤で、そのせいかDK盤で唯一£100オーバーという高値が付いている。私としては金パロはUK盤1枚で十分なので、同デザインで銀文字のセカンド・プレス盤に狙いを定め首尾よくゲット。セカンド・プレスということで人気がないのか、それとも“盤質VG / ジャケットG”の表記にコレクター諸氏も二の足を踏んだのか、この盤は予想を遥かに下回る低レベルの競争で(笑)たったの$24で落とすことが出来た。
 聴いてみた印象だが、さすがに超ド迫力のUK金パロには少し及ばないものの、同じセカンド・プレスであるUK黄パロ盤と同レベルの素晴らしいサウンドで、発売期間が短くてすぐにこの銀パロに切り替わったというDK金パロも含めて考えてもコスパで言えばDKセカンド・プレスの圧勝だろう。因みにこのDK銀パロの重量はUK金パロと同じ170gだ。
 「プリーズ・プリーズ・ミー」に次いで網にかかったのが「マジカル・ミステリー・ツアー」だ。60年代のデンマーク国内におけるビートルズのレコード・リリースは「エスキモー・カヴァー」を除けば基本的にイギリスに倣っているので「マジカル・ミステリー・ツアー」もリアルタイムではEP2枚組で発売されただけだったが、70年代に入るとデンマーク独自のリリースが目立つようになった。LPフォーマットで初めてリリースされたこの「マジカル・ミステリー・ツアー」もそんな1枚で、ショッキングピンクのジャケットとジャケ左上の HOR ZUマークから考えて、ドイツでカッティングして作られたマザーをデンマークに持ち込んでスタンパーを作ったもののようだ。
 気になってネットで調べてみるとやはりその通りで、いつも参考にしている Steve Hoffman Music Forums によると、71年に出たドイツ初版(マトA1/B1)はBラス3曲が疑似ステなのに対し、73年リリースのセカンド・プレス(マトA1/B3)では世界初のリアル・ステレオ・ミックスで収録されており、現存するステレオ盤としてはベストなサウンドが聴けるとのこと。そしてデンマーク盤はその音の良いジャーマン・セカンド・プレス盤と同じマザーから作られているというのだからこれは絶対的に “買い” である。ラッキーなことにDiscogsに1枚だけEx盤が出品されていたので速攻ゲット、€26でMMT史上最高のステレオ・ミックスが手に入ったのが嬉しくてたまらない(≧▽≦)
 届いた盤は看板に偽りナシのスーパーウルトラ高音質で、大袈裟ではなく私が今まで聴いた中でベストのMMTだ。低音がスベッたとか高音がコロんだとかいう以前に、何よりもまず音楽が活き活きと躍動し、この時期のビートルズならではの万華鏡のようなポップ・ワールドを見事に音溝に刻み込んでいる。やはりデンマーク・プレスの盤にハズレ無しだ(^o^)丿

Live At The Hollywood Bowl / The Beatles

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 早いもので2016年も残すところあと僅か、この時期になるといつもその年のベスト・バイなど音楽面での収穫を振り返るのがお約束なのだが、今年は久々に大物を何枚もゲットできた実り多い1年だった。特に秋以降はコレクター魂に火がつき怒涛の勢いでビートルズの各国盤を買いまくり、ここもすっかりB4一色になってしまったが、そのきっかけとなったのが9月にリリースされた「ハリウッドボウル・ライヴ」のリマスター盤であり、ほぼ同時に封切られた映画「エイト・デイズ・ア・ウィーク」だった。
 この映画は本編に加えてシェア・スタジアム公演のリマスター映像が大画面で見れるということもあって3回も映画館に通ったが、予約しておいたBlu-ray盤が先週届いたこともあってこの1週間ほどは「ハリウッドボウル・ライヴ」と「エイト・デイズ・ア・ウィーク」熱が再発、毎日飽きもせずにCD・LP・Blu-rayを取っ換え引っ換えしながら楽しんでいる。そういうワケで今年のシメは「エイト・デイズ・ア・ウィーク」関連のアイテムを取り上げたい。
 まずCDだが、あのジャイルズ・マーティンが最新のテクノロジーを駆使してリミックスを施したということでお父さんがプロデュースした77年のオリジナルLPとどれくらい音が違うのか、聴く前から興味津々だった。初めて聴いた時のインパクトは強烈で、“うわ~、同じ音源やのに音の聞こえ方が全然違うやん!!!” とビックリ(゜o゜)  音が格段にクリアーになって演奏やMCの細部までもハッキリと聞き取れ、ジェット・スクリームと呼ばれる大歓声も鑑賞の邪魔にならないレベルまで抑えてあるのにも感心したが、それより何より音が立体的に聞こえ、各楽器の音像があるべき位置に屹立しているのが凄いと思った。まるでハリウッドボウルのステージど真ん中にマイクスタンドを固定して録音したかのように、ジョン・ポール、ジョージ、リンゴがスピーカーとスピーカーの間に盛大に4つの音の噴水を噴き上げながら熱演しているのである。15歳の時からこのレコードを聴いていて音質は熟知しているつもりだったが、こういう音の出方で鳴るとは知らなんだ(≧▽≦)  まさにテクノロジーの進化恐るべしである。この分だとあと数十年もすれば自宅に居ながらにしてビートルズのライヴをホログラム映像で楽しめる夢のような時代が来るかもしれない。
 このアルバムはLPでもリリースされるとのことだったので、送料込みで一番安いアマゾンUK(£22.74)で予約、CDリリースよりも約2ヶ月遅れの11/18発送で11/29に我が家に到着した。CDではあまり気にならなかったが、LPサイズになるとやっぱり “このダサいジャケットはないよなぁ...” と思ってしまう。映画のプロモーションの一環として今回の初CD化が実現したようなモンなのでこのジャケットもしゃあないといえばしゃあないのだが、ハリウッドボウルとは何の関係も無いシアトルの空港での写真を使うというのは余りにもジャケットというものを軽視し過ぎではないか。アナログ時代からのファンとしては「アット・ザ・ハリウッドボウル」を名乗るならオリジナルと同じジャケットにしてもらいたかったというのが正直なところだ。
 しかし音の方は文句なしに素晴らしい。CDと比べるとアナログらしい温かみと深みのある音に仕上がっており、特に高域のキツさが上手く抑えられているのでヴォリュームを思いっ切り上げていっても耳が痛くならないのが何よりも嬉しい。 “ライヴ盤は大音量で音の洪水の中に身を委ねるようにして聴く” というのが私の信条なので、これはLPも買って大正解だった。CDは車の中で鳴らすとめっちゃエエ音してたので、そちらで活躍してもらうことにしよう(^.^)
The Beatles Live Hollywood Bowl 2016 Remastered Full Album (Available in some countries only)

Eight Days A Week [Blu-ray Collector's Edition] / The Beatles

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 新年あけましておめでとうございます... などと呑気に構えてる場合ではない。何とポール来日決定のニュースが飛び込んできたのだ! のんびり年を越そうと思っていたのに、青天の霹靂とはまさにこのことだ。しかも今回は平日を含む4月末の東京3公演だけで、よりにもよってその土日は仕事入ってるやん... う~ん、ショック(>_<)  せっかくポールが来てくれるというのに仕事のせいで観に行けないなんてめっちゃ悲しい。新年早々こんな暗~い気持ちになろうとは夢にも思わなかったが、年の初めからブログで愚痴るのもみっともないので、気を取り直して映画「エイト・デイズ・ア・ウィーク」Blu-ray盤について書いていこう。
 映画の封切りから3ヶ月でのBlu-ray/DVD化はファンとしては非常に嬉しいのだが、この映画の唯一にして最大の汚点である浅井慎平の意味不明な寝言なんぞ聴きたくない私は日本公開Ver. ではなくインターナショナルVer. が欲しかった。ところがそのためには99%同内容の日本公開Ver. とセットになった「コレクターズ・エディション」(←2枚共欲しい変態ファンなんておるんかいな???)を買うしか選択肢が無い。さらに無意味なTシャツまで付けて値段を吊り上げるという抱き合わせ販売(←そんな余計なモン付けるんやったらシェア・スタジアムのレストア映像ディスク付けんかい!)にもウンザリだ(>_<)  輸入盤も考えたが字幕が無いのは何かと不便なので、私は仕方なしにクソ高い「コレクターズ・エディション」を買い、日本公開Ver. のディスクをHMCのシェア・スタジアムBlu-ray盤に入れ替えて自家製スーパー・ウルトラ・スペシャル・デラックス・コレクターズ・エディション(笑)にアップグレードしてやった。
 映画本編に関しては2ヶ月ぶり4回目の視聴ということになるが、何回観ても細かい発見があって飽きることがない。映画館では “今のとこ、もう一回リピート” というワケにはいかなかったので家でじっくり観れるのは実にありがたいことだ。日本公演のパートに関してはインターナショナルVer. の方が短く、ジョージとリンゴのコメントのみでサラッと流している感があるが、浅井慎平が出てきてクドクド喋りまくる不自然極まりない日本公開Ver.(←まぁ「千と千尋」に出てくるオクサレさまみたいな湯川れい子が出てくるよりはまだマシか...)よりもこっちの方がスッキリしていて良いと思う。
 それと、ルーフトップ・ライヴのシーンを改めて見直してみて、映画「レット・イット・ビー」とは別アングルの映像がふんだんに使われていることに興奮を禁じ得ない。これはレストア&リマスターされ未公開映像も満載の「レット・イット・ビー」Blu-ray盤の発売が遠くない将来に実現するという予兆なのか? アップルさん、遅くとも2020年には「レット・イット・ビー」50周年記念としてどーぞよろしくお願いしますわm(__)m
 特典映像ディスクに関しては、評論家や学者センセイ達によるありきたりなビートルズ分析(←ミュージック・エアでやってるビートルズ番組ってこのパターン多いよな...)なんかよりもメンバー自身や関係者が語るエピソードの方が数段面白い。まだ数回しか観ていないが、ポールの “ティン・パン・アリー系の「ハウ・ドゥー・ユー・ドゥー・イット」をリヴァプールで披露したら仲間たちに笑われた” やリンゴの “ジョンがベースを引き受けるわけがない” にはニヤリとさせられたし、ポールがモータウンのベース・プレイヤーであるジェームズ・ジェマーソンのメロディックなプレイを聴いて “ベースでも演奏を引っ張れる” と気付いた話なんかは実に興味深かった。
『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』特典映像-1(Write Our Own)
『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』特典映像-3(John The Bass)


 ポールとリンゴ以外ではロニー・スペクターの話が一番面白かった。ビートルズがアメリカ上陸前からロネッツとグループ同士で親しく友達づきあいしてたとか、アメリカに来てホテルに缶詰め状態のジョンがロニーに電話で “外に出られない” と助けを求め、彼女が4人をお忍びでハーレムに連れて行った話とか、思わずへぇ~ボタンを連打したくなるエピソードだ。ピーター・アッシャーが出来たてホヤホヤの「抱きしめたい」をジョンとポールのピアノ連弾で聞かせてもらってぶっ飛んだ話とか、トニー・ベネットの息子さんがシド・バーンスタインの計らいでシェア・スタジアム公演に連れて行ってもらい、ここで待ってなさいと言われた楽屋でジョンのギターを見つけて大コーフンした話なんかもリアリティーがあって良かった。
 それと、インタビューに登場していた初代マネージャーのアラン・ウィリアムズ氏が昨日亡くなったとのことで、同じく大晦日に亡くなられた石坂敬一氏も含め、ビートルズゆかりの人達がどんどん亡くなっていくのはファンとして非常に寂しい。謹んでお悔やみ申し上げると共に、ビートルズをハンブルグへ連れて行きブレイクのきっかけを作ってくれたことに対して改めて感謝したいと思う。R.I.P.
 本編と特典ディスクを観た後はやっぱりシェア・スタジアム公演を観ないと収まらないのだが、映画館の大画面でシェアのライヴを観て以来自宅の46インチ画面では物足りなくなり、2~3年以内に65インチの超大型テレビを導入しようと目論んでいる。リビングで寛ぎながら超大画面で好きな時にシェア・スタジアムや武道館、ルーフトップのライヴが観れるなんて最高ではないか...(≧▽≦)  多分スカパーでやってくれるであろうポールの最新ライヴも4Kの美麗映像で存分に楽しめるだろう。円安になる前に欲しいレコードは大体手に入れたので、今年はオークションを一休みしてじっくりお金を貯めることにしよう。
『 ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』Blu-ray&DVD予告編(発売前)

Expedice R'n'R / The Beatles

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 私は去年の秋頃からビートルズの色んな各国盤レコードを買うようになりその音の違いを楽しんでいるのだが、今日はそんな “各国盤爆買い” の中で手に入れた1枚「Expedice R'n'R」(expedice はチェコ語で “遠征” という意味で “エクスペディツェ” と発音するらしい...)を取り上げよう。
 このレコードは1983年にチェコスロヴァキアで公式にリリースされた編集盤で、ディスクユニオンのビートルズ廃盤アナログセールのリストで “高音質盤” と紹介されていたこともあって前々から興味を持ってはいたのだが、同じく高音質を謳ったモービルフィデリティ(MFSL)盤が音の情報量は多いものの音圧が低くて高域が強めという私の好みとは正反対の音作り(←オーディオ的にはコレで良い音なのかもしれないが、私は昔ながらの濃厚な音でビートルズを聴きたい...)だったので購入に二の足を踏んでいた。
 しかしインドやデンマークといった色んな国のレコードを買って聴いていくうちに東欧盤の音にも興味が湧いてきてこの盤のことを思い出し、Discogsで調べてみると NM状態の盤が€5.99で出品されているのを発見、送料込みでも1,000円ちょっとで買えるなら超お買い得と思い、即買いを決めた。
 このレコードに関して一つ驚いたことは、レーベルが何とあのスプラフォンだということ。私が持っているスプラフォン盤は60年代に活躍したルーマニアの伝説的ジャズ・ピアニスト Jancy Korrosy の10インチ盤とチェコの女性ジャズ・シンガー Eva Pilarova の10インチ盤の計2枚だけだったので、このレーベルはてっきりジャズが専門だとばかり思っていたのだが、まさか80年代にビートルズのレコードを、しかもEMIのライセンス契約でオフィシャル音源コンピレーション盤として出していたとは驚きだ。
 このレコードは16曲入りで、一番の特徴は収録曲すべてがカヴァー曲で構成されているということ。トラックリストは以下の通り;A①Rock And Roll Music ②Long Tall Sally ③Dizzy Miss Lizzy ④Slow Down ⑤Chains ⑥Baby It's You ⑦Boys ⑧Everybody's Trying To Be My Baby B①Twist And Shout ②Kansas City ③Honey Don't ④A Taste Of Honey ⑤Mr.Moonlight ⑥Money ⑦Please Mr.Postman ⑧Words Of Love
 この手のコンピレーション盤としては76年にリリースされた「ロックンロール・ミュージック」がすぐ頭に浮かぶが、あのレコードでカヴァー曲が占める割合は42.8%と、意外にも全体の半分にも満たないものだ。まぁ作詞作曲の印税が全く入ってこない全曲カヴァーのレコードなんてビートルズ的には何のうまみも無い企画なワケで却下されるのも当然だが、それを公式盤として出せてしまうあたりがいかにも東欧のチェコらしい。
 音質に関しては予想通りの80年代らしいフラットでワイドレンジな音作りだが、MFSL盤を聴いた時のようなガッカリ感は無い。「ヘルプ」の “シェル・カヴァー” で免疫が出来ていたというのもあるが、何よりも良かったのはオフィシャルとは一味も二味も違う“別ミックス”で収録されていること。初期の曲のステレオ・ヴァージョンは大抵が不自然な“左右泣き別れミックス”なのだが、この盤ではそういうこともなく、どの曲も音が中央に寄せられていてモノラルに近い自然な音で楽しめるのが嬉しい(^.^)
 とまぁこのようにこのレコードは買って正解だったのだが、私としては選曲の基準を “カヴァー曲” ではなく“ロックンロールのカヴァー曲” にまで絞ってスローな「Baby It's You」や「A Taste Of Honey」の代わりにアッパー系疾走チューンの「Roll Over Beethoven」や「Bad Boy」、「Matchbox」なんかを入れた方がもっと凄いアルバムになったのではないかとついつい贅沢なことを考えてしまう。明日も休みなので(←18連休が終わってしまう...)自家製「Expedice R'n'R」CD-Rでも作ってみるとしよう。
Rock And Roll Music - THE BEATLES

Long Tall Sally - THE BEATLES

ビートルズのドイツDMM盤特集①

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 これまでデンマーク盤やインド盤など、UK盤以外にも様々な国のビートルズのレコードを手に入れてその音の違いを楽しんできたが、当然ながらどこの国のレコードでもいいという博愛主義者ではない。あくまでも自分が聴いて楽しめることが購入の前提条件だ。ということで音が私の好みに合わないUS盤やフランス盤は当然パス。上記3ヶ国以外で私が興味を持ったのは80年代前半にドイツでリリースされたDMM盤だ。
 DMMと聞いてまず頭に浮かぶのはDVDの宅配レンタルか、あるいは架空請求詐欺の会社名(笑)だが、アナログ・レコード・マニアにとってのDMMとはダイレクト・メタル・マスタリングの略を意味する。ネットで調べてみると、“ドイツのテルデック社が1982年に開発したカッティング技術で、銅製のメタル・ディスクに超音波を当てながら直接カッティングを行ってスタンパーを作成する方式のこと。柔らかいラッカー盤に音溝を刻んでメッキ塗装を何度も繰り返してスタンパーを作成する従来の方式よりもスタンパー製造工程がシンプルになるため、高音域のロスやプリエコーが少なく、収録時間も約10%増加する。” とある。
 そもそも私が各国盤に興味を持ったのはインド盤特集の時に紹介したバイブル本「アナログ・ミステリー・ツアー」の影響だが、色んな国のレコードがいっぱい載っているあの本を読んで私が “聴いてみたい!” と思ったのはインド盤とドイツDMM盤だけだった。とにかくDMM盤を紹介する際の表現がめちゃくちゃ面白く、“ラウドでクリアな音で再現されるのは衝撃” “リズム隊が異常に迫力ある音に仕上がっている” というポジティヴな評価と “低域高域共に音の暴力レベル” “仕上がりの音がわかっていればエンジニアがこんな音をわざわざカッティングするはずはない” というネガティヴな評価が共存しているのだ。これを読んで “聴いてみたいなぁ...(^.^)” と思わなければアナログレコード・ファンではない。
 尚、UKシルバー・パーロフォン盤にもDMMを謳ったものがあるが、あれは1990年代のプレスでCD化後のデジタル・ソースを使用しているらしく、「アナログ・ミステリー・ツアー」では “デジタル特有の痩せた音” で “聴く価値のない駄盤” とボロクソにけなしてあったし、ネット上の口コミを調べてみても評判は悪く、オークションでも二束三文で売られていたので、私はデジタル化以前のアナログ・マスターから作られたドイツ盤にターゲットを絞った。
 ということで、私はまず手始めに評価の高かった「マジカル・ミステリー・ツアー」と「ホワイト・アルバム」を聴いてみて、自分の好みの音であれば他のアルバムも買っていこうと思った。ラッキーなことにどちらの盤もeBayにNM状態の盤が1枚ずつ出品されていたので即ゲット、前者は$14.99、後者は$44.99 で、どちらも無競争で手に入れることができた。

①Magical Mystery Tour (04449-A1+C, 04449-B1+C) ←()内はマトリクス・ナンバー
 私のDMM初体験がこの「マジカル・ミステリー・ツアー」で、確かにデッドワックスのランオフ・エリアが普通の盤より広い(←特にB面)。手に取った感じはめっちゃ軽くて “これでそんな凄い低音が出るんかいな...” と思いながら盤に針を落とすと、いきなりA①の重~いベースのワンツーパンチとバスドラのボディー・ブロー連打で思わず腰を抜かしそうになった。本には“迫力のある音を好むリスナーの間ではMMTといえばコレ、というほど人気がある” “体力のある人にオススメ” と書いてあったが大いに納得。A面では地味な存在のA③④ですらリンゴのドラムがまるで鞭でも打つかの様にビシバシきまって実にスリリング。弾むような曲想が魅力のB①もこれまで聴いた中で一番元気な「ハロー・グッバイ」だし、B②の超絶ドラミングもDMM効果かまるでリンゴがユンケル飲んでパワーアップしたかのような凄まじいプレイが楽しめる。ハッキリ言ってこの2曲を聴くだけでもこの盤を買う価値があると思う。それにしてもビートルズの音楽をこんな強烈な音で聴くことになろうとは夢にも思わなんだ... (≧▽≦)
 まぁこの凄さは実際に聴いてもらうしかないが、あえて例えるなら昔ニンニク卵黄のCMに出ていたムキムキのお爺ちゃんみたいな感じで、古い音楽なのに音はパキパキに増強されているところが面白い。これを是とするか非とするかでDMM盤の評価は変わると思うが、私的には十分許容範囲内でこれなら日常聴きでも十分楽しめる。私はこの盤を聴いてDMM盤を全て集めてやろうと心に決めた。

②White Album (04173-A1+//D, 04173-B1+//D, 04174-A1+//D, 04174-B1+//D)
 「マジカル・ミステリー・ツアー」に続いて買ったのがこの「ホワイト・アルバム」で、盤はホワイト・ビニールでセンター・レーベルにはDMMの表記(←この表記があるのは「ホワイト・アルバム」「赤盤」「青盤」の3種類のみ)がある。ジャケットにはちゃんとナンバリングがあり、ポスターやポートレイトも付いている。左上に Pressung “WEISS” DMM というステッカーが貼られているのが目印だ。
 音質に関して言うと、全DMM盤の中では一二を争うマトモな音(笑)。確かに DMMらしくド迫力なサウンドなのだが音の分離が良く粒立ちも実にクリア。中域が分厚いUK盤とはまた違った音作りだが、ポールのベースがクッキリと聞こえてリンゴのシンバルもバシャーン!と炸裂するところなんか実に魅力的だ。煌びやかでありながらドンシャリに陥る一歩手前で音のバランスを上手くまとめてあるあたりはさすがという他ない。
 個々の曲ではまずA①③のリズム隊のパワーに圧倒されるし、A②のベース音のデカさにもビックリ(゜o゜)  A④の躍動感もハンパないし、A⑦のクラプトンのソロの説得力も凄まじい。C①やC④といったロックンロールのキレ味には圧倒されるし、B②やC②で聴けるジョンのヴォーカルも凄みを増している。ヘヴィー・メタルの嚆矢とでも言うべきC⑥の “指にマメが出来ちゃったよ!” というリンゴの叫び声も実にリアルに響く(笑) 一方B③やB⑧といったポールのバラードはクリアーで伸びやかな高域のおかげでその美しさに磨きがかかっているのだから、これはもう良いことずくめではないか。DMM云々は横に置いといても、このレコードは「ホワイト・アルバム」好きにはたまらない逸品だと思う。

ビートルズのドイツDMM盤特集②

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 ビートルズのドイツDMM盤はeBayではあまり出てこないので主にDiscogsで買い集めることにしたのだが、ここのセラーはeBayよりもかなりレベルが低いので往生させられた。ドイツDMM盤の識別法はマトリクス・ナンバーとランオフ・エリアの広さぐらいしかないので事前にメールで質問してから買うようにしていたが、メールしても返事が返ってくるのは2~3割だし(←ヤル気無いんか?)、調べてすぐにメールするからと言っておいてそれっきりとか(←ナメとんのか?)、オリジナル盤のリストに平気で再発盤を出品してたりとか(←ド素人か?)、酷いのになると事前のマト番確認でイエスと答えておきながら間違った盤を送ってきて涼しい顔のセラー(←ドイツ人は数字も読めへんのか?)もいたりしてめっちゃストレスが溜まった。そう言えばペイパルを拒否るセラーへの支払いも一苦労で、生まれて初めてウエスタン・ユニオン国際送金というのを試したのだが、食い逃げされても何の補償もない送金システムのため(←本来は家族や友人への送金システムで、商品代金の支払いに使うのはダメらしい...)実際にレコードが届くまでめっちゃ不安だった。今まで手数料が高いとペイパルをボロクソに言ってきたが、初めてペイパル様(笑)の有難味が身に沁みて分かりましたわ。ということで、そんな逆境にもめげずに執念で集めたビートルズのドイツDMM盤を順次紹介していきたいと思う。まずは初期ビートルズの4枚から。

①Please Please Me [04219-A2, 04219-B1]
 レコードに針を落としA①の演奏が始まるといきなり巨大化したベースがブンブン唸り度肝を抜かれる。初めて聴いた時は“何じゃいこれは???” と腰を抜かしそうになった。これではまるで “リード・ベース” だ! 又、ドラムのビートやハンドクラッピングもかなり大きめに入っており、スピーカーから音がすっ飛んできて顔と言わずどこと言わずパンチを食らわせる。いやはやまったく凄い音作りだ。しかし鬼面人を驚かすこの手の音は最初は面白いが、何度も繰り返し聴くうちにだんだんと不自然さが耳につくようになってそのうち必ず飽きてしまうものだ。
 それと、曲によってはヴォーカルにかけられているリヴァーヴが強すぎるように感じられるのも気に入らない。ビートルズの、いや、ロックンロールのヴォーカルに小細工なんか一切不要だ。ということで、この「プリーズ・プリーズ・ミー」DMM盤は私的にはイマイチだった。

②With The Beatles [04181-A1, 04181-B1]
 このレコードは「アナログ・ミステリー・ツアー」の中で “やりすぎ感全開のとんでもない1枚”“低域・高域共に音の暴力レベル” という煽り文句(?)で紹介されていたので “轟音大好き人間” の私は一体どんな凄い音がスピーカーから飛び出してくるのか興味津々だったのだが、実際に聴いてみると、“えっ? こんなもん???” というのが正直なところ。もちろん他のDMM盤同様にデカい音が入っているので普通の人が聴いたらビックリするだろうが、UK黄パロ1stプレスのモノラル・ラウドカットの凄まじい轟音(←A①でいきなりジョンの爆裂ヴォーカルがスピーカーから迸り出てきた時の衝撃は忘れられない...)に慣れた私の耳には “ちょうど良い塩梅の元気な音” という感じなのだ。
 楽器のバランスに関してはリズム隊がヴォーカルよりも目立っている(笑)トラックが多く、特にB①のシンバル乱舞やB⑤の超極太ベースは強烈無比だし、ハイハットのカウントで始まるヴァージョンのA③で聴けるジョンのリズムギターも快感そのもの...(^.^)  音質的には上記の「プリーズ・プリーズ・ミー」DMM盤とは違って結構気に入っている1枚だが、テープがヘタっていたのかB③で一瞬音が揺れる箇所があるのが玉にキズだ。

③A Hard Day's Night [04145-A1, 04145-B1]
 このレコードでDMMプレスに期待することと言えば何はさておきタイトル曲のイントロの “ジャーン!” に尽きるだろう。期待に胸を弾ませながら盤に針を落とすといきなりこちらの期待通り、いや、期待を上回る “ジャーン!” がまるでラオウの天将奔烈、北斗剛掌波のような凄まじさで炸裂するのだからたまらない(≧▽≦)  B①冒頭のドラム一発 “バン!” の乾いた爆裂音、そして間髪を入れずに飛び出してくるジョンの野太いヴォーカルもDMMならではのパワフルな音で楽しめるのが最高だ(^.^) 
 A②A④A⑥といったアイドル路線全開の曲はその躍動感に拍車がかかってウキウキワクワク感がハンパないし、驚いたことにB③やB⑥といったアコギ中心の曲でさえもDMM効果でパワーアップしており、力強いストロークに支えられてカッコ良さが倍増している。というワケで、初期ビートルズのDMM盤の中では断トツに気に入っているのがこの「ア・ハード・デイズ・ナイト」なのだ。

④Beatles For Sale [04200-A1, 04200-B2]
 このレコードは「アナログ・ミステリー・ツアー」では “ベースがデカ過ぎて云々” と書いてあったが、それより何より高音がキツすぎる。あちゃー、これはあかんやつや...(>_<)  ただでさえ音がデカいのに、高音がメタリックに響いて耳に突き刺さってくるようではとてもじゃないが音楽は楽しめない。UKオリジナル盤やデンマーク盤は音量を上げていってもうるさく感じないが、これは完全にアウト。
 A①A④B①のジョンのヴォーカルがまるで安物のラジカセで聴いているかのような “作りもの”っぽい声になっているのは興醒めだし、B②のジョージのギターもキンキン響いてやかましいことこの上ない。だからこの盤を聴く時はプリアンプのトレブルを3~4目盛り絞るようにしているが、そこまでして聴く価値のある音作りかといえば否と答えるしかない。上記のペイパル拒否セラーから苦労して手に入れたレコードというのが他でもないこのアルバムなのだが、まさに労多くして功少なし。80年代のドイツ人がコレを聴いてどう思ったのか聞いてみたいものだ。

ビートルズのドイツDMM盤特集③

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 ビートルズのドイツDMM盤特集パート3は中期の4枚をご紹介。初期の4枚に比べるとDMMの音作りがかなり安定してきているように思える。

①Help! [04257-A1, 04257-B1]
 ドイツDMM盤の一番の特徴はいわゆるひとつの “低域メガ盛り” だが、この「ヘルプ!」では “巨大化したベース” とか “地鳴りのように響くバスドラ” といった極端な欠点は影を潜め、同じ低音でも「プリーズ・プリーズ・ミー」のような野放図な“ボーン”ではなく沈潜的な“ズーン”に近い音へと質的な変化が感じられる。
 低域の深化によってA②やA⑦といったロック系の曲はドライで硬質な味わいが強まって押し出し感の強い強靭なサウンドになっているし、A③やB②といったフォーキーな曲では音像がひとまわり大きくスケールアップしていて聴き応え十分だ。ただし「ビートルズ・フォー・セール」ほど酷くはないものの、“高域を強調し過ぎ” という欠点が完全に解消されているとはいえず、ウチのシステムではA④やA⑤でプリアンプのトレブルを一目盛りほど絞って聴いている。DMMの音作りにおける “盛り” のさじ加減ってホンマに難しいですな。

②Rubber Soul [04115-A2, 04115-B1]
 「ラバー・ソウル」は泣く子も黙るUKモノ1stプレスのラウドカット盤の存在を抜きにしては語れない。ステレオとモノラルの違いがあるとはいえ、爆音が売りのドイツDMM盤のコンプリート蒐集を心に決めた時点から両者の比較が何よりも楽しみだった。実際に聴き比べてみると同じ爆音でもラウドカット盤の方は全帯域において音圧が高く、まるで巨大な音の塊がスピーカーから迸り出てくるような感じなのに対し、DMM盤の方は個々の楽器(特にベース)の音が強調されていてヘタをすると別ミックスのようにも聞こえかねないのだが、あくまでも許容範囲内に収まっているので聴いていて違和感を覚えるようなことは一切ない。一言でいうと、ラウドカット盤が “凄い音” で DMM盤は “面白い音”(←もちろん良い意味で...)という感じ。特にヘフナーからリッケンに持ち替えたポールのベース・ラインが他のどの盤よりもクリアーに聞き取れるので、“ここでこんなフレーズ弾いてたんか...” という発見があったりして中々楽しい(^.^)
 又、DMM盤特有の広いランオフ・エリアのおかげでラウドカット盤のA⑦で発生するいわゆるひとつの “内周歪み” に煩わされることなく音楽に浸れるのも大きなメリット。DMMならではのクリアーでシャキシャキした音はA⑤B①B③B⑦のようなアッパーな曲の魅力をアップさせているし、A④で眼前に広がる雄大な音空間もめっちゃ気持ちがいい。そういうワケで、ステレオに限って言えば両面マト2のUK盤よりもむしろこのドイツDMM盤の方がターンテーブルに乗る回数は多いかもしれない。ドイツ盤も中々やるやん(^.^)

③Revolver [04097-A1T, 04097-B1T+1]
 DMM盤の一番の特徴はでっかいベースの音であることは論を待たないが、「リヴォルヴァー」の原盤は元々低音重視の音作りがなされているせいか、他のDMM盤を聴いた時のようにベースの音のあまりのデカさに驚かされるというようなことはない(←まぁそれでも強烈な音が入っていることに違いはないが...)。それより何より印象的だったのは超クリアーな音でこのレコードが聴けることで、A②でイントロのコーラスに続いて右チャンネルから聞こえてくるポールのヴォーカルの生々しさは筆舌に尽くし難いし、左チャンネルから聞こえてくるストリングスの音もめっちゃアグレッシヴ(≧▽≦)  この1曲を聴くだけでもこのアルバムを買う価値は十分にあると思う。
 このDMM盤は音の定位もいじってあるようで、曲によってはかなりセンター寄りにヴォーカルが位置するので聴感上はモノラルに近いサウンドになっており、音が上下左右に散漫に広がらず真ん中に密集した結果、行き場を失った音が前へ飛び出してくるような感じがする。ひょっとすると担当したドイツ人エンジニアがステレオの左右感ではなく前後感を狙ったのかもしれない。この音作りはリンゴの超絶ドラミングが炸裂するA⑦やB⑦のような “リヴォッてる” 曲では特に効果テキメンで、他の盤とは一味違うカッコ良いトラックに仕上がっている。この2曲は絶対に大音量で聴くべし!だ。

④Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band [04177-A1, 04177-B1]
 手持ちの「サージェント・ペパーズ」のステレオ盤の中ではUK黄パロ盤とドイツ・ゴールド・オデオン盤、そしてこのドイツDMM盤がトップ3(←残念なことにニンバス・プレス盤は持ってない...)だ。この3枚はどれも甲乙付け難い高音質盤で、音の鮮度ではUK黄パロ盤が、ステレオ・ミックスの完成度ではドイツ・ゴールドオデオン盤が、そして音の凄さではドイツDMM盤が抜きん出ている。
 とにかくDMMのメリットを一番享受する楽器であるベースとドラムスの “音” の凄さは特筆モノで、A①やB③ではとてもリンゴとは思えないような(笑)ダイナミックなドラミングが炸裂、ビシバシ決まる一打一打が痛快そのものだし、B⑤では気合い十分のプレイで最高のビートを叩き出してバンドをグイグイ引っ張っていく。ポールのベース音も低くグワーンと下から突き上げるような感じで戦闘的に前へ飛び出してきて実に気持ちが良い。A②③ではゴムまりのように弾むベースがブンブン唸ってめちゃくちゃカッコ良いし、A⑤でズシリ、ズシリと響く様はまるで軍隊の行進のようで凄味すら感じさせる。このようにリズム隊が躍動するとバンドのドライヴ感に拍車がかかり、音楽が屹立する。まさに最高の再生芸術だ。ということで、数ある「サージェント・ペパーズ」盤の中で最もロックンロールを感じさせてくれるのがこのドイツDMM盤なんである。

ビートルズのドイツDMM盤特集④

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 ビートルズのドイツDMM盤特集パート4は後期の3枚+コンピ盤「レアリティーズ」だ。

①Yellow Submarine [04002-A1, 04002-B2]
 私にとってこの「イエロー・サブマリン」というアルバムは極論すれば「ヘイ・ブルドッグ」1曲のために存在する。楽しさ溢れる「オール・トゥゲザー・ナウ」やジョージの2曲はどーした?と言われそうだが、それら3曲はアルバムの中ではあくまでも名脇役であって決して主役ではない。一昔前のF1で言えば(←燃費を気にしながらペース配分して走らざるを得ない今のF1はクソつまらん!)ベルガーやパトレーゼ的な存在で、決してセナ、プロスト級ではないということだ。
 そんなワールド・チャンピオン・クラス(?)の超愛聴曲「ヘイ・ブルドッグ」がDMM効果によってどんな音で鳴るのかが聴きたくてこの盤を買ったのだが、結果は期待を裏切らない轟音で、自由闊達に歌いまくるポールのベース(←これホンマに凄いです!)がDMM特有のクリアーな音で聴けて大満足(^.^)  ダブル・トラック処理されたジョンのヴォーカルも実にパワフルに響くし、ガンガン打ちつけるピアノの低音もこの曲の持つへヴィネスに拍車をかけている。因みに爆音が売りの「イエロー・サブマリン・ソングトラック」の同曲とも聴き比べてみたがその差は歴然で、圧倒的にこのDMM盤の方が音が良かった。
 「ヘイ・ブルドッグ」以外では不気味にうごめくが如き低音が耳に残る「イッツ・オンリー・ア・ノーザン・ソング」やカオス状態でのハジけ方がイマイチ物足りない「イッツ・オール・トゥー・マッチ」よりも竹を割ったような潔さが気持ちいい「オール・トゥゲザー・ナウ」が出色の出来。躍動感溢れるリズムをザクザク刻むアコギの音はDMMとの相性バッチリで、この曲の魅力を上手く引き出した音作りになっている。

②Abbey Road [1042431 -A1, 1042431-B1]
 DMM盤というのは主役であるはずのヴォーカルやギターに遠慮せずに思う存分ベースとドラムスに浸りきるレコードだ。この「アビー・ロード」でもそれは同様で、「カム・トゥゲザー」や「ヒア・カムズ・ザ・サン」で聴ける肥大化したベースには言葉を失うし、一打一打に気迫がこもったリンゴのドラミングがドイツ盤ならではのクリアーかつダイナミックなサウンドで聴けるのも面白い。「アイ・ウォント・ユー」後半部の盛り上がりは確かにすごいし、B面メドレーの吸引力も中々のものだ。
 しかしこの「アビー・ロード」というレコードの本来の姿はあくまでもUKオリジナル盤で聴けるメロディアスなロック・シンフォニー絵巻の壮大なサウンドであって、バランスを崩してまで力強いビートを楽しむための盤では決してない。これはビートルズやジョージ・マーティンが意図したサウンドとは明らかに違う “デフォルメされたサウンド” であり、ベース&ドラムス好きの私ですら何回か聴くうちに飽きてきて “やっぱり耳に馴染んだUK盤の方がエエわ” と思ってしまった。そういう意味では “テクノロジーが生み出した鬼っ子” とでも言うべきこのDMM盤は万人にはオススメできない異端の1枚と言えるかもしれない。

③Let It Be [04433 -A1, 04433 -B2]
 “ロックンロール・バンドとしてのビートルズ” が好きな私はフィル・スペクターが女性コーラスやらオーケストラやらを付け足して厚化粧を施したアルバム「レット・イット・ビー」はセンチメンタルでかったるいサウンドが不満で、 “このレコードをもっとパワフルな凛々しい音で聴きたい!” との思いからPhil&Ronnie刻印入りUS盤や南アフリカ・マト1盤など色んな「レット・イット・ビー」に手を出してきたが、どれもこれも私が望む音とは程遠い中途半端なサウンドで、最近ではUKオリジ以外の有象無象盤はほとんど聴かなくなっていた。
 そういうワケで今回このDMM盤を手に入れた時もこれまでの経験から正直あまり期待はしていなかったのだが、実際に聴いてみてビックリ(゜o゜)  “軽やか” というイメージがあった「トゥー・オブ・アス」のアコギのストローク音は重厚に響くし、「アクロス・ザ・ユニバース」や「レット・イット・ビー」「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」といったスロー・バラードですら実にパワフルで一回りスケールアップして聞こえる。ましてや「ワン・アフター・909」や「ゲット・バック」といったアッパーな曲に至ってはDMM効果で聴感上の疾走感が大きくアップしており、“やっぱりビートルズはこうでなくっちゃ!” との思いを改めて強く感じさせてくれるバリバリのロックンロールになっている。他のDMM盤とは違ってベースやドラムスだけではなくギターもヴォーカルもコーラスも、盤に刻み込まれたありとあらゆる音に力感が漲っているところが素晴らしい。
 このレコードは “「レット・イット・ビー」はUK、デンマーク、そしてこのドイツDMM盤があればそれで十分”... そう言い切ってしまいたくなるような逸品中の逸品であり、全DMM盤の中で最もターンテーブルに乗る回数が多いアルバムなのだ。

④Rarities [06867-A2, 06867-B1]
 CD時代に入ってからは「パスト・マスターズ」に取って代わられ今や完全にその役目を終えた感がある「レアリティーズ」だが、1979年にこのアルバムが初めてリリースされた当時は「アクロス・ザ・ユニバース」の通称 “バード・ヴァージョン” が聴けるとあってファンの間でかなり話題になったものだった。
 というワケでこのアルバムの目玉トラックである「アクロス・ザ・ユニバース」を1969年にリリースされたオリジナルのRegal Starline盤と聴き比べてみたのだが、これはもう圧倒的にオリジナル盤の方が音が良い。イントロの鳥の羽ばたきからしてオリジナル盤の方が鳥の数が多いんちゃうかと思えるくらい自然な広がりを感じるし、アコギのコード・ストロークの音も力強く響く。要するに他の盤で聴けるようなDMMの良さが全く出ていない凡庸なサウンドなのだ。又、「抱きしめたい」のドイツ語ヴァージョンでは右スピーカーから聞こえるヴォーカルに風呂場で聴いているかのような過剰なエコーがかけられていて気持ち悪いったらない(>_<)  ビートルズの歌声にエコーをかけるな!!!
 しかし盤をひっくり返してB面に入ると状況は一変、1曲目に収められた「レイン」はそういった不満を雲散霧消させてしまう素晴らしいサウンドで、どんよりしたA面との違いにビックリさせられた。とにかく一つ一つのアタック音が “力強い” のだ。イントロでいきなり炸裂するリンゴのスネア5連打の凄まじさには思わずのけぞってしまいそうになるし、ポールのベースもブンブン唸って力強く脈打ちながら曲を根底からしっかりと支えている。調子に乗ってアンプのヴォリュームを上げていくとリスニングルームはまさにDMMワンダーランド、サウンドの大海原と化し、ジョンの名曲数え歌、ポール掟破りのインタープレイ、そしてリンゴのスーパー・テクニックが炸裂するドラミングはアックスボンバー三つ又の槍の如し(?)で、私なんか聴くたびに完全KOされてしまう。B面の残り7曲でもA面とは打って変わってDMMらしい元気溌剌としたサウンドが聴けるのだが、私的にはパワフルな「レイン」が聴けるだけで大満足だ。

ビートルズのドイツDMM盤特集⑤

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 ビートルズのドイツDMM盤特集の最終回はこの2セット計4枚のレコードで公式録音曲の約1/4を押さえたことになる「赤盤」と「青盤」だ。

①The Beatles 1962-1966 [05307-A2+//D, 05307-B2+//D, 05308-A2+//D, 05308-B2+//D]
 私が初めて買ったビートルズのアルバムは何を隠そうこの「赤盤」である。このレコードとの出会いがなければ私の音楽人生は今とはかなり違ったものになっていたか、ひょっとすると音楽に縁のない無味乾燥な日々を送っていたかもしれない。そういう意味でこのアルバムへの思い入れはめちゃくちゃ強いのだが、そういった個人的な思いを差し引いてもこのレコードは圧倒的に、絶対的に、超越的に素晴らしい。もちろんベスト盤ということでシングル・ヒット曲がたくさん入っていることもあるが、何よりもその選曲や曲の配置が素晴らしく、「ラヴ・ミー・ドゥ」から「イエロー・サブマリン」に至るまでの前期の代表曲26曲がまるでオリジナル・アルバムのような大きな流れを形作っており、LP2枚組丸ごと一気呵成に聴けてしまうのだ。今風の言葉で言えばまさに “神ってる” と言っていいかもしれない。
 そんな “究極の愛聴盤” がDMMでリリースされていると知って食指が動かないワケがない。しかも「フロム・ミー・トゥ・ユー」「シー・ラヴズ・ユー」「アイ・ウォナ・ホールド・ユア・ハンド」「アイ・フィール・ファイン」「ウィー・キャン・ワーク・イット・アウト」「デイ・トリッパー」「ペイパーバック・ライター」といったオリジナル・アルバム未収録のシングル曲がDMMの強烈な音で聴けるのだ。これを買わねばビートルズ・マニアではない。
 更に私の好奇心をくすぐったのが例の「アナログ・ミステリー・ツアー」に載っていた録音評だ。そこには何と “ドイツDMMの中で最も狂った音が聴ける” とか “極度に肥大した低域は曲が持つ意味合いをまったく変えており、聴いていてあっけにとられる” とか書かれていたのだ。 まぁ読み物としてはめちゃくちゃ面白いが、それにしても言うに事欠いて “最も狂った音” とは凄い表現だ。まさに “そこまで言うか...!” レベルの一刀両断ぶりだが、逆にここまで言われて “これは面白そうだ...” と思わなければビートルズ・マニアではない。
 このレコードは eBay には出ていなかったので Discogs で探すとラッキーなことに MoldyFigRecordsというセラーがNMの盤を$40で出していた。 Discogs のセラーはあまり信用できないので念のためにドイツDMMか確認(←レッド・ビニールの盤で、センター・レーベル左上にハッキリDMMと明記されており、ジャケット左上にはステッカーっぽい印刷がされている)のメールを送るとしばらくしてからYESという返事が来たのだが、驚いたことに私の確認メールを見てから $40 → $75 へとこっそり値上げしてあるではないか! こんなクソ野郎からレコードなんて買えるワケがない。ということでコイツは即ブロックして別のセラーからVG+盤を $28 で購入。届いたレコードはジャケットが少々傷んではいたが盤の状態はほぼ新品同様で大喜びした(^.^)
 で、肝心の音の方はと言うと、確かに低音はズンズン腹にくるし高音は突き抜けるように伸びているしでまさに絵に描いたようなドンシャリの音作り。特に凄まじいのはD面で、「ミッシェル」や「イン・マイ・ライフ」なんかもうデリカシーのかけらも感じられない(笑) “曲が持つ意味合いをまったく変えて云々...” の件はまさにこのあたりのことを指しているのだろう。UKオリジナル盤(マトは-1/-1/-3/-1)と聴き比べてみるとそのあたりの違いは歴然で、確かにDMM盤の音の出方はナチュラルさを欠いた武骨なもので堅気の音楽ファンにはちょっとキツいかもしれないが、爆音好きの私には十分許容範囲内。アンプのヴォリュームを上げていくと低音がグワ~ンと地を這うように伝わってきて尻がムズムズするし、バシャ~ンと破裂するように響くシンバルも耳に心地良い。やっぱりビートルズはガツン!とくる音で聴くに限りますな(^.^)

②The Beatles 1967-1970 [05309-A2+//D, 05309-B2+//D, 05310-A2+//D, 05310-B2+//D]
 私は「赤盤」でビートルズに入門した後、個々のアルバムを1枚また1枚という感じで買い揃えていったのでアルバム未収録曲の入ってない「青盤」をわざわざ買う必要がなくなり、付属のディスコグラフィーと年表欲しさでこのアルバムの中古盤を500円(!)で買ったのはかなり後になってからのことだった。そのせいもあって、「赤盤」に比べると私の「青盤」への思い入れはほとんど無いに等しい。
 しかし今回のDMM盤蒐集に関しては、安心ラクチン格安パックツアー(?)みたいな感じで手っ取り早く後期の代表曲をDMMの音で聴けるということで、ちょうど“DMMサンプラー”的な感覚でこのレコードを購入。こちらは eBayでイタリアのセラーから£24.99で買うことが出来た。
 届いた盤はもちろん青のカラー・ビニールだったが、何故か赤盤やホワイト・アルバムとは材質の違う半透明のレコードだ。しかし音の方は赤盤同様のアウトローっぷりで、縦横無尽に暴れまわるポールの巨大なベースがめっちゃ気持ちいい(^_^)  大音量で聴けばボディーブローの連打を浴びているかのような錯覚を覚えるヤクザな低音だ。高音域も確かに凄い爆発力なのだが、音作りの明確な方向性が決まらず迷走状態にあった初期アルバムのDMM盤のように音が耳に突き刺さるようなことはないので、竹を割ったような豪快な音で後期の曲を聴きたいというマニアには超オススメのレコードだ。

Battles Without Honor And Humanity: The Complete Collection Blu-ray Box

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 ビートルズのアナログ各国盤シリーズも一段落したので今回はガラリと趣向を変えて音楽から離れ、先月亡くなった松方弘樹の追悼に最近手に入れたブルーレイ・ボックスを取り上げようと思う。
 私は任侠映画の大ファンで古き良き東映黄金時代の諸作品から最新のVシネマまでほぼ欠かさず観ているのだが、これまで観てきた何百という任侠モノの中で私が最高傑作と信じて疑わないのが「仁義なき戦い」シリーズだ。そしてオールスター・キャストと言っても過言ではない超豪華な出演陣の中でも特に強烈なインパクトを受けたのが小林旭と菅原文太、そして当時若手の注目株だった松方弘樹だ。
 彼は5部作中の3作品にそれぞれ違った役柄で出演し、その3回ともに志半ば(?)にして殺されている。まさに “松方弘樹は3度死ぬ”(←007かよ...)というワケだが、それだけ深作欣二監督が彼の才能を高く買っていたということだろう。特に5作目の「完結編」で彼が演じた市岡輝吉のインパクトは強烈で、宍戸錠演じる大友勝利との絡みのシーンなんかもう最高だ。結局、彼は映画の真ん中あたりで殺されてしまうのだが、作品の途中で姿を消しても記憶に強く残る演技が出来るところに役者・松方弘樹の真骨頂があると思う。
 そんな彼の訃報は私にとっては大きなショックで、その週末は追悼のために「仁義なき戦い」を始めとして「修羅の群れ」「北陸代理戦争」「最後の博徒」「新・日本の首領」といった彼の代表作DVDを一気観。どの作品も文句のつけようのない名作だが、中でもやはり「仁義なき戦い」シリーズは異次元の素晴らしさだ。
 これらのDVDを観終わった後、ふと “大画面用にレストアしてブルーレイで出てへんかな...” と思いついた私(←去年観たシェア・スタジアム・ライヴのレストア版で味をしめた???)はすぐにアマゾンをチェック。シリーズ5作にボーナスディスクを加えた国内版ブルーレイ・ボックスを見つけたのだが、3万円はさすがにちょっと高すぎる。ヤフオクも似たようなモンで、既にDVDで持っている盤にそんな大枚を叩く気にはなれない。そこで国内がダメなら海外があるわいとeBayを覗いてみたところ、何とUS版のブルーレイ・ボックスが「Battles Without Honor And Humanity」というタイトルで出ているではないか! しかもありがたいことにリージョン・フリーで、何と英語の字幕付きらしい。あの強烈な広島弁のやり取りがどんな風に英語に訳されているのか、大いに興味をそそられるところだ。
 このUSボックスは2,500セット限定商品とのことで、発売から1年が経ちそろそろプレミアが付き始めているらしく、発売時は定価$100だったものが$250~$350ぐらいの高値で取り引きされていたが、ラッキーなことにたまたま$100の即決価格で出品されたブツを発見、送料込みでも国内版の半値以下で買える計算だ。私は迷わず買いを決めた。
 このボックスは第1作「仁義なき戦い」(Battles Without Honor And Humanity)、第2作「広島死闘篇」(Hiroshima Death Match)、第3作「代理戦争」(Proxy War)、第4作「頂上作戦」(Police Tactics)、第5作「完結篇」(Final Episode)の各巻がBlu-rayとDVD2枚組セット(共にリージョン・フリー)で、更に「総集篇」(The Complete Saga)Blu-ray 1枚が付いた13枚組セットになっており、日本語PCM音声に英語字幕が付いた美麗映像で深作欣二監督が作り上げた日本ヤクザ映画の金字塔を心ゆくまで堪能できる。
 ジャケットカヴァーはリバーシブル仕様になっており、表が描き下ろしオリジナル・イラストで、裏が日本公開時のオリジナル・ポスターという粋な作りになっているのもファンとしては嬉しい。更に「The Yakuza Papers」と題した全152ページのハードカヴァー・ブックレットまで付いており、各エピソードにおける人物相関図を始め、様々なエッセイやらインタビュー、そして貴重な写真が満載だ。
 映像は丁寧にレストアされており、大画面での鑑賞に十分耐えうるレベルまでグレードアップ。又、広島弁の英語訳も期待を裏切らない面白さで、“へぇ~、このセリフがそんな英語になるんか...” と大いに楽しませてもらった。松方絡みのセリフで特に印象に残ったものを挙げてみると...
①1作目、山守組若頭・坂井(松方)が山守親分(金子信雄)を恫喝するシーン
「あんたは初めからワシらが担いどる神輿じゃないの。組がここまでなるのに誰が血ぃ流しとるの?神輿が勝手に歩けるいうんなら歩いてみいや!」
(You're just the palanquin. We've always done the heavy lifting. Whe shed the blood to get us here? You think you can make it on your own, palanquin?)
仁義なき戦い 名言「神輿が勝手に歩ける言うんなら歩いてみいや 」

②5作目、敵対関係にあった大友勝利(宍戸錠)と市岡輝吉(松方)が兄弟盃を交わすシーン
「お互い分のある縁組みじゃけぇ、受けてもエエんじゃないですか」
(If this marriage can benefit us both, why not go along with it?)
「そらぁエエがのぉ、市岡、オマエ盃ゆぅモンを軽う見とりゃせんか?牛の糞にも段々があるんでぇ。おどれとワシが五寸か? 軽う見んな!」
(Fine, Ichioka, but aren't you taking the vows of brotherhood too fucking lightly? Even cow shit has different grades, you know. Are you saying you and I are equals? Don't insult me!)
仁義なき戦い 名セリフ 完結篇「牛の糞にも段々があるんで、おどれとわしが五寸かい」

③同じく5作目、敵の縄張を荒らしに乗り込んできた市岡輝吉組長(松方)が若い衆を煽るシーン
「オゥ、オマエら、かまわんけぇ、そこらの店、ササラモサラにしちゃれい!」
(Scatter into the shops around here and have yourselves some fun.)
仁義なき戦い 名セリフ 完結篇「そこらの店ササラモサラにしちゃれい」

 私はこの「ササラモサラ」という言葉の響きが大いに気に入り(←“メチャクチャ”っていう意味の広島弁か?)、昔気質のイケイケドンドンなヤクザを演じる松方の怪演と相まって忘れられないシーンになっているのだ。去年出たVシネマ作品でも有象無象の共演者たちが霞むような圧倒的な存在感で、まだまだこれからも楽しませてくれるだろうと思っていただけに彼の死は本当に残念だ。ここに心よりご冥福を祈りたいと思う。
 尚、松方以外では、1作目のラストで菅原文太が放つ名セリフ「山守さん、弾はまだ残っとるがよう...」(Yamamori, I've still got some bullets left...)があまりにも有名だ。
仁義なき戦い 名言「弾はまだ残っとるがよう 」

又、日本映画史上屈指の名シーンと私が信じる小林旭vs 梅宮辰夫(4作目)の火の出るような言葉の応酬...
小林:「広島極道はイモかもしれんが、旅の風下に立ったことはいっぺんもないんで。神戸のモンいうたら猫一匹通さんけん、おどれら、よぉ覚えとけや!」
(We may not be very sophisticated here in Hiroshima, but we never let visitors stand upwind of us. We won't let so much as a cat get through if he's from Kobe. Don't forget that!)
梅宮:「よぉし。おんどれらも吐いた唾、飲まんとけよ。ええな。わかったら、早よ いね!」
(Fine. You guys take care your spit doesn't blow in your own faces. Got that? Now get out of here!)
... は何度聞いても鳥肌が立つくらいスリリングだ。やっぱり東映の任侠路線は最高じゃのぉ...(^.^)
仁義なき戦い 名セリフ 頂上作戦 「広島極道は芋かもしれんが旅の風下に立ったこたぁいっぺんもないんでぇ」

Shogun's Samurai DVD

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 前回に引き続き今回も映画のDVDだ。私は映画に関しては音楽と違ってほとんど何も分からないド素人だが、そんな私が例外的に大好きなのが深作欣二監督の作品で、前回取り上げた「仁義なき戦い」に衝撃を受けてからというもの、彼の作品だけは欠かさず見るようにしてきた。その大半は私が大好きなヤクザ/アクション系の作品なのだが、そんな中で異色中の異色と言えるのが深作監督にとって初の時代劇である「柳生一族の陰謀」だ。
 時代劇といえばヘビメタも顔負けの様式美が当たり前の世界だが、深作監督はヤクザ映画で培ったノウハウを大量投下、千葉真一や松方弘樹、成田三樹夫に室田日出男といった「仁義...」の役者を配し(何と金子信雄まで出とるwww)、陰謀と裏切りの連続で観る者をグイグイ引き付け、迫力とスピード感に溢れた映画に仕上げている。その手法はまさに「仁義なき戦い」の時代劇版で、家光vs忠長の家督争いはさしずめ “小田原死闘篇” と言ったところか。
 私が「仁義なき戦い」のUS版ブルーレイ・ボックスを買った時にふと “他の深作映画もUS版出てへんかな~” と考え、真っ先に頭に浮かんだのが「仁義なき戦い」同様に数々の名セリフが飛び出すこの「柳生一族の陰謀」だった。早速eBayで検索してみるとアメリカ人に分かりやすい “Shogun's Samurai” というタイトル(副題は直訳の “The Yagyu Clan Conspiracy”)が付けられたDVDを発見、リージョン1なのが玉にキズだが$4.99という安値に釣られて即決。届いた盤はそのままでは観れないのでパソコンを使ってリージョンフリー仕様にシュリンクし、DVD-Rに焼いた。DVDのリージョンってホンマに鬱陶しいわ。
 この映画が封切られたのは私が高校生の時だったが、予告編のCMスポットで使われた秀逸なキャッチコピー「我につくも、敵に回るも、心して決めい」はめっちゃ流行ったように記憶している。DVDに特典映像として入っている Trailerで英語字幕を見てみると(←このセリフのシーンは予告編用に撮ったらしく、映画本編には出てこない...)“Take my side, or be my enemy... it's your decision.” となっていた。なーるほど、うまいこというなぁ...
 この映画の主役は柳生但馬守を演じる萬屋錦之介で、ラストの “これは夢じゃ。夢でござ~る!” を始めとしてその大仰なセリフ回しはこの濃すぎるぐらい濃いキャストの中でも一人だけ浮いている感が強い。私なんか逆にそのあたりに可笑しみを見い出して楽しんでいるが、やはり記憶に残るのはよろきんではなく私のお気に入りの役者たちが出てくるシーンだ。
 仁義なき戦いで強面のヤクザを演じた松方弘樹はこの映画では顔に醜いあざがあってしかもどもりというハンデを背負った徳川家光を熱演しているのだが、中でも一番印象に残っているのが謀略の限りを尽くしてついに将軍になった時に父親の遺影に向かって「親に逢うては親を殺し、仏に逢うては仏を殺す。」(I'll kill my parents if they stand in my way. I'll defeat Buddha if he interferes.)とドモリながら語りかけるシーン。その迫真の演技はさすがの一言で、一見の価値アリだ。まぁその直後に千葉真一扮する柳生十兵衛に首をハネられてしまうのだが...
 松方と同じく「仁義なき戦い」に出ていた成田三樹夫も私が大好きな役者さんで、そのザ・ワン・アンド・オンリーなキャラクターは主役を食ってしまうぐらい強烈なインパクトを残すことも多かったが(←服部刑事役で出ていた「探偵物語」では松田優作との絶妙な絡みは最高だった...)、何とここでは烏丸少将綾麿という剣豪の公家(←白塗りお歯黒でホホホと笑いながら武士たちを切りまくる姿はインパクト絶大!)を演じているのだ。JAC所属の志穂美悦子に向って、「去れ! 麻呂はオナゴを斬る剣は持たん。」(Go away, I won't kill girls.)と言い放つシーンも面白いが、やはり何と言ってもJACの親玉、千葉真一扮する柳生十兵衛との対決シーンでの「出ておじゃれ!... 姿は隠しても獣はニオイでわかりまするぞ。」(Come out!... Beasts smell even if they hide.)が一番好きでおじゃるよ(^_^)
 この二人以外ではカリスマオーラがハンパない三船敏郎や妖艶な美しさが際立つ大原麗子が良かったが、私的には徳川忠長役の西郷輝彦の意外な好演が一番の拾い物。西郷どんといえばどうしてもリズム歌謡御三家のイメージが強くて役者としてはまったく期待していなかったので、そのケレン味のない演技には感心させられた。特に駿府城での軍議の席で言い放った「もう遅い!... 手ぬるい!... 愚策!」(Too late! Passive! No good!)の3連コンボがめっちゃ気に入り、一時期職場でギャグとして使っていたほどだ。
 このように、ともすればマンネリ&ワンパターンに陥りがちな時代劇も深作監督が撮るとセオリーを無視した荒唐無稽なストーリー展開にグイグイ引き込まれ、ついつい時間の経つのを忘れてしまう。個々のシーンでも見どころが満載なこの映画、何回観てもホンマにオモロイわ(^.^)
Shogun's Samurai: The Yagyu Clan Conspiracy

Waltz For Debby 聴き比べ [Analogue Productions編]

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 ちょっと油断して目を離した隙にリリースされたレコードがたまたま運の悪いことに限定盤で、気付いた時には時すでにお寿司...(>_<) どこを探しても中々見つからずに悶々とした、という経験はレコード・マニアなら誰でも一度は覚えがあると思う。逆にそんなブツをやっとのことで手に入れた時の喜びはひとしおで思わず飛び上がりたいたいぐらい嬉しいものだが、私にとってそんな1枚が Analogue Productions から45回転盤の2枚組LPという形でリリースされたビル・エヴァンス・トリオ屈指の名盤「ワルツ・フォー・デビィ」である。
 このレコードが45回転盤で出ていることを知ったのは去年の暮れで(←遅っ!!!)、血眼になって eBay、MusicStack、CD and LP、ヤフオクとネット上のどこを探しても見つからなかったのだが、先週たまたまディスクユニオンの通販検索をしていて池袋店に中古で入荷したことを知り、即ゲット。やはり常日頃からマメにネットで網を張って情報収集を怠らないことが充実したコレクター人生を送るのに欠かせないのだなぁと実感した次第。
 私はこのアルバムをすでにCDで4種類、LPでもオリジナル・モノ盤と1990年代に同じAnalogue Productions から33回転で出たステレオ盤の2種類持っていて今回のが7種類目の「ワルツ・フォー・デビィ」になるのだが、すべてのジャズ・レコードの中で私が最も愛する1枚を音質的に有利な45回転盤で聴けるチャンスを逃す手はない。音の良さで私が絶大な信頼を置いている Analogue Productions 盤同士の聴き比べというのも興味をそそられるところ。因みに33回転盤はダグラス・サックスが、45回転盤はスティーヴ・ホフマンとケヴィン・グレイがマスタリング・エンジニアとしてクレジットされている。
 実際に前から持っていた33回転盤(APJ009)と今回手に入れた45回転盤(AJAZ9399)とを聴き比べてみたところ、どちらも同じ Analogue Productions 盤なのに音の傾向はかなり違っていてビックリ(゜o゜)  33回転盤の方はドラムスの音がグイグイ前面に出てきてモチアンが刻むリズムがチョー気持ちいいのに対し、45回転盤の方はリーダーであるエヴァンスのピアノが主体でありドラムスはあくまでも従者という感じで控え目に後ろからトリオを支えているような印象を受けた。良識あるピアノトリオ・ファンなら後者に軍配を上げるかもしれないが、ブラッシュが刻むリズムを中心にピアノトリオを聴くことを無上の喜びとする私としては断然前者の方が好み(^.^)  この違いは回転数というよりはおそらくマスタリング・エンジニアが意図した音作りによるものだと思うが、CDも含めて私が所有している全ての「ワルツ・フォー・デビィ」盤の中で最も鮮烈な音が楽しめるのがダグラス・サックスのミックスによるこの33回転盤なのだ。
 そもそもこのレコードの一体何が私をそれほどまでに魅きつけるかというと、一にも二にもA面2曲目に置かれたタイトル曲の圧倒的なスイング感、これに尽きる。もちろん1曲目の「マイ・フーリッシュ・ハート」でのリリカルで繊細なプレイにも心を揺さぶられるが、やはりその次に入っているタイトル曲が一番の聴きものだ。ポール・モチアンがあらん限りのテクニックを駆使しながら刻んでいく軽快なリズムがえもいわれぬスイング感を生み出し、それに乗せられるような形でエヴァンスが必殺のフレーズをキメまくり、そんなエヴァンスに対してスコット・ラファロがブンブン唸るベースで挑みかかるのだ。愛らしいメロディーに凄まじいスイング、そして火の出るようなインタープレイと、まさに言うことなしのスーパーウルトラ大名演だ。
【JAZZ】Bill Evans Trio Waltz for Debby sideA ANALOGUE PRODUCTIONS【レコード】


 話がタイトル曲一辺倒になってしまったが、もちろんB面も素晴らしい。特にB面1曲目に置かれた「マイ・ロマンス」のスイング感は最高だ(^o^)丿  この曲は元々スローなラヴ・バラードで、インストであれヴォーカルであれ原曲に忠実なスロー・テンポで演奏されるケースがほとんどなのだが(←実際、この日のイヴニング・セットで演奏されたテイク2は少しテンポが落とされていた...)、レコードの本テイクに採用されたアフタヌーン・セットのテイク1ではアップテンポでスインギーに演奏することによってひょっとすると作曲者のリチャード・ロジャースですら気づいていなかったかもしれないこの曲の新たな魅力を見事に引き出すことに成功している。そしてその絶妙なスイング感を生み出しているのがやはりポール・モチアンの変幻自在なドラミングなのだ。世間ではエヴァンス・トリオというと猫も杓子もエヴァンスとラファロのインタープレイのことしか言わないが、少なくともこの日のモチアンのプレイは私にとってはリーダーのエヴァンスやラファロをも凌ぐ大名演で、今どきの言葉で言うと “神ってる” プレイと言っていいと思う。
 私がジャズに求めるのは “クールで、軽やかで、粋なスイング” なのだが、この「マイ・ロマンス」やタイトル曲「ワルツ・フォー・デビィ」でエヴァンス・トリオが一体となって生み出す極上のスイングこそが私にとっての理想的なピアノ・トリオ・ジャズであり、そういう意味でもこのレコードはその美しいアルバム・ジャケットと相まって私が愛してやまない1枚なのだ。
【JAZZ】Bill Evans Trio Waltz for Debby sideB ANALOGUE PRODUCTIONS【レコード】

Jazz Pictures / Rita Reys

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 自分で言うのも何だが私はめちゃくちゃセコい貧乏コレクターなので、たとえどんなに欲しいレコードであっても自分が設定した予算を少しでも超えたらその盤は見なかったことにしてスパッと諦めるようにしている。逆にそうやって泣く泣く諦めた盤をどこか他所でめちゃくちゃ安く買えた時の嬉しさは筆舌に尽くしがたい。つい最近もそういう経験をしたので今日はそのレコードについて書こうと思う。そのレコードというのはリタ・ライスの「ジャズ・ピクチャーズ」オランダ・フィリップス・オリジナル盤(P 08062 L)である。
 リタ・ライスは1950年代後半から60年代にかけて活躍したオランダのジャズ・シンガーで、英語の発音がちょっとオランダ訛りなのが気になるが、その歌声自体は癖が無く、アルバムの選曲も有名なスタンダード中心なので非常に聴きやすい。私的には逆にその “癖の無さ” がちょっと物足りない感じで、もうちょっと強い個性があった方がエエのになぁ... というのが正直なところだが、スタンダード中心主義なのは大歓迎だ。
 そんな彼女の代表作と言えるこの「ジャズ・ピクチャーズ」を初めて聴いたのはオリジナル盤を集め始めて間もない頃で、難波にあったジャズ・レコード専門店「しゃきぺしゅ」の壁面を誇らしげに飾っていたこのレコードを店主の方が聞かせて下さったのだ。彼女のヴォーカルはハッキリ言ってあまり印象に残らなかったが、バックの演奏、特にドラムから白煙を上げそうな(?)勢いで強烈にスイングするケニー・クラークのブラッシュに完全KOされ、そのレコードがめちゃくちゃ欲しくなった。
 しかし、値札を見ると何と32,000円である。まぁレコ屋の壁を飾るぐらいやから安くはないとは思っていたが、ブルーノートやプレスティッジならまだしも、数千円がほとんどのヴォーカル物でウン万円となるとさすがに腰が引けてしまう。私は “やっぱりヨーロッパ盤は高すぎて手ぇ出ぇへんわ...(>_<)” と思いながら後ろ髪をひかれる思いでお店を出た。
 その後、この盤のことは高嶺の花とすっかり諦めていたのだが、あれから15年以上たった先月のこと、たまたまディスクユニオンの検索でこの盤を見つけたので値段を確認してみると、両面スレ多めでチリノイズありにもかかわらず21,600円だという。 “やっぱりハナシにならんな...” と思いながら興味本位に他のサイトでも検索してみると、何とDiscogsに €25で出ているではないか! しかも商品説明には “Plays nice VG+” とある。日本で何万円もする盤が送料込みでも3,000円台で買えるなんてホンマかいな??? 私は変な再発盤をつかまされるのだけは絶対に嫌だったので、念のためセラーにメールしてレーベルの写真を送ってもらったところ青銀レーベルに内ミゾありで、どこをどう見ても本物だ。私は小躍りしながら “注文する” をクリックした。
 届いた盤は nice VG+ どころかピッカピカの NM盤。ほとんどノイズなしでケニー・クラークのブラッシュが思う存分堪能できるのがめっちゃ嬉しい(^o^)丿  手持ちのCDと聴き比べてみても音の厚みが段違いで、改めてオリジナル盤の凄さを再認識させられた。特に強烈だったのは「チェロキー」と「アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー」における超高速ブラッシュ・ワークで、そのめくるめくようなスピード感は圧巻の一言に尽きる。又、「アイム・ゴナ・シット・ライト・ダウン・アンド・ライト・マイセルフ・ア・レター」での盤石と言えるリズム・キープも流石と言う他ない。この人やっぱり名手やわ(≧▽≦)
 ケニー・クラークの名演の陰に隠れがちだが、歌伴に徹するピム・ヤコブス・トリオのプレイも素晴らしい。特に「枯葉」や「プア・バタフライ」におけるルウト・ヤコブスの闊達なベースはこのアルバムの聴きどころだと思う。ツボを心得たピム・ヤコブスのピアノも軽快そのもので、ややベタつく感のあるリタのヴォーカルも強烈にスイングするバックの演奏のおかげで気持ち良く聴けるのだ。
 ジャズはスイング!を明快に物語るこのアルバムを15年越しで、しかも安く手に入れることが出来てめっちゃ嬉しい。ジャズに限らずロックや昭和歌謡でもまだ手に入れていない垂涎盤が何枚かあるので、これからは一枚一枚、一撃必殺の気合いで獲りにいくとしよう。

【追悼】チャック・ベリーよ、永遠なれ

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 昨日は侍ジャパンの練習試合を見るために休みの日にもかかわらず早起きしたのだが、試合の途中で中継が終了したのでそのままテレビをつけっ放しにして朝飯を食べていた。テレビでは豊洲がスベッたとか森友がコロンだとか相も変わらずクソしょーもないニュースを延々と垂れ流していたので鬱陶しくなり消そうとしたところ、“それでは次のニュースです。ロックンロールの神様と呼ばれるチャック・ベリーさんが亡くなりました。90歳でした。” というキャスターの言葉が耳に飛び込んできた。え~、チャック・ベリー死んだん??? これはエライコッチャの大ニュースである。練習試合なんか見てる場合ではない。
 もう今から40年以上も前の話になるが、中学に入って「赤盤」でビートルズに入門した私は少ないお小遣いをやりくりして他のアルバムを1枚ずつ買っていくことにした。当時は毎月3,000円もらっていたのでちょうど月1枚のペースになる計算だが、LPレコードを買えるだけのお金が貯まるのが待ちきれなかった私は(←こういうとこは今も昔と全然変わってへんな...)「赤盤」に入っていなかった初期のロックンロール・ナンバーをシングル盤で何枚か買って渇きを癒そうと考えた。そんなこんなで最初に買ったのが「ロール・オーバー・ベートーベン」と「ロックンロール・ミュージック」の2枚だった。
 もちろん当時の私はチャック・ベリーのチャの字も知らないド素人。オリジナルとカヴァーの違いすらよく分からず、数あるシングル盤の中からただただ本能の趣くままに一番気に入ったものを2枚選んだ結果がたまたまチャック・ベリーのカヴァーだったのだ。どちらも最初の数秒で心をわしづかみにされる “曲良し歌良し演奏良し” のスーパーウルトラ大名演でロックンロールにとって一番大切なカッコ良さに溢れているが、チャック・ベリーが原曲に封じ込めたロックンロール魂がビートルズにこんな凄い演奏をさせたのかもしれない。
The Beatles Roll Over,Beethoven[lyrics]

The Beatles - "Rock and Roll Music"


 チャック・ベリーはビートルズに最も大きな影響を与えたアーティストである。もしも彼がいなければビートルズがあのような形で世界を変えることはなかったかもしれないし、それはすなわちロックの、いや現在のポピュラー・ミュージックそのものの形態が大きく変わってしまうことを意味している。
 私は2年ほど前、シングル盤をガンガン買いまくっていた時にチャック・ベリーにハマってこのブログでも特集をやったが、USオリジナル・シングルで聴く彼の音楽は何十年もの時を超えて心にビンビン響いてくる。生きていることの喜びがダイレクトに伝わってくる。ロックンロールとは、その喜びの表現である。だから私は今もロックンロールが大好きなのだ。
 偉大なるロックンロールの創始者、チャック・ベリー... ここに心より彼の冥福を祈りたいと思う。 R.I.P. Chuck Berry, your music will live on forever.
Roll Over Beethoven - Chuck Berry LIVE

Chuck Berry - Rock And Roll Music

The Beatles (German Record Club Issue)【Balloon Cover】

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 リタ・ライスに続く “やっと手に入れた垂涎盤”シリーズ(?)第2弾はビートルズの Deutscher Schallplattenclub(ドイツ・レコードクラブ)イシューLP(H 052)で、ファンの間で通称 “バルーン・カヴァー” と呼ばれている1枚だ。
 レコード・マニアというのは通ぶって「〇〇カヴァー」などという、一般ピープルには意味不明の符丁を使いたがる傾向がある(でしょ?)。ビートルズだけでもかの悪名高き(?)「ブッチャー・カヴァー」(アメリカ)を始め、「ホース・カヴァー」(フランス)、「シェル・カヴァー」(オランダ)、「エスキモー・カヴァー」(デンマーク)など、挙げていくときりがないが、こうしたマニア内の仲間言葉はそれなりに有効で、これらのアルバムのどれをとってもその正式名称からはその有難味は浮かんでこない。だからここはやはりビートルズマニアらしく、「ドイチェ・シャルプラッテンクラブ・イシュー」などという舌を噛みそうな名前ではなく、「バルーン・カヴァー」入手!と厳かに宣言してしまおう。
 そもそも私がビートルズの「〇〇カヴァー」なるものに興味を持ったのは友人であると同時にレコード・コレクションの師匠でもある 901さんの影響で、ちょうどビートルズのUKオリジナル・モノ盤蒐集が一段落した頃に “こんなん見つけたんやけど、めっちゃ良いジャケット・デザインやねぇ” と言いながら緑の中で乗馬を楽しむ4人の姿が眩しいジャケットの “ホース・カヴァー” レプリカCDを見せていただいたのがすべての始まりだった。当時UK盤至上主義者だった私に各国盤の意匠を凝らしたユニークなジャケットを眺めながらビートルズを聴くという愉しみ方を教えて下さったのだ。最近ちょっとご無沙汰してますが、901師匠、ホンマに感謝しとります。
 ネット・オークションの普及によって、一昔前まではレコード屋の壁面を飾る数万円の盤がその半値以下の価格で入手可能になったというのは前にも書いたが、このレコードもそんな垂涎盤の1枚で、例えばディスクユニオンのビートルズ・セールでは目玉商品として35,000円~40,000円くらいの値が付けられている。人気の秘密は一にも二にもそのカラフルでサイケ・ポップな感じがたまらないジャケット・デザインにあるようだ。
 そのせいかオークションでもセラーは強気の値段設定で、$120~$150スタートというケースが多いが、私は何としても$100以下で買うと心に決めていたので、これまで中々入手できなかった。しかし待てば海路の日和ありとはよくぞ言ったもので、eBayに €60で出たばかりの盤を発見し、BUY IT NOWで即ゲット。アメリカとは違ってドイツからは送料も安く、1万円で軽くお釣りがくる値段で買うことができてめっちゃ嬉しい (^o^)丿
 届いたブツの梱包を解いてレコードを取り出した瞬間、ジャケットのあまりの美しさにハッとさせられたのが第一の衝撃で、とにかく写真の発色がめっちゃ綺麗(≧▽≦)  フレーム枠のサイケな色遣いも絶品で、パソコンの画面で見るのと実物とではエライ違いだ。ビートルズ・ファンにとって、これはもう見ているだけで目の保養になるジャケットだと思う。
 サイケなジャケットは「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」や「ペニー・レイン」、「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」といったナンバーを連想させるが収録曲は1963~66年までのコンピレーションで、A①エイト・デイズ・ア・ウィーク ②ロックンロール・ミュージック ③ノー・リプライ ④アンド・ユア・バード・キャン・シング ⑤グッド・デイ・サンシャイン ⑥オール・マイ・ラヴィング(ハイハット入り) ⑦アンド・アイ・ラヴ・ハー ⑧ア・ハード・デイズ・ナイト B①ガール ②エリナー・リグビー ③シングス・ウィー・セッド・トゥデイ ④イエロー・サブマリン ⑤イフ・アイ・フェル ⑥ミッシェル ⑦アイ・シュッド・ハヴ・ノウン・ベター ⑧ドクター・ロバート、という何の脈絡もない意味不明な選曲。
 そういうワケで聴く方に関しては正直あまり期待していなかったのだが、いざレコードに針を落としてみてその音の良さにビックリ(゜o゜)  大袈裟ではなくジャケットに続く第二の衝撃である。このレコードは1967年リリースのステレオ盤なのだが、この時点でドイツのステレオ技術がイギリスよりも一歩も二歩も先を行っていたということか、それともレコード・クラブ・イシューゆえの高音質なのか、そのあたりはよく分からないのだが、少なくともこのレコードに限って言えば素晴らしいステレオ・サウンドだ。この盤は美麗ジャケット目当てで買ったようなものだが、中身の方もそれに負けない音の良さで、“コレはホンマに買って良かったぁ...(^.^)” と喜び倍増の逸品なのだ。
 尚、以前ヤフオクでこの「バルーン・カヴァー」のレプリカ・ブートレッグ盤が8千円だか9千円だかのえげつない値段で出ているのを見たことがあるので、偽物にはくれぐれも気を付けましょう。本物はラミネート・カヴァーでマトリクス・ナンバーは機械打ちの 12PAL 4184-SM-1 / 4185-SM-1 です。

Revolver [German Export Gold Odeon盤] / The Beatles

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 私は音の良いレコードに出会うとすぐに “そのレーベルの音はすべて良いに違いない...” という妄想を抱いてしまう単純な人間である。今までそれで何度も何度も煮え湯を飲まされてきたにもかかわらず、喉元過ぎれば何とやらで懲りもせずに “今度こそは...” という儚い夢を抱きながら同じレーベルのレコードを買い、その音の違いに愕然とさせられるという愚行を相も変わらず繰り返しているのだ。実はつい最近もビートルズ関連で一つやらかしてしまったので、今日はそんな “ガッカリ盤” について書こうと思う。
 去年の秋から冬にかけて色んな各国盤をガンガン買い漁った件は何度も書いたが、その時に巡り合った「サージェント・ペパーズ」のドイツ・オデオン盤(ゴールド・レーベル)がめちゃくちゃエエ音で、そのステレオ・ミックスの完成度の高さにすっかり惚れ込んだ私の脳内には “ゴールド・オデオン・レーベルのドイツ盤=高音質” という先入観が刷り込まれた。
 それから3ヶ月ほど経った今年の2月のこと、eBayの定期(?)検索で「リヴォルヴァー」のゴールド・オデオン盤がヒット、商品説明には “エクスポート仕様のドイツ製1stプレス” とある。もうこの文言だけでめっちゃ良い音がしそうな感じがするが(笑)、それが嬉しいことに $15というもってけドロボー価格で出ているのだ。送料込みでも3,000円ちょいで大好きな「リヴォルヴァー」の超高音質ステレオ・ミックス(←とその時点では思い込んでいた...)が聴けると思うと居ても立ってもいられなくなり、私は即買いを決めた。
 レコードが届くまでの1週間、私は “ゴールド・オデオン・レーベル盤を集めるんやったら次は「ラバー・ソウル」がエエかな...(^_^) 「プリーズ・プリーズ・ミー」めっちゃ高いやん...(*_*)  そういえば「ハード・デイズ・ナイト」は「アナログ・ミステリー・ツアー」の本でボロクソに書いてあったけど、そんなに音悪いんやろか... (゜д゜;)” などと考えを巡らしながら、頭の中はゴールド一色に染まっていった。
 そして待望の「リヴォルヴァー」が届いた。ゴールド・オデオンのレーベル・デザインって何か洗練されてるし白地に赤色の文字が映えててホンマにカッコエエなぁ... などとウキウキワクワクしながらレコードをターンテーブルに乗せる。1曲目は「タックスマン」だ。えっ? 何この覇気のない音...??? 全体的に音がこもってるし音圧は低いし音像は小さいしで、ロックンロールのエネルギーが全く感じられない。これではまるで出来の悪い国内盤ではないか! 曲が終わるたびに “次こそは...” と虚しい期待を抱くのだが盤の途中で急に音が良くなるなどという奇跡が起こるわけもなく、ヘタレな音のまま結局ラストの「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」まで聴き終えた。
 改めて「アナログ・ミステリー・ツアー」を見てみると、“カッティングレベルが低いのでUK盤のように最初の一発でハッとさせるような驚きはないが、マスターの音のグラデーションを丁寧に拾い上げてフラットに音盤化した、派手さはないが噛むほどに味わいが増す1枚” とある。ヴォリュームを上げて聴くようにと書いてあったのでやってみたが、ショボイ音が増幅されるだけで余計にストレスが溜まってしまう。モノは試しと同じステレオのUK 1stプレス盤をかけてみると、いきなりガツン!とくるパワフルな音で、やっぱりロックンロールはこうでなくっちゃ!と快哉を叫びたくなった。
 ということでこのドイツ盤「リヴォルヴァー」は隣室行きが決定、当然ながら他のゴールド・オデオン・レーベル盤蒐集計画など頭の中から消し飛んでしまった。先のガイド本に “ドイツ盤探究は危険すぎる” と書いてあったが、愚かにもそれを自ら体験するハメになってしまうとは...(>_<)  やっぱりUK盤が一番エエわ!

The Beatles (Amiga 8 50 040)【Bagpipe Cover】

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 “最近買ったハズレ盤”シリーズ(←このブログでは2回続くとシリーズ扱いです...)第2弾は東ドイツの国営レーベルAMIGAからリリースされたビートルズのレコードで、通称「バグパイプ・カヴァー」と呼ばれているレア盤だ。
 このレコードの存在を知ったのは半年ほど前のことだが、その時はインド盤やらデンマーク盤やらで忙しく、“へぇ~こんな盤もあるんや... ビートルズのレコードって世界中で色んなのが出てるんやなぁ...” 程度の印象しかなかった。しかしその後、例のDMM盤関連でドイツ盤について色々調べていた時にこのレコードの再発盤(1983年リリースで、樹木や石壁などの背景が写ってるヤツ)に関する記述を見つけたのだが、そこには “西側諸国に比べて技術面で遅れていた東ドイツならではの古い真空管システムでカッティングされた素晴らしい音で、音質重視のビートルズファンにオススメ” みたいなことが書いてあった。
 “技術面での遅れから古い真空管システムでカッティングされて素晴らしい音に仕上がった”の件を読んで、私はすぐにインド盤のことを思い出した。しかも “音質重視のビートルズファンにオススメ” ときたもんだ。一体どんな音がするのだろう?? うーん、コレは絶対に聴かねばならぬ... と猛烈に好奇心をそそられて eBayをチェックしてみると、再発盤は何枚も出ているのだがオリジナル盤は2枚だけで、そのどちらもが €110オーバーというニンピニン価格(>_<) どうせ買うのならオリジナル盤が欲しいが、いくらレア盤とはいえミズテン買いで15,000円も出す勇気はない。
 eBayがダメなら Discogs があるわい、ということで覗いてみたが、こっちはこっちでジャケットが無かったり盤質が Good や Poor のオンパレードだったりで全くハナシにならない。最後の頼みの綱は MusicStackである。どーかありますよーに... と思いながら検索してみると、何とオリジナル盤が €25で出ているではないか! 何でこんなに安いんやろ?と思ってセラーに確認すると裏ジャケが破れてて書き込みもあるからだという。私は表ジャケと盤質さえ良ければそれでいいので “送料込みでも3,000円台や、ラッキー!” と大喜びで買いを決めた。
 しかし好事魔多しとはよくぞ言ったもので、世の中そんなに甘くはなかった。届いた盤のジャケットをしげしげと見つめながら “これが世に言う「バグパイプ・カヴァー」というヤツか。中々珍しい写真使うてるやん...” と悦に入っているうちはよかったのだが、いざレコードに針を落としてみると喜びが一気に落胆に変わった。A面1曲目は「シー・ラヴズ・ユー」なのだが、イントロで大爆発を起こすはずのリンゴのドラム・ロールがこじんまりしていて“何じゃこりゃ??” と肩透かしを食らう。何だかまるでAMラジオでも聴いているかのようなこもった音でガッカリ(>_<) しかもピッチが狂っているので(2分台の曲で約4秒速い...)聴いててめっちゃ違和感がある。一体これのどこが “素晴らしい音” だというのか? “音質重視のビートルズファンにオススメ” だとぉ? オマエの耳は虫でも湧いとるんか! これに比べれば前回ボロクソにけなしたゴールド・オデオン盤の方がまだマシだ。
 思わず怒りの展開になってしまったが、不幸中の幸いは被害が3千円そこらですんだこと。こんなアホバカ盤に大枚叩かんでホンマによかったわ。まぁ各国盤LPの音質なんて実際に聴いてみなければ分からないし、それがマニアックな盤であればあるほど情報が限られており、私のように偽情報に騙される人間が出てくるのも十分あり得ること。ビートルズの各国盤に足を踏み入れるということは清濁併せ呑む度量と覚悟が必要ということなのだろう。
 ただ、私の場合は “良い音” を期待して買ったので裏切られた思いが強いが、このレコードは音質なんか一切気にせずに広~い心で “そーかそーか、コレがベルリンの壁の向こう側の人達がリアルタイムで聴いていたビートルズのレコードなんか... ” という考古学的な(?)感慨に耽りながら聴くのが正解なのかもしれない。
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