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Channel: shiotch7 の 明日なき暴走
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“BANNER STEREO” レーベルのOZ盤で聴く中期ビートルズ

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 ダイソンのコードレス掃除機を買った。母親に敬老の日のプレゼントに何が欲しいか聞いたら「ダイソンの掃除機!!!」という答えが返ってきたので価格コムで最安値を調べてみてビックリ...(゜o゜)  他の国内メーカーのが1~3万ぐらいで買えるのに対し、ダイソンは5~8万円もするではないか! パナや東芝やったらアカンのかと問うと「吸う力が全然違うねん!ダイソン以外やったら要らんわ。」という(笑) それほど言うのならと近くの量販店に勤めてる知り合いに「何とか安ぅならへんか?」と頼むと、旧型をセールの目玉商品として出したのがまだ1台だけ残っているというのですぐさま直行し、定価56,000円のヤツを3,2000円でゲット。最新型は充電池が大きくなり稼働時間が伸びた分だけ重くなっているので、ウチ的には軽い旧型の方がありがたいし、価格コムの最安値より8,000円も安く買えたのが嬉しい。レコードであれ掃除機であれ、オイシイ買い物をした時は気分が良いものだ(^.^)
 そのダイソン・モーターヘッド(←ハードロック・ファンならこの名称だけでポイント高いでしょ?)を持って帰って早速使ってみたところ、まるでジェット機が離陸する時のようなキィーンという金属音と共にものすごい勢いで埃を豪快に吸いまくる。モノは試しとパナソニックのコード付き掃除機をかけてキレイになったはずの絨毯に使ってみたら、見る見るうちにダストボックスが一杯に...(゜o゜)  いやぁ~、これは看板に偽りナシの凄い掃除機だ。ヘッドがコンパクトで煩わしいコードもなくめちゃくちゃ軽いので、レコード棚に並んだLPの上に薄らと積もった埃(←これ昔から悩みの種でした...)も簡単に吸い取れるのがありがたい。今ではおかんよりも私の方が頻繁に使うぐらい気に入っているほどで、これで32,000円なら御の字だ。
 で、ここからが本題なのだが、前回取り上げたBANNER STEREO デザインのOZ盤がすっかり気に入った私はeBayのお気に入りに登録、“Beatles”に続けて“Australia”“Australian”“Aussie”“Aus”“OZ”それに“BANNER STEREO”と“PCSO”の7種類もチェックしなければならなくて面倒くさいのだが(←ニュージーランド盤は3種類で楽チンやのに...)、その甲斐あって同一セラーから一気に6枚をゲット! 5分おきに1枚また1枚とスナイプしていくのは何ともスリリングな体験だったが、幸いなことに6枚全部をトータルAU$366(日本円で約31,560円)で手に入れることが出来て大満足。ダイソンの掃除機1台の値段で OZ BANNER STEREO盤が一気に6枚も買えてめっちゃ嬉しい(^.^)
 今回ここで取り上げるのはそのうちの「ヘルプ」から「リヴォルヴァー」までの3枚で、音楽性が劇的に変化していった中期ビートルズのサウンドをオーストラリアのステレオ初回盤で一気聴きしてみようという企画。比較対象は前回同様UKイエロー・パーロフォン盤だ。

①Help! [PCSO-3071]
 今回 OZ BANNER STEREO盤を一気聴きしてみての第一印象は、アルバムによって当たり外れが結構激しいということ。前回取り上げた「プリーズ・プリーズ・ミー」は “当たり” の1枚だったが、その逆の “ハズレ盤” の筆頭に来るのがこの「ヘルプ!」だ。とにかく中低域が薄っぺらいスッカスカの音で(←特にA面が酷い...)このアルバムの一番の魅力である躍動感が全く感じられない。UK盤とは違う手彫りのマトリクスだったので恐らくOZ独自カットなのだろうと思っていたら案の定 “Cut locally from UK supplied tapes” という記述がスティーヴ・ホフマンのフォーラムにあったのでやっぱりなぁ...という感じ。とにかく音像は小さいし音圧は低いしで、BGMとして聞き流すのならまだ許せるが、スピーカーに対峙してアルバム1枚を聴き通す気にはなれないヘタレなサウンドだ。このOZ盤に続けてUK黄パロ盤を聴いてみたのだが違いは歴然で、“腹一杯ビートルズを聴いたぁ...(^o^)丿”という満足感に浸ることが出来た。

②Rubber Soul [PCSO-3075]
 これは良い! めちゃくちゃ良い!!! と思わず ! を3個も付けてしまったが、上記の「ヘルプ!」での体たらくが嘘のような高音質盤だ。“Pressed from UK supplied metal parts” というだけあって、A①のポールのベースなんて強靭そのものだし、続くA②のイントロの繊細なギターもバッチリで言うことナシ(^o^)丿 ビートルズの音楽が持つエネルギーを見事に音溝に封じ込めてあり、アルバム全体に力が漲っていて全帯域にわたって音のバランスも申し分なく、コクがあるのにキレもあるという感じの絶妙な音作りだ。マトを確認するとUK盤と同じ機械印字で枝番も同じ -2 / -2 。今回取り上げた3枚の中では一番音が良かったので、OZステレオ盤入門には最適の1枚と言えるだろう。

③Revolver [PCSO-7009]
 マトはUK盤と同じ機械印字で枝番も同じ -1 / -1 ということもあってUK盤と遜色のないガッシリと腰の据わったサウンドが楽しめる。上記の「ラバー・ソウル」ほどキレッキレというワケではないが、えてして緩く膨らみがちなポールのベースの音がキリリと引き締まっていて、A①なんか闊達なベースのラインが手に取る様に分かるのが凄い。A③A⑦B⑦のような “リヴォった” サウンドのドロドロしたカオス感の表現も秀逸だ。更にA②のアグレッシヴなストリングスといい、B②のシャープなギターといい、芯があってガツン!とくる音が大好きな私にとってはたまらない1枚だ。

NZ盤で聴く初期ビートルズ

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 これまでUK盤を皮切りにデンマーク盤、インド盤、ドイツ盤、オーストラリア盤と、良い音でビートルズを聴きたい一心で色んな国のレコードを買ってきた。その大半は十分傾聴に値する各国独自の音作りがなされており、UKオリジナル盤との聴き比べやら何やらで大いに楽しませてもらったが、上記の国々に続いて私が目を付けたのがガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」でも高く評価されていたニュージーランド盤だ。
 以前に行ったアルバム「ヘイ・ジュード」の各国盤聴き比べにおいてもUKオリジナル盤に勝るとも劣らない音を聴かせたNZ盤は私にとってまさに “ビートルズの高音質盤最後の秘境” と言っても過言ではなく、一体どんな音が聴けるのかワクワクドキドキさせてくれる存在だ。私のターゲットはもちろん60年代にプレスされた初回盤で、「アナログ・ミステリー・ツアー」で “一音一音の細部まで手に取るようにわかる、ニュアンスに満ちた繊細な音” といって絶賛されていた70年代や80年代プレスのNZシルヴァー・パーロフォン盤はパス。“繊細な音” が聴きたければそれこそハイレゾでも聴いてればいいと思うし、ビートルズの熱いロックンロールは60年代の 1stプレス盤をヴィンテージ・オーディオ装置で聴くのがベストと固く信じている私にとって、70年代以降にリリースされた有象無象の再発盤なんぞ無用の長物だ。
 NZ盤1stプレスのセンター・レーベルは「プリーズ・プリーズ・ミー」から「ア・ハード・デイズ・ナイト」までがブラック・パーロフォン(黒パロ)で、「ビートルズ・フォー・セール」から「サージェント・ペパーズ」までがブルー・パーロフォン(青パロ)、そして「ホワイト・アルバム」以降がアップルになっているのだが、いざネットオークションでNZ盤をチェックしてみても、人口が少ないせいでプレス枚数が少ないからか、どのレコードも中々市場に出てこない。特に、状態の良い黒パロ盤を探すのは至難の業なのだが、最近ラッキーなことに「プリーズ・プリーズ・ミー」と「ア・ハード・デイズ・ナイト」の2枚を手に入れることが出来たので、今日はその2枚を取り上げよう。

①Please Please Me [PMCM-1202]
 実はこの8月に大腸内視鏡検査を受けたのだが、腸を空っぽにするために1.5リットルも下剤を飲まされるという生き地獄を味わい、ボロ雑巾のようになって帰宅した私を待っていたのが “ほしい物リストのアイテム1点が出品されています” という Discogs からのメール。開いてみると何と入手困難なNZ黒パロ盤「プリーズ・プリーズ・ミー」がNZ$39(約3,200円)という信じられないような安値で出ているではないか! まさに地獄から天国とはこのことで、テンションが一気にMAXまで急上昇(笑) 垂涎盤入手の高揚感でポリープなんか消し飛んでしまうのがレコード・コレクターという人種なのだ。
 しかし一体何でこんなに安いんや??? と思ってよくよく見ると、盤質がVGでジャケットがGとなっている。Gはさすがにちょっとキツイかもしれんなぁと思ったが、これまで何度も買っている旧知のセラーだったのでダメ元で写真をメールで送ってもらったところ、ジャケットの方はかなりくたびれてはいるが十分許容範囲内。問題なのはレコード本体の方で、A②を縦断するように走る傷が白っぽく光っている。あまり出てこない盤なので出来ればこのチャンスを逃したくはないが、かと言ってあの不気味に白く光る傷が気になって中々購入に踏み切れない。
 困った私は友人であり師匠でもあるplincoさんに画像を添付したメールを送って意見を伺ったところ、「光の加減で何とも言えんけど、確かにちょっとヤバそうな傷やね。でもその値段やったら稀少盤の filler(埋め草)として取りあえず買っとくというのもアリかも...」というアドバイスを頂き、迷いが吹っ切れた私は即買いを決めた。
 届いた盤を恐る恐るかけてみたところ、確かにA②ではポツッポツッと周期的にノイズが入るがそれほど酷くはなかったし、それ以外ではA①前とA⑦前の無音部分でボン!という大き目のノイズが入るぐらいで曲に被っていないので私的には全然OKだ。音の傾向としてはコンプ感が弱めで、UK盤で言うと金パロの凶暴性(笑)を少し緩和してバランスを整えたような感じ。黄パロの低域をスッキリさせたようなサウンドと言ってもいいかもしれない。これが3,200円だなんてめっちゃ得した気分だ。背中を押して下さったplincoさん、どうもありがとうございました(^.^)

②A Hard Day's Night [PMCM-1230]
 この「ハード・デイズ・ナイト」のNZ盤、他国盤とは違ってジャケットのタイトルロゴが赤色ではなく白抜きになっているのが新鮮に映るのだが、何より面白かったのがスパイン(背表紙)部分のタイトル表記が A HARD NIGHT'S DAY になっていたこと。ネイティヴでもこんなアホなミスをするんやね...(^.^)


 音の方も個性的で、音圧がそれほど高くないせいもあってかガツン!とくるサウンドではUK盤に一歩譲るが、バックの演奏がやや引っ込み気味な分だけ天才シンガー、ジョン・レノンの歌声が際立って聞こえるので、ヴォーカル・グループとしてのビートルズの魅力を味わいたいのならこのNZ盤が良いかもしれない。「アナログ・ミステリー・ツアー」には “倍音全開でコーラスを切なく聴かせる、いわばジョンのボーカルの「女心」にスポットを当てた音で、ビートルズをぴんからトリオ的に捉えたNZ盤の視点は当然評価されてしかるべき” と書いてあり、最初は何を言いたいのかサッパリ分からなかったが、実際に聴いてみて著者の言わんとする所がようやく理解できた。私はビートルズの若さ溢れるエネルギーの爆発を全身で浴びたい時にはUK盤を、歌手ジョン・レノンの天賦の才を思う存分に堪能したい時にはNZ盤を聴くようにしている。
 このレコード、盤質表記はVGだったが “Have played both sides and although there're lots of light marks, low level crackle, plays really well.” という説明に嘘偽りはなく、ウチのシステムではEx+レベルの良い音で鳴ってくれたので大満足。これでNZ$60(約5,000円)なら安い買い物だ。こういう掘り出し物があるからビートルズの各国盤蒐集はやめられませんわ...(^o^)丿

NZ盤 vs OZ盤「Sgt. Pepper’s」

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 私のようにビートルズの各国盤蒐集にハマっている状態は一般ピープルの目から見ればほとんどビョーキみたいなモンだと思うが、その症状(?)が進むと対象はどんどんマイナーな国のレコードになっていき、プレス国の違いによる音質の差に一喜一憂するようになる。そういうワケで色んな国の盤を取っ替え引っ替えしながら聴き比べ三昧で愉しんでいる毎日なのだが、中でも興味深かったのがニュージーランド盤 vs オーストラリア盤というオセアニア対決だ。隣国同士で、どちらもその筋では高音質と評価されており、しかもOZ盤の中にはNZ委託プレスのものもあるというややこしい状況の中で、一体どっちが音がエエねん?という疑問にぶち当たった私は手持ちの盤で比較検証してみることにした。検体(?)はたまたまNZ盤の1stプレスと2ndプレスの両方を所有している「サージェント・ペパーズ」で、OZ盤も含めたトリプルスレットマッチでいってみようと思う。

①ニュージーランド盤 [PCSM-7027]
 NZ盤の「サージェント・ペパーズ」の1stプレス盤であるブルー・パーロフォン・レーベルが中々市場に出てこずに悶々としていた時にeBayで見つけたのがNZ 2ndプレスにあたるこのイエロー・パーロフォン・レーベル盤だ。セラーの説明によるとこれは1969年のプレスで、アルバム「イエロー・サブマリン」用に作った黄パロ・レーベルの残り物を流用したということらしい。本音を言えば当然 1stプレス盤が欲しかったが、2ndプレス盤の音質に対する好奇心と“Heavy Vinyl”という謳い文句、更に$30という安さに釣られて買ってしまった。
 しかし届いたレコードは特に重くもないし盤の分厚さも他のレコードと変わらない。これのどこが “Heavy Vinyl” やねん!と思いながら盤に針を落とす。第一印象は “特に欠点の見つからない平均点の高い音” という感じで全然悪くはないのだけれど、逆に青パロ盤への好奇心が刺激されたのも事実で、“これはやっぱり1stプレスを聴いてみんわけにはいかんなぁ...” といういつもの展開になってしまった(笑)
 で、“似非重量盤” の2ndプレス購入から半年が経って、ようやく念願の1stプレス盤をゲット、NZ$50(約4,100円)なら私的にはお買い得価格だ。レコードが届いてまず最初にやったのは2ndプレス盤との比較。NZ盤の「ペパーズ」はゲイトフォールド(見開き)タイプではなくシングルジャケットなのだが、2ndプレスに比べてスパイン(背表紙)部分が太くて読みやすいし、ジャケット写真の発色も1stプレスの方がキレイだ。盤の重さは149gで 2ndプレス盤よりも3g重い... って何か肉屋にでもなったような気分。
 肝心の音の方は、さすがNZ盤と言っても過言ではないナチュラルなサウンドで、しっかりと腰の据わった中低域と伸びやかな高域のバランスが素晴らしい。2ndプレス盤と比べると薄~いヴェールを1枚剥いだような感じでベースがプリプリと一皮むけた様に聞こえて耳に心地良く、なるほどこれが1stと2ndの鮮度の違いかと納得。しかし単品で聴く分にはそれほど大きな差は無いので、見方を変えれば 2ndプレス盤のコスパが高いということになるのかもしれない。

②オーストラリア盤 [PCSO-7027]
 BANNER STEREOのデザインは「プリーズ・プリーズ・ミー」のイメージが強いので、OZ盤とは言え「サージェント・ペパーズ」との組み合わせは実に新鮮だ。ジャケットはNZ盤とは違ってUK盤と同じゲイトフォールド・タイプで、例のサイケなインナー・スリーヴ(←以前ヤフオクで5,000円で売ってたのを見て笑ってしまった...)もちゃーんと付いている。重さはNZ 2ndプレス盤と同じ146gだ。
 このOZ盤はNZ盤同様にマトがUK盤と同じ機械印字で枝番も同じ -1/-1 ということもあってかUK盤に非常に近い音がする。音の鮮度・生々しさという点ではUK盤に一歩譲るものの、目隠しテストをすればその違いはほとんど分からないのではないか。「ペパーズ」のUK 1stプレス盤はかなりの高値が付いているので “UKオリジナル” に拘らなければかなりお買い得な1枚と言えそうだ。
 肝心のNZ 1stプレス盤との比較だが、例えば「ルーシー・イン・ザ・スカイ」におけるベース音の響きで言うと(←ホンマにベース好きやな...)、弦がキリリと引き締まって聞こえるウェルバランスなNZ盤に対し、ベースの弦が一回り太く感じられてそっちに意識が行ってしまうのがOZ盤。料理に例えると、最後の仕上げとして丁寧に味を調えてあるNZ盤に対し、UKマスターという“素材”の味をストレートに出す音作りなのがOZ盤、とでも言えばいいのか。まぁ普通に聴く分にはどちらも甲乙つけ難い高音質であることは間違いないし、曖昧な結論で申し訳ないが、あとは聴く人の好み次第だろう。それにしてもサイケな万華鏡サウンドの「ペパーズ」3枚連続聴き比べって結構キツイもんがありますな... さっきから頭の中がお花畑状態ですわ...(*_*)

NZ盤 vs OZ盤②「Abbey Road」

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 ニュージーランド盤 vs オーストラリア盤対決の第2弾は「アビー・ロード」だ。NZ盤は1st プレスと2nd プレス、OZ盤は2nd プレスと3rd プレスで計4枚を聴き比べてみた。

①ニュージーランド盤 [PCSM-7088]
 半年ほど前のことだが、「アビー・ロード」のNZ 1stプレス盤を落札した翌日にセラーからメールが届いた。盤質表記はNMだったのだが、梱包している時に新たな傷に気付いたとのことで、(1)「全額返金」、(2)「半額にディスカウント」、(3)「2ndプレス盤と併せて2枚送る」、の3つの選択肢のうちから選んでくれという。“何じゃいそれは... ”と思ったが、届いてから “傷いってるやんけ!!!” と揉めるよりは(←最近も2件ほどあって怒りの返品したった... ヨーロッパのセラーは目ぇ悪いんか???)よっぽどマシだ。該当箇所の写真をメールで送ってもらったところ、音には出そうだが針飛びはなさそうに見えたので、希少なNZ盤の1stプレスと2ndプレスの聴き比べをするのも一興と思い(3)を選択、結局 NZ$60(約4,800円)で「アビー・ロード」のNZ盤2枚を手に入れた。
 1stプレス盤はセンター・レーベルのリム部分の表記が“MADE IN NEW ZEALAND BY HIS MASTER'S VOICE (N.Z.) LIMITED”でB面に「ハー・マジェスティー」のクレジット無し。マト枝番は -2/-1 で裏ジャケットのフリップバック部分が黒色、盤の重さは160gだ。気になっていた傷は見た目はヤバそうだがラッキーなことにほとんど音に出ず、とりあえずは一安心(^.^)  私としては2ndプレス盤をタダで手に入れたようなものだ。
 音の方は文句なしの高音質で、どっしりした中低域と伸びやかな高音域のバランスが実に気持ちイイ(^o^)丿 「カム・トゥゲザー」の生々しさはさすがNZ盤と言えるものだし、「サムシング」や「ヒア・カムズ・ザ・サン」の根底を支えるベースの動きも闊達そのもの。B面のメドレーも雄大な音楽の流れに身を委ねるような感じで、個々の音を聴こうとしてもいつの間にか音楽に聴き入ってしまうぐらい心地良いサウンドに仕上がっている。
 2ndプレス盤はセンター・レーベルのリム部分の表記が“MANUFACTURED IN NEW ZEALAND BY E.M.I. (N.Z.) LIMITED” と HIS MASTER'S VOICEからEMIに変わっており、B面に「ハー・マジェスティー」のクレジット有り。マト枝番は1stプレスと同じ -2/-1 で裏ジャケットの縁部分は白色、盤の重さは141gだ。1stプレスに比べると中低域は少しスリムになり、高音部が多少華やいで聞こえる。「アナログ・ミステリー・ツアー」に掲載されているのはこの2ndプレス盤だが、“高域の再現性に優れる” という説明はこのあたりのことを言っているのだろう。私的には1stプレス盤の音の方が好みだが、人によってはこっちの方が好き、と好みが分かれるかもしれない。

②オーストラリア盤 [PCSO-7088]
 OZ盤はNZ盤に比べてプレス枚数が多いのでバカ売れした「アビー・ロード」なんか簡単に手に入るだろうとタカをくくっていたのだが、実際に探してみるとコレが中々市場に出てこない。色々調べてやっと見つけたのが MusicStack に出品されていた1枚で、“Apple(1969) Stunning very rare Australian pressed vinyl.” という説明を見て “やっと見つけたぁ!” と大喜び\(^o^)/  NZ$35(約2,800円)という安さもあって何も考えずに即ゲットした。
 しかし1週間ほどして届いた盤はジャケットはラミネート・コーティングしてない安っぽい作りだし、盤自体も薄くて軽い(118g)。慌ててマト枝番を確認すると -3/-2 ではないか! あちゃ~(>_<) コレはどう見ても1979年プレスの再発盤だ。慣れないOZ盤で確認を怠った私の完全なミス。まぁしゃあない。コレも各国盤蒐集の授業料だと思って潔く受け入れよう。音の方も盤同様に薄っぺらいもので、痩せ細った中低域にはガッカリだし、「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」のサビに入る直前に左chから聞こえるバリッというノイズにも唖然(゜o゜)  ハッキリ言ってこれはアカンやつですわ。教訓:私のようなアンチ再発盤コレクターでビートルズのOZ盤を狙っている人は必ずラミネート・ジャケットか確認しましょう!!!
 そういうワケで意地でも1stプレスが欲しくなった私は “ラミネート・ジャケットでマト枝番 -2/-1 のOZ盤「アビー・ロード」” に的を絞って網を張り、2ヶ月かかってeBayでようやくゲット。1stプレスはピンクがかった印刷エラーで有名な通称「ブラッド・ステイン・カヴァー」と呼ばれる超稀少盤で、私が手に入れたのは厳密に言うと2ndプレスということになるのだが(←それでも色合いが少し赤味がかってる...)、ほぼ同時期の69年プレスなので音質的に違いはないだろう。
 盤の重さは120gと思いのほか軽いのだが、音の方はというと “やっぱり60年代プレスは最高やなぁ...(^.^)” と思わず目じりが下がる豊潤なサウンド。私の重量盤信仰を木っ端微塵に打ち砕いた1枚だ。何はさておき冒頭の「カム・トゥゲザー」からベースの音が深い井戸の底から響いてくるような重低音で嬉しくなってしまうし、リンゴのドラミングの凄さもリアルに体感できる。これはもう低音がどーとか高域がこーとかいう次元を遥かに超えた、再生芸術の鑑とでも言うべき見事な音作りだ。やっぱりアナログはカッティング・エンジニアの腕で決まるんやね。
 とにかく全編通して上記のNZ盤に勝るとも劣らないスーパーウルトラ高音質で、眼前に生々しい音楽が屹立し、ついつい時のたつのを忘れてしまうくらいビートルズの音楽に引き込まれていく。やはり再発盤との10年という差はとてつもなく大きいと感じた次第。因みにこれでOZステレオ盤はUSマザーの「ホワイト・アルバム」を除いて(←どんだけUS盤の音嫌いやねん!)完全制覇だ(^o^)丿

NZ盤シングルで聴く炎のロックンロール特集

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 NZ盤祭りの最終回はシングル盤特集だ。半年ほど前にNZ盤LPを集めようと心に決め、ディスコグラフィーのようなものがないかネットで調べてみたところ、「The Beatles Bible ~Not quite as popular as Jesus~」(←この副題好き!)というサイトを発見、プルダウン・メニューの Discographies をクリックしてみると何と世界41ヶ国(←ボリビア、コンゴ、コスタリカ、エクアドル、レバノンといった超マイナーな国の盤も載っててビックリ...)のビートルズ・レコードがカラーで紹介されているではないか!
 うわぁ~、コレはとても真似でけへんわ... と感心しながらNZ盤のページをチェックしてみたところ、LPだけでなく何とシングルやEPまで載っている。そこで興味本位にシングル盤のページを覗いてみたら、UKオリジナルで出ていない曲がいくつもシングルカットされているのだ。もちろん手当たり次第にシングルを切りまくっていた日本やアメリカほど多くはないが、それでも初期から中期の「ラバー・ソウル」あたりまではNZ独自のシングルが何枚か出ており、“一体どんな音がするんやろ?” と好奇心をくすぐられた。
 そこで “NZ盤の高音質パワーとシングル盤の45回転パワーの相乗効果で凄まじい音が聴けるのではないか?” と考えた私は早速eBayでチェック。するとラッキーなことにたまたま同一セラーが何枚もNZ盤シングルを出しており、1枚当たり$5.00ということもあって大漁落札。今日はそんな中から初期ビートルズ屈指のロックンロール・シングル4枚を取り上げよう。

① I Saw Her Standing There [NZP 3154] Jan.1964
ニュージーランドで「プリーズ・プリーズ・ミー」「フロム・ミー・トゥ・ユー」「シー・ラヴズ・ユー」「抱きしめたい」に続く5枚目のシングルとなったこのレコードは「ラヴ・ミー・ドゥ」がA面なのだが私にとっては断然こっちがメイン・サイドだ。音の方はコンプ感が弱く、もっとガンガンくるかと身構えていたのでちょっと肩透かしを食ったような感じ。個々の楽器の音の分離感も今一歩というところで、ハンドクラッピングなんか全体のサウンドの中に埋もれがちな印象を受けた。試しにUKゴールド・パーロフォン盤LPと比べてみるとその違いは歴然で、ハンドクラッピングがしっかりと自己主張して絶妙なアクセントになっているし、ズンズンと響いてくる低音の押し出し感といい、有無を言わせぬ強烈無比な音圧といい、まさに “神ってる” としか言いようのない素晴らしいサウンド。改めてUK 1stプレス盤の実力を思い知らされた。

② Roll Over Beethoven [NZP 3158] May.1964
 NZ6枚目のシングル「キャント・バイ・ミー・ラヴ」が発売された翌月にドドーッとまとめてリリースされたのが②③④だ。この②のA面「オール・マイ・ラヴィング」はUK盤EPで45回転の音を聴けるるので、私の狙いはB面「ロール・オーヴァー・ベートーヴェン」の貴重な45回転サウンド。高域寄りの音作りのためかイントロのギターは鋭利なナイフのように耳に突き刺さってくるし、まるで狐でも憑いているかのように(笑)シンバルを乱打するリンゴにもビックリ(>_<)  NZ盤は一般的に高音質で知られるが、少なくとも初期ビートルズのロックンロール・サウンドに関してはまだまだ試行錯誤と言う感じで、UKオリジナル盤のサウンドの方が私には合っていると感じた。

③ Twist And Shout [NZP 3160] May.1964
 ①②の2枚は私的にはイマイチだったがこの「ツイスト・アンド・シャウト」は期待にたがわぬ豪快なサウンドがスピーカーから飛び出してきて大喜び(^o^)丿 音作りのバランスがスウィート・スポットにピタッとハマッたような感じだ。まぁ①と同じアルバムに入っている曲なのになぜこんな風に違いが出るのか私にはサッパリ分からないが、ジョンのヤクザなヴォーカルといい、バリバリと響き渡るエッジの効いたギターといい、リンゴの豪放磊落なドラミングといい、この曲に関しては迫力十分で、UK金パロ盤や同じ45回転のUK EP盤にかなり近いサウンドが楽しめた。

④ Money [NZP 3161] May.1964
 この曲の入っている「ウィズ・ザ・ビートルズ」のUK 1stプレス盤は腰を抜かすようなラウド・カットで知られているが、このNZ盤シングル・ヴァージョンも音圧に関してはかなりのもので、初期ならではのパワフルなロックンロールが炸裂する。ただ、②と同様にやや高域が強めに入っているので私にはプリアンプのトレブルを1目盛り絞って聴くとちょうどいい感じ。同じNZ盤でも33回転LPの方はもっと中低域が分厚いサウンドだったので、ひょっとするとエンジニアがシングル盤向けにこういう音作りにしたのかもしれない。

 ということで当初の予想とは少々違った結果となったNZ盤シングル一気聴き。単体で聴けば決して悪くないサウンドなのだが、UK盤の音と比べてしまうとそちらに軍配を上げざるを得ないというのが正直な感想だ。アナログのサウンドってホンマに奥が深いですな。

Help!(SMO 984008)/ The Beatles【Beach Cover】

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 ビートルズのレコードには発売国独自のオリジナル・ジャケットが存在するケースが少なくない。しかもその多くはジャケットを見ているだけで幸せになれそうな秀逸なデザインのため、各国盤蒐集のモチベーションを大いに高めてくれるのだ。かく言う私もいわゆるひとつの “ディフ・ジャケ” にハマったクチで、1年ほど前に清水の舞台から飛び降りるつもりで買った「エスキモー・カヴァー」で味をしめてからというもの、理性という名のブレーキを失った私は「シェル・カヴァー」「バルーン・カヴァー」「チェア・カヴァー」「ミット・カティスタッド・カヴァー」と、コレクターの間で「○○カヴァー」と呼ばれる逸品を次々とゲットしてきたのだが、中には値段が高すぎて買えなかった盤もある。そんな恨めしいレコードが今日取り上げるエクスポート仕様の「ヘルプ!」で、通称「ビーチ・カヴァー」と呼ばれている1枚だ。
 このレコードの存在を知ったのは半年ほど前のことで、Discogsでドイツ製の輸出仕様盤について調べていた時に偶然見つけたのが事の発端だった。カタログ・ナンバーのアタマがSMOで始まる盤を検索すると、「ヘルプ!」のジャケ左上のodeon/EMIロゴが青色の縁取りの盤、同じ構図でロゴの縁取りが緑色の盤、そしておなじみの手旗信号写真ではなくビーチで佇む4人のショットをフィーチャーした盤の3種類がヒット。ビーチの写真といえば見開き日本盤の裏ジャケやメキシコ盤のものしか知らないが、そのどちらとも違う写真が使われており、柔和なポールの表情とそれを見つめるジョンの屈託のない笑顔、ちょっとお疲れ気味(?)のジョージ、そしてペンキまみれで情けない顔のリンゴという4者4様のコントラストがめっちゃエエ味を出していた。
 すぐに “コレは欲しい!!!” と思って値段を見たのだが、目の玉が飛び出るようなスーパーウルトラ・プレミア価格にビックリ... (゜o゜) ユーロやポンドで4桁行くなんて、とてもじゃないが手を出せる額ではない。ビートルズ関連で10万円を超えるのはステレオ金パロとブッチャー・カヴァー、インドSP盤ぐらいしか知らなかった私には衝撃的な出会いだった。その後、eBayでも網を張ってみたところ半年間で2回出品されたが、どちらも10万円前後で落札され、貧乏コレクターの私はただただ指をくわえて見ているしかなかった。
 このレコードはドイツ製のスイス向け輸出盤(SMO 984008)で、レーベルは珍しいイエロー・オデオン。スイスの Ex Libris というクラブ・イシューで、プレス枚数が極端に少なかったため(←スイスやもんね...)鬼のようなプレミア価格で取り引きされているという。eBay を見てみると “MEGARARE”“MONSTER RARE(笑)”“ULTRA HARD TO FIND” といった煽り文句と共に出品され、大金持ちコレクターによる凄まじい争奪戦が展開されるのだ。
そういうワケですっかり戦意喪失した私は Discogs に戻って“SMO”の検索を再開したのだが、そこで見つけたのが2000年にリリースされた “ビーチ・カヴァー” のカウンターフィット盤。Discogs では今年の9月からアンオフィシャル・リリース盤、つまりブートレッグの取り扱いを禁止しているが、その時はまだカウンターフィット盤がカタログに載っていて堂々と買うことが出来たのだ。
 もちろん本物を手に入れるに越したことはないが、宝くじでも当たらない限りそれは不可能に近いし、「ビーチ・カヴァー」に関してはあくまでもジャケット目当てなのでカウンターフィットの偽物音質でも気にならない。逆にたったの $25であの魅惑のジャケットが手に入ると思うと居てもたってもいられなくなり、私は即買いを決めた。
 届いたレコードはさすがに偽物だけあってジャケットの造りはそれなりだが、価格差を考えれば致し方の無いところ。魅惑のジャケット・デザインをLPサイズで安く手に入れただけで十分だし、カウンターフィット盤なんて所詮そんなものだろう。将来万が一アブクゼニを手にするようなことがあれば是非とも本物を拝んでみたいものだ。
 音の方はハッキリ言ってゴミ(笑)で、A①「ヘルプ!」なんか例のギターの下降フレーズが聞こえないに等しく、何じゃいこれは???という感じ。これ以上聴いても時間の無駄だと思って針を上げたので残りがどんな音か知らないが、元々目の保養のために買ったレコードなので正直どうでもいい。ただ、センター・レーベルだけはオリジナル盤を細部まで精巧に再現しており、唯一の違いはセンター・レーベル下部の “ST33” の3の字体が丸いかどうかだけというのだから恐れ入る。まぁこのレコードに関してはジャケットだけを壁に飾り、中身の方は隣室の “一生聴かないかもしれないコーナー” 行きなのでレーベル云々は関係ないのだが...

ビートルズのスウェーデン盤特集①「Let It Be」

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 これまで何度も書いてきたように私を各国盤蒐集という桃源郷に引きずり込んだのは例のガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」だが、ページの半分以上を有象無象の再発盤やUS盤、日本盤に割いているあの本の中で私の興味を引いたのがインド盤とドイツDMM盤(←コレは再発やけどめっちゃ良かった!)、そして今日取り上げるスウェーデン盤だった。
 まず私の目に留まったのが「ホワイト・アルバム」のスウェーデン盤に関する記述で、“毎日お風呂に入りそうな、清潔な音” という表現に興味を抱き、次に「レット・イット・ビー」の “原盤の音情報を忠実に記録する技術力がある”“プレスが非常に丁寧で、NZ盤を彷彿とさせる幽玄な音を聴かせる” という記述に “何かちょっと面白そうやな...(^_^)” と好奇心をそそられ、“他のタイトルに関してもNZ盤のUKマザーといい勝負をするのではないか” “スウェーデン盤は中々市場に出回らず、いざ探そうとすると入手は難しい” という行を読んでコレクター魂に火が付いたというワケだ。
 まず最初にどんな盤が出品されているのか見ようと eBay で検索してみたのだが、ビートルズのスウェーデン盤はワンボックスEMIのシルヴァー・パーロフォン盤ばかりでガッカリ(*_*)  「ヘイ・ジュード」のUK輸出仕様LP以外の銀パロ盤に用はない。しかし Discogs を見てみると、“幽玄な音” とやらを聴かせるという「レット・イット・ビー」が何枚か出品されていたのでその中から一番盤質が良さそうなのを購入。スウェーデン盤は狙ってる人がまだ少ないせいか、€20で買うことが出来た。
 一口にスウェーデン盤と言ってもアップル・レーベルになって以降はそのヴァリエーションは多岐にわたっており、私が調べた限りでは一体どれが1stプレスなのか、はたまたどれが一番音が良いのかがハッキリしない。私が買った盤はジャケットがドイツ製(←裏ジャケ右上にドイツを表す国別コード 1C が記されている)でレコード本体は Made In Sweden、しかもセンター・レーベル右上にあるカタログ№はオランダを表す国別コード 5C で始まっており(←本に載ってたのはココが PCS 7096 で、多分スウェーデン国内向けプレス)、これはつまりスウェーデンでプレスした盤をドイツ製のジャケットに入れてオランダで販売したということを意味している。ややこしい話が苦手な私は、裏ジャケがレッド・アップルでマトが YEX 773-3U PCS 7096 A/YEX 774-3U PCS 7096 B MA ということで、たぶん1stプレスだろうと判断した。
 このレコードは私にとって初めてのスウェーデン・プレス盤ということで一体どんな音がするのか興味津々だったが、そもそも湯浅氏の言う “幽玄な音” とは一体どんな音なのか、何となく分かったような分からんような曖昧な表現でスッキリしない。「幽玄」を辞書で調べてみても「趣きが深く味わいが尽きないこと」となっていて、趣きや味わいとは無縁の生活をしている私にはいまいちピンとこなかったので、私はレコードが届くのが待ち遠しくて仕方なかった。
 届いたレコードはジャケットも盤もピッカピカで、もうそれだけでテンションが上がってしまう。で、肝心の音だが、ハッキリ言ってコレは「大当たり」!! 一番の特徴は倍音成分が豊かなことで、そのために音に厚みを感じるところが◎  A①のアコギなんかまるで弦の数が増えたかのように豊かな音色で響くし、ジョンやポールのヴォーカルも輪郭がハッキリしていてシャープに聞こえる。A③なんかまさに“幽玄” を絵に描いたようなサウンドだし、B②やB⑤といったストレートアヘッドなロックンロール・ナンバーも軽快で小気味よいノリが満喫できる。UKマザーながら手持ちのどの「レット・イット・ビー」とも一味違う独自のサウンドで、私はめっちゃ気に入った(^.^)  ニュージーランドとオーストラリアも一段落したので、次はスウェーデン盤を狙おうかな...

ビートルズのスウェーデン盤特集②「Hey Jude」

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 前回取り上げた「レット・イット・ビー」がめっちゃ良かったので “よっしゃ、次はスウェーデン盤いったるぞ!” と張り切ってオークション・サイトを色々チェックしてはみたものの、肝心のブツがほとんど市場に出てこない。The Beatles Bible サイトの DISCOGRAPHIES によると、スウェーデンではリアルタイムで「プリーズ・プリーズ・ミー」から「レット・イット・ビー」までのオリジナル・アルバム12枚に加えて「オールディーズ」や「ヘイ・ジュード」を含めたベスト盤3枚の計15枚がリリースされているはずなのだが、オークションで見かけるのは70年代プレスのリイシュー盤ばかり。
 特に「プリーズ・プリーズ・ミー」から「サージェント・ペパーズ」までの初期~中期アルバムのスウェディッシュ・1stプレスであるイエロー・パーロフォン・レーベル盤はプレス枚数自体が少ないのか、まったくと言っていいほど出てこないし、ごくごくたまに見かけても$300~$500という人をバカにしたような値付けでハナシにならない。
 そんな中、網に引っ掛かってきたのが「ヘイ・ジュード」だ。このレコードは厳密に言えばアメリカ主導のコンピレーション盤ながら、オリジナル・アルバム未収録の重要なシングル曲である「レディ・マドンナ」や「ヘイ・ジュード」、「ジョンとヨーコのバラード」が収録されているし、私が大好きなシングルB面曲「レヴォリューション」や「ドント・レット・ミー・ダウン」も入っているということで、私の中では “「ホワイト・アルバム」と「アビー・ロード」の隙間を埋める準オリジナル・アルバム” という位置付けの好盤なのだ。去年このブログでも手持ちの「ヘイ・ジュード」を9枚ほど特集したので、これで10枚目ということになる。
 この「ヘイ・ジュード」スウェーデン盤はガイド本「アナログ・ミステリー・ツアー」の初回試聴では “おざなりな眠い音” という低評価だったものの、ヴォリュームを適正レベルまで上げて聴いた2度目の試聴では“音圧は低いものの繊細さではかなりのもの” で “ドイツ・マザーながらドイツ初期プレスとはマト枝番が異なり音の傾向も違う” “音圧を稼いでいない分、音の隙間がキレイなのはNZ独自カットを想わせる” という高評価。UK盤だけではなくドイツ盤やNZ盤との聴き比べも面白そうだ。
 私が手に入れた盤は本に載っていた盤とはマトは同じ(1C062-04348-A-1F / B-1F)ながらレーベル面の表記はかなり違っており、私の盤には北欧圏の著作権管理クレジット“ncb”の表記がなくて更にA③が「PAPER BACK WRITER」、A⑥が「REVOLUTIONS」というUK輸出仕様の初期盤にあったのと同じミススペルになっていることから類推すると、どうやらコレが正真正銘の 1stプレスのようだ。因みにジャケットは表裏共にキレイにコーティングされており、表面左上と裏面右上に 4E 062-04348 という数字が記されている。盤の重さは 150gだ。
 A①「キャント・バイ・ミー・ラヴ」から聴き始めたが、まず感じたのは “フラットな音” という印象で、低域から中高域にかけて特定の音域が分厚くなるということもなくバランス良くスラーッと伸びている感じ。だからA③「ペイパーバック・ライター」なんかUK盤シングルのガンガンくるアグレッシヴなサウンドに慣れきっている私は最初ちょっと拍子抜けしてしまったが、よくよく考えてみれば音圧を盛って盛ってド迫力サウンドのUK盤シングルに仕上げる前段階の音が楽しめるワケで、コレはコレでアリやなぁと思えてくる。
 だからA④「レイン」なんかUK盤ではグチャグチャなサウンド(笑)の中に埋もれがちだった細かい音まで聞こえてめっちゃ面白いし、A⑤「レディ・マドンナ」やA⑥「レヴォリューション」といったシンプル&ストレートなロックンロール・ナンバーではパワーと繊細さを高い次元で両立したサウンドが楽しめ、スウェーデン盤も中々やるやん!と感心してしまった。
 B①「ヘイ・ジュード」ではベースの音がやや線は細いもののキリリと引き締まって歯切れよく、フェイド・アウト寸前までその動きがクリアに聞き取れる。ベース・ラインが印象的なB④「ジョンとヨーコのバラード」でもそれは同様で、低音域の下の方をスパッと潔く切り捨ててスピード感を取った感じのサウンドが気持ちイイ。前回の「レット・イット・ビー」もそうだったが、他とは一味違うスウェーデン盤独自の音作りは私のようなUKオリジナル盤至上主義者にとっても十分に魅力的でコレクタブルだと思う。

ビートルズのスウェーデン盤特集③「White Album」

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 「レット・イット・ビー」や「ヘイ・ジュード」といった後期ビートルズのサウンドとスウェーデン・プレスの相性の良さを実感した私は次のターゲットを「ホワイト・アルバム」に絞った。例の “毎日お風呂に入りそうな、清潔な音” というのを聴いてみたかったからだ。早速Discogs で調べてみたが何故かリイシュー盤しか載っていなかったので eBay でチェックしてみると、「アナログ・ミステリー・ツアー」に掲載されていたのと同じ盤が£600(=約88,800円!)というニンピニン価格で出品されていてビックリ(゜o゜)  1976年に出たリイシュー盤も1枚出品されてはいたが、それですら€100(=約13,200円)だ。いくらプレス枚数が少ないとはいえ、なんで「ホワイト・アルバム」のスウェーデン盤にそんな高値が付くのか謎だが、何にせよ1万円超えだなんて興味本位で手を出すにはちょっと高すぎる(>_<)  私はいつものように持久戦を覚悟し、安くて盤質の良いブツが出てくるのを待つことにした。
 それから1ヶ月ほどして、先の£600と同じ盤が eBayに£30で出品された。この価格差は一体何なん?と思わず突っ込みたくなってくるが、商品説明には “TOP COPY”“BOTH DISC IN GREAT CONDITION” とあり、マト枝番も -1/-1/-1/-1 ということで、コレは何としてもゲットせねばと不退転の決意で£70を突っ込んだが結局ライバルは現れず、スタート価格の£30で落札。なんで誰も来ぇへんのやろ?と少々拍子抜けしたが、トップ・コンディションの稀少盤を5,000円弱で手に入れることが出来た喜びの方が遥かに大きい(^.^)
 レコードはイギリスからわずか8日で到着、ロイヤル・メールは相変わらず優秀だ。ジャケットはドイツ製でサイド・ローディング。タイトル・ロゴとシリアル・ナンバー(№802465)はエンボス加工されている。センター・レーベルに記された著作権管理クレジットは北欧圏のncbではなくオランダのSTEMRAで、センター・レーベル右上のカタログ№もオランダの国別コード5Cで始まっていることから考えて、前々回取り上げた「レット・イット・ビー」と同じくこのレコードも “オランダ・マーケット向けのスウェーデン・プレス盤” ということだろう。
 最大の関心事である音の方は贅肉を削ぎ落としたような感じで上の方までキレイに伸びており、音の細部までキメ細やかに描写するタイプ。 “清潔な” 音というのは言い得て妙で(←毎日お風呂に入るかどうかまでは知りません...)、入っている音はすべて出してしまおうといった感じの音作りだ。 “清流の川底の小石を見るような音” と言ってもいいかもしれない。昔オーディオ・フェアで聴いたリンのプレイヤーが確かこんな音で鳴っていたような記憶がある。「ディア・プルーデンス」を始めとするいくつかの曲では “こんな音も入ってたんや...” みたいな新発見があり、それだけでもこの盤を買った甲斐があるというものだ。
 音圧はそれほど高くないが、アンプのヴォリュームを一目盛り上げてやるとカチッとまとまった芯のあるサウンドがスピーカーから飛び出してくる。一番の聴き物は「ブラックバード」や「マザー・ネイチャーズ・サン」、「アイ・ウィル」といったアコースティック系ナンバーで、楽器のリヴァーブ再現がリアルそのものなので音の広がりが豊かに聞こえるのが嬉しい(^.^)  まるで脱脂綿で拭いたかのような清潔な音作りなので「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス」や「ヤー・ブルース」といったブルージーなナンバーでは音の混濁感が後退したせいか “髭を剃ってスッキリしたクラプトン” みたいなソロ(?)が愉しめるし、私の手持ちの盤の中で「ハニー・パイ」のジャジーなフィーリングを一番うまく表現しているのが何を隠そうこのスウェーデン盤なのだ。
 惜しむらくは、ややハイ上がりなサウンドのため「バック・イン・ザ・USSR」や「バースデー」といったアッパーな疾走系チューンではスピード感がアップしたように聞こえるものの、中低域がスリムなためにUK盤と比べるとボディーブローのように腹にズンズンくる音の押し出し感が今一歩なところ。もう少しバスドラのドスッという低~い帯域のエネルギー感が欲しい。ただしそれはあくまでもUK初版と比較しての話であって、このレコード単品で聴けば不満の無いレベルだ。去年ハマりまくったデンマーク盤といい、今回特集しているスウェーデン盤といい、ビートルズの北欧プレス盤は侮れませんな。

ビートルズのスウェーデン盤特集④「Abbey Road」

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 ビートルズのスウェーデン盤を集めていて一番困るのは圧倒的に情報が少ないということである。元々プレス枚数が少ないために市場に出回るブツの数が限られているし、UK盤やUS盤と違ってマイナーな存在のためコレクターの蒐集対象になりにくくネット上を探してもビートルズのスウェーデン盤を系統立てて整理したサイトが見つからない。しかもオランダやイタリアといった他国マーケット向けのスウェーデン・プレスも少なからず存在していて状況をよりややこしくしているのだから始末が悪い。このようにある意味カオスな状況を呈しているスウェーデン盤だが、中でも最も厄介だったのが今日取り上げる「アビー・ロード」だ。
 私はこれまで各国盤を買う時はいつも例の横野氏のサイトの情報を頼りにしてきたが、さすがにスウェーデンなどというマイナーな国のレコードは載っていなかったので、残るはもう Discogs しかない。しかし困ったことにDiscogsにおけるスウェーデン盤の扱いは極めてぞんざいで、「アビー・ロード」のスウェーデン1stプレスに関しては表ジャケだけで肝心のセンター・レーベルの写真が載っておらず、“レーベルはダークグリーン・アップル”“レーベル面に Her Majesty 表記あり”“著作権管理クレジットはNCB”“マトはYEX749/750” という説明が申し訳程度に添えられているのみ。当然ながら1枚も出品されていない。一方、2ndプレスにあたる1978年リリースの再発盤は何から何まで事細かに説明してあって、当然レーベル写真や裏ジャケまで載っている。「アビー・ロード」のスウェーデン盤1stプレスってそんなにレアなのか???
 ここで一計を案じた私はpopsike で「アビー・ロード」のスウェーデン盤1stプレスを検索してみた。するとここ数年でたったの1枚だけしか売られておらず、しかも 1stプレスを謳ったその盤はセンター・レーベル写真からマトリクス№(YEZ 749-2 PCS 7088 A / YEX-750-2U PCS 7088 B)、マザー/スタンパー(3 MÅ/MÅ)までDiscogs掲載の2ndプレス盤と全く同じ。念のためeBayで検索してみたところ、市場に出ていた2枚はやはり同じマト番だった。一体どーなっとるんや?
 そこで最後の手段として、Discogsに「アビー・ロード」のスウェーデン盤を出品しているセラーたち全員にセンター・レーベルの写真を送ってくれるようメールして頼んだところ、送られてきた写真はすべて2ndプレス盤と同じものだったので、私はとりあえずその中から安くて盤質の良さそうなものを1枚オーダーすることにした。€12のNM盤だ。
 届いたレコードのジャケットはビニールコーティング仕様ではなく光沢ニス加工仕様。盤の重さも115gしかない。これはどこをどう見ても70年代中期以降の再発盤ですわ。やっぱりハズレやったか... と一瞬ガッカリしたがコレばっかりは仕方がない。“もう再発でも何でも構わんからどうかエエ音で鳴ってくれよ...” と祈るような気持ちでレコードに針を落とした。
 スピーカーから飛び出してきた音はこれまで聴いてきた他のスウェーデン盤と同傾向の “キメ細やかで尚且つ芯があるサウンド” で、嬉しいことにそれが「アビー・ロード」の音楽にドンピシャなんである。「カム・トゥゲザー」でのリンゴの切れ味鋭いドラミングも、「サムシング」におけるポールの驚異のベース・ラインも、「アイ・ウォント・ユー」後半のただならぬ緊張感も、「ヒア・カムズ・ザ・サン」の爽やかなギターの音色も、B面後半メドレーのめくるめくような展開も、「ジ・エンド」のギター・バトルのカッコ良さも、とにかくどこを切っても「アビー・ロード」の音楽性を上手く表現しているのだ。
 私は “再発盤のくせに結構やるやん!” と感心する一方で、もし69年に出た1stプレスが本当に存在するなら(←ビニール・コーティング・ジャケットで、盤は分厚くて150gぐらいあるはず...)是非この耳で聴いてみたい... との思いを強くした。まぁ気長に探してみるとしよう。

インド盤で聴くジョージとジョンのベスト盤

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 今年も残すところあとわずか... 毎年この時期になると多くのビートルズ・ファンは亡くなってしまった2人のビートル、ジョージとジョンに思いを馳せる。私もその例にもれず、このブログでもカヴァー曲やシングル盤など、その時々で自分がハマっていた題材を元に色んな切り口で2人の特集をしてきた。私の2017年はビートルズの各国盤蒐集に明け暮れた1年だったので、今日は2人がそれぞれ70年代にリリースしたベスト・アルバムのインド盤を取り上げようと思う。

①Best Of George Harrison [PAS 10011]
 本家本元のビートルズとは違ってソロ・アルバムを各国盤で、というマニアはさすがにあまりいないのか、Discogs を探すとかなりの数が出品されている。しかも1枚の値段が数ドルというお買い得盤も少なくないのでありがたい。私が買ったこのジョージのベスト盤も NM でたったの €10。センター・レーベルは他の70年代中期インド盤と同じくイエロー・パーロフォン(←インドでは「赤盤」「青盤」の2ndプレスや「ロックンロール・ミュージック」の1stプレスが黄パロ)で、マトリクスは YEX 961-1 / YEX 962-1A だ。
 ご存じのようにこのレコードはA面がビートルズ時代の、そしてB面がソロになってからのヒット曲という中途半端な構成のためにリリース当時はあまりファンの話題に上らなかった記憶があるが、各国盤コレクターとなった今の私にとっては「ラバー・ソウル」以降のジョージの代表曲をインド盤独自の真空管カッティングの音で手軽に楽しめるという、安心ラクチン格安パックツアー的な1枚なのだ。
 音の方はたかがインド盤(失礼!)と侮っていると驚かされること請け合いの良い音で、真空管カッティングならではの温かみのある分厚いサウンドが楽しめる。中でも私が一番気に入ったのはフィル・スペクターの音壁プロデュースここに極まれりと言うべき「マイ・スウィート・ロード」と「ホワット・イズ・ライフ」で、スペクターのザ・ワン・アンド・オンリーなウォール・オブ・サウンドとインドならではの真空管カッティングの組み合わせの相乗効果なのか、音空間の広がり方がハンパなく、UK盤と聴き比べてみても明らかに違う雄大な音で鳴るのが面白い。コレは買って大正解だった(^.^)

②Shaved Fish [PCS 7173]
 このインド盤「シェイヴド・フィッシュ」の魅力(?)は何と言ってもそのユニークすぎるジャケットに尽きるのではないか? 「ラバー・ソウル」ジャケットのジョンの顔を模したイラストがオレンジ色(!)の雲間に漂い、そのバックには巨大な日の丸が描かれているという非常にシュールなジャケット・デザインで、日本人の私からすれば想像の遥か斜め上を行くセンスだ。インドって色んな意味でやっぱり凄いわ(笑) 「アナログ・ミステリー・ツアー」で紹介されていたのを見て面白そうなので買ってみたが、手に取って見る実物は本で見るよりも遥かにインパクトが強い。
 マトリクスは YEX 949-1 / YEX 950-1 で、マトの字体から判断するとUK盤ともUS盤とも違うインド独自のローカル・カットのようだ。盤の重量は 162gで、UK盤(126g)やUS盤(121g)と比べても断トツに重い。しかし驚いたことに実際にこれら3枚を聴き比べてみたところ、音の良さは重量に反比例しており、US ≧ UK >>> IND ぐらいの差がある。一番分かりやすいのはA②「コールド・ターキー」で、麻薬の禁断症状の苦しさがビンビン伝わってくるUS盤に対し、インド盤の方は音が平板なためにジョンが意図した “のたうち回ってもがき苦しむような感じ” が上手く表現できていないように思った。
 とまぁこのようにこれら3枚を聴き比べた結果、私の重量盤信仰は木端微塵に打ち砕かれ、やはりアナログ・レコードの音を決めるのはカッティング・エンジニアの良し悪しなんだという厳然たる事実を再確認すると共に、ジョンのソロ作品はUS盤のサウンドが一番生々しくてエエなぁ... との思いを強くした。音に関する限り、私にとって先のジョージ盤は “当たり” でこちらのジョン盤は “イマイチ” だったワケだが、こういった当たり外れがあるからこそ各国盤蒐集は面白い。ジョンのインド盤はディフ・ジャケの珍盤として目で楽しむことにしよう。

ビートルズのスウェーデン盤特集⑤「The Beatles' Greatest Hits」

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 各国盤蒐集に首を突っ込んでからというもの、CDandLP.com というサイトをよく利用するようになった。ここはオークションではなくセット・プライスでレコードを買うシステムで、eBayやDiscogsに比べると知名度がイマイチなのか商品の回転が鈍く新規出品率が低いこともあってこれまでは気が向いた時に覗く程度だったが、この半年ほどはかなり頻繁にチェックしている。その一番の理由は独自の検索方法にあって、「アーティスト」「タイトル」「フォーマット」以外に「レーベル」「プレス国」「売り手所在地」などで絞り込みが出来るので、特定の国でプレスされた盤を探すときにはこの機能がめちゃくちゃ重宝するのだ。本部がフランスにあるせいか、フランス盤の掘り出し物が見つかることが多く、「ウィズ・ザ・ビートルズ」や「ビートルズ・フォー・セール」の仏オリジナルといった入手困難盤もここで買うことが出来たし、ヘタをすれば$300オーバーは覚悟しなければならないブルーノートの超人気盤「ボサノヴァ・ソウル・サンバ」をフランスのセラーから€100で買えたのもこの CDandLP.com だ。
 当然スウェーデン盤探しにもココを利用しない手はない。早速検索してみる30枚ほど出てきてそのほとんどが有象無象の70年代プレス銀パロ盤だったが、1枚だけ60年代プレスのイエロー・パーロフォン盤が出品されていた。ジャケットにはUS盤「サムシング・ニュー」と同じ写真が使われておりタイトルは「The Beatles' Greatest Hits」となっている。“へぇ~、こんな盤初めてみたわ...” と思いながら選曲を見てみると去年私が買ったデンマーク盤の「The Beatles' Hottest Hits」、通称「エスキモー・カヴァー」と全く同じだ。つまり同じ北欧のデンマークとスウェーデンでそれぞれ違うジャケットとタイトルを付けてベスト盤をリリースしたということになる。
 普通ならパスするところだが、その時点でスウェーデン盤の黄パロはまだ1枚も持っていなかったし、デンマーク盤とスウェーデン盤の音質聴き比べをしてみたくなったこともあって、私は即買いを決めた。後で知ったのだがこのレコードは結構なレア盤らしく、eBayでは $600という目の玉が飛び出るような高値で取り引きされていたし、Discogsでも“Virtually impossible to find even here in Sweden! (スウェーデン国内でも見つけるのは非常に困難)” という説明付きで$200~$400で出品されていた。それがわずか $75で買えたのだからラッキーラララである。
 現物を手にしてまず思ったのは、ジャケット写真のフォーカスが甘くてUSオリジナル盤「サムシング・ニュー」(←US盤嫌いやけど一応持ってますねん...)のジャケ写と比べてみても2~3回複写を重ねたようなピンボケ具合なのだ。特にリンゴなんかほとんどノッペラボウ状態で、もーちょっとクリアな写真使えよ!と文句の一つも言いたくなってくる。盤の重さは137gで、エスキモー・カヴァー(←何と173gというスーパーヘビー級!!!)に比べると遥かに軽い。さて、この重量差が音質にどう影響してくるのか、聴き比べマニアの私としては興味津々だ。
 A面1曲目の「アイ・フィール・ファイン」に針を落とすとスピーカーから飛び出してきた音は高音域が強烈で、耳に突き刺さってくるような鋭利なサウンドだ。全体的な印象としては凄まじい凶暴性を秘めたエスキモー・カヴァーの爆裂サウンドに非常に近いモノがあるが、このスウェーデン盤の方は中低域がややスリムなせいか相対的に高音域がキツく聞こえるので、プリアンプのトレブルを2目盛りほど絞って聴くとちょうどいい感じ(^.^)  マトリクス№(XSTS 115 1 / XSTS 116 1)は字体までエスキモー・カヴァーと全く同じなので、この中低域の厚みの微妙な違いは盤の重量差からくるのかもしれないが、どちらにせよ初期ビートルズの火の出るようなロックンロールを楽しむにはうってつけのアグレッシヴな音作りだ。
 今回このスウェディッシュ黄パロ盤を聴いてみて一番驚いたのは“幽玄”とか“清潔”といった形容詞で表現される後期アルバムのスウェーデン・プレス盤の音作りとはかなり違っていたことで、カッティング・エンジニアが違うと言ってしまえばそれまでだが、それにしても同じ国でありながら数年違いでこれほどまでに音作りの方向性が異なるというのも面白い。しかしベスト盤にまで手を出してしまうとは、何かどんどん深みにハマっていってる気がするなぁ...

ビートルズの「Greatest Hits」2種聴き比べ

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 前回は60年代にリリースされたスウェーデン盤の「グレイテスト・ヒッツ」を取り上げたが、当然ながら他の国々でも様々なビートルズのベスト盤がリリースされており、各国盤を漁っていると “どんな音するんやろ?” と興味をそそられるような盤に出会うことがある。
 そもそも60年代にリアルタイムでリリースされたビートルズのオフィシャル・ベスト盤と言えばUKオリジナルの「オールディーズ」ということになるが、珠玉の名曲が16曲も入っているにもかかわらずファンの間ではほとんど話題にも上らない。かく言う私もあのアルバムは一応持ってはいるがこれまでターンテーブルに乗せたのは数回で、今ではすっかりタンスならぬレコード棚の肥やし状態だ。何よりもまずジャケット・デザインがダサすぎるし、曲の配列もメチャクチャでセンスのかけらもない。
 更に悪いことにこのレコードのUKオリジナル・モノラル盤は音がこもっていて聴くに耐えない。ステレオ盤の方はまだ少しはマシだが、それでもまだ平均点以下の音質で、UKオリジナル盤なら何でもかんでも高音質と思って購入すると(←10年前の私です...)盤をブチ割りたくなる衝動に駆られるくらいガッカリさせられる。よって選曲・音・ジャケットと何一つ良いところが無い「オールディーズ」は聴くに値しない、というのが私の結論だ。そういうワケで、今回は各国盤蒐集の中で私が購入した2枚を取り上げて 60年代ベスト盤対決をやってみたい。
 まず最初はドイツ盤の「ザ・ビートルズ・グレイテスト」(SMO 73 991)で、例のドイツ原盤の輸出仕様レコード(ZTOXシリーズ)を探していてこのレコードの存在を知ったのだが、まず気に入ったのがその選曲だ。A面が「I Want To Hold Your Hand」「Twist And Shout」「A Hard Day's Night」「Eight Days A Week」「I Should Have Known Better」「Long Tall Sally」「She Loves You」「Please Mister Postman」で、B面が「I Feel Fine」「Rock And Roll Music」「Ticket To Ride」「Please Please Me」「It Won't Be Long」「From Me To You」「Can't Buy Me Love」「All My Loving」の全16曲入りで、初期ビートルズ最大の魅力であるエネルギッシュなロックンロール・ナンバーが満載なのだ。中々ええセンスしとるやん... ながら聴きするのにちょうどエエなぁ... などと考えながら値段を見ると€20だったので、ホワイト/ゴールド・オデオン・レーベルにもかかわらず(←手持ちの白金ラベルは「ペパーズ」以外みんな音がショボい...)衝動買いしてしまった。
 実際に聴いてみるとやはり音圧がかなり低く、60年代中期のドイツ盤によくある脆弱なサウンドだ。まぁこの不満はアンプのヴォリュームを思いっ切り上げてやるか、あるいはいっそのことモノ針で聴いてやればそれなりに解消されるが、どんな手を使ってもダメなものはダメなのがB①「アイ・フィール・ファイン」の音だ。何じゃいこれは??? 何をトチ狂ったのか、アルバム中でこのトラックだけ、風呂場か教会で聴いているかのような過剰なエコーがかけられた例のUSミックス(←US盤「ビートルズ'65」に入ってるヤツ)が採用されており、B面に針を落としてすぐにあまりの気持ち悪さと腹立たしさで針を上げざるを得なかった。このエコーまみれのアホバカ・ミックスはビートルズへの冒涜であり、ミキシング・エンジニアは万死に値する。他の15曲は全然問題のないステレオ・ミックスなのだが、こいつが入っているせいでアルバム全体の印象が悪くなってしまうという“蟻の一穴”盤だった...(>_<)
 この失敗にめげずに次に手に入れたのがニュージーランド盤の「ザ・ビートルズ・グレイテスト・ヒッツ Vol.1」だ。ジャケットはUS盤の「ビートルズⅥ」と同じ写真が使われており、先のスウェーデン盤が「サムシング・ニュー」と、上記のドイツ盤が「アーリー・ビートルズ」と同じ写真をそれぞれ使っているというのが面白い。A面が「Please Please Me」「From Me To You」「She Loves You」「I'll Get You」「I Want To Hold Your Hand」「Love Me Do」「I Saw Her Standing There」、B面が「Twist And Shout」「Roll Over Beethoven」「All My Loving」「Hold Me Tight」「Can't Buy Me Love」「You Can't Do That」「Long Tall Sally」ということで先のドイツ盤に比べるとより初期寄りな選曲になっているが、音質に定評のあるNZ盤でしかもこちらはモノラルなのでエコーまみれということはないだろう。同一内容のオーストラリア盤もあったがステレオ盤ということでパス。結局Discogsに£20で1枚だけ出ていたのをゲットした。
 聴いてみた感想としては音圧十分で非の打ち所のないモノラル・サウンドで、腹一杯ビートルズを聴いた!という満足感に浸れること間違いナシ。やっぱりビートルズはこの音でなくっちゃ...(^.^)と思わず頬が緩んでしまう爆音盤だ。因みにこのレコードのVol.2 はNZ盤ではリリースされなかったようで市場に出回っているのがOZオレンジ・レーベルのステレオ盤ばかりなのがちょっと残念だが、これだけの高音質で初期のヒット曲の数々が聴けることを考えれば、このVol.1だけでも十分にコレクタブルな逸品だと思う。

ビートルズのフィンランド盤シングル特集

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 この前 eBayでビートルズのスウェーデン盤を検索していた時、関連アイテムとしてフィンランド盤のシングルが何枚か出ているのを見つけた。しかもその商品タイトルが “The Beatles I Saw Her Standing There Finland 45 Misspelt Lennen” となっている。「レノン」ではなく「レネン」??? これを見て面白そうやん...と簡単に釣られてしまうところがレコード・マニアの悲しい性だが(笑)、レーベル写真を見てみると確かに曲名の下には (Lennen – McCartney) とクレジットされている。
 そう言えば昔、「探偵!ナイトスクープ」で “フィンランド人の名字には最後に「ネン」が付くものが多いけれど、それならばソヤネン、チャウネン、ナンデヤネンという名字の人もいるのか?” というフィンランド人の名字ネタの回があって、調査の結果フィンランド人の80%ぐらいが “〇〇ネン” さんだと判明。手持ちの「ナイトスクープ DVD Vol.4」に入っていたので久々に見てみたが、“アシカイネン” さんとか “アホネン” さんとかいったオモロイ名前がフィンランドの電話帳にずら~っと並んでいる。わざわざ “パーヤネン” さんという人に国際電話をかけて「アホちゃいまんねんパーヤネン」と言わせていたのにも大爆笑だ(^.^)  フィンランド出身のレーシング・ドライバーもハッキネン、ライコネン、コバライネンと、確かにみんな “ネン” が付いとるな。
 話をビートルズのシングル盤に戻そう。そのオークションは $1スタートで送料も安かったので遊び半分で $8つけてみたのだが、落札額は驚きの $21で私は軽くアウトビッドされてしまった。こんなマニアックなレコードを狙ってるヤツが他にもそんなにようけおったんかとビックリしたが、ほんの思いつきで衝動入札しただけなのでそれ以降そのレコードのことはすっかり忘れていた。
 しかしそれから数週間後に私はこのレコードと再会した。ちょうど「ウィズ・ザ・ビートルズ」の黄パロ・スウェーデン盤を落札したのだが、そのセラーが上記の「オール・マイ・ラヴィング / アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」のシングル盤も出品していたのだ。せっかくなのでダメ元で前回と同じ$8つけてみたところ、今回はライバルが1人しか現れず $5.50で落札。あの$21は一体何やってん???と少し拍子抜けしたが、逆にこういうラッキーがあるからeBayは面白い。ついでに落札した「ミッシェル / ガール」(←こちらはちゃーんと「レノン」表記になっていた...)もLPと一緒に送ってもらったので送料はかからないし、前回獲り損ねたのは却ってラッキーだった。
 マトは「オール・マイ・ラヴィング」盤が“7XST-309-1 / 7XST-310-1” で「ミッシェル」盤が“7XST-373-1 / 7XST-374-1” というローカル・カット。前者の音は可もなく不可もなくという感じの平均的なモノラル・サウンドで、低音がどうとか高音がこうとかいった派手さはないが、普通に音楽を楽しむ分には全く問題はない。一方、後者の方は音圧が高めでベースの音も太く、ヴォーカルも生々しい。以前特集したニュージーランド盤の時もそうだったが、45回転シングル盤の音は実際に自分の耳で聴いてみないとわからない。
 それと、後で調べてみてわかったことだが、Lennen のミススペリング表記になっているのは全31枚のフィンランド盤シングルのうち5枚目にあたるこの「オール・マイ・ラヴィング」と6枚目の「キャント・バイ・ミー・ラヴ」だけで、それ以外はちゃーんと Lennon 表記になっていた。なんでやネン???
 ということでビートルズの各国盤に明け暮れた2017年の当ブログもこれにて終了。1年間お付き合いいただきどうもありがとうございました。それでは皆さん、またライネン(^o^)丿

ヘレン・メリルのEP3枚ついにゲット!!! [Pt. 1]

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 新年あけましておめでとうございます。このブログを始めたのが2008年の10月なので今年でいよいよ10年目に突入ということになるわけですが、何事にも飽きっぽくて長続きしない私が10年も続けてこれたというのはやはり大好きな音楽について書いてきたからだからだと思います。昨年はドイツに始まりフランス、オーストラリア、ニュージーランド、そしてスウェーデンと、ビートルズの各国盤蒐集に明け暮れた1年でしたが、今年は一体どんな1年になるのか、今からとっても楽しみです。まぁ何にハマるにせよ、今年もマイペースで続けていけたらと思いますので、どうぞ宜しくお願い致しますm(__)m

 私はジャズ・ヴォーカルが大好きで、特にハスキー系の女性ヴォーカルには目がない。中でも一番の愛聴盤が「ヘレン・メリルとクリフォード・ブラウン」で、“ニューヨークのため息”と呼ばれるヘレン・メリルのハスキー・ヴォイスに突き抜けるようなクリフォード・ブラウンのトランペット、そしてオシー・ジョンソンの神業ブラッシュ・ワークが愉しめるという、ジャズ・ヴォーカル史上最強の1枚だ。
 全7曲の中で私が断トツに好きなのが「帰ってくれたら嬉しいわ」というこっ恥ずかしい誤訳の邦題(←帰って“きて”くれたら嬉しいのではなく、帰って“いく”のが嬉しいのであって、全くの正反対...)で知られる「ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」だ。もちろん曲そのものも大好きなのだが、何と言っても間奏部分でスピーカーから迸り出るクリフォード・ブラウンの歌心溢れるトランペットが最高で、これを全身に浴びたいがためにわざわざレコード・プレイヤーをトーレンスからガラードに買い換えたというぐらいの惚れ込みようなのだ。
 このレコードのもう一つの魅力はそのジャケットで、ヘレン・メリルのドアップにこれまた大写しになったマイクロフォンという構図がインパクト絶大で、眺めているだけで彼女の歌が聞こえてくるようだ。又、バックの鮮やかなブルーも印象的で、ヴィジュアル的にこれほど強烈にジャズを感じさせるヴォーカル・アルバムは他にないのではないかと思う。
Helen Merrill with Clifford Brown / You'd Be So Nice To Come Home To


 この「ヘレン・メリルとクリフォード・ブラウン」、一時期はアナログLPだけでもBig Drummerロゴの 1stプレス、Small Drummerロゴの 2nd プレス、そして Mercuryロゴの3rd プレスの3枚所有していたほどの溺愛盤で(←この3rdプレスは1stプレスや2ndプレスに比べて音が極端に悪かったので中古屋に売りに行ったらたまたま店主が外出中で、バイトの兄チャンが “これ高いヤツですよね!!!” とか言って12,000円で買い取ってくれた... 2,500円ぐらいいけば御の字と思っていたのだが... 一体いくらで店に出したんやろwww)、今でも1stプレス盤と 2nd プレス盤はレコード棚の特等席に鎮座ましましている。
 そんな私がこのEP盤の存在を知ったのはまだインターネットのイの字も知らずに足繁く大阪京都神戸のレコ屋巡りをしていた頃のことで、大阪日本橋にあった名店 EASTの佐藤さんに見せていただいたのがEP-1-6105 だった。歌唱シーンを別アングルから捉えたジャケットはその小さなサイズからは考えられないような圧倒的な存在感を放っており、私はひと目見て後頭部をビール瓶で殴られたような(笑)衝撃を受けたのを覚えている。佐藤さんによるとこれはアルバムの音源を3枚のEPに分けてリリースしたうちの1枚で、市場には滅多に出てこない激レア盤なのだという。おいくらですかと訊くと売り物ではないとのことだったので、私はその麗しのジャケットを目に焼き付けてお店を出た。
 それからというもの、行く先々のレコ屋でヘレン・メリルのEP盤を探してはみたものの、関西圏にそんな激レア盤を置いているお店などなかったし、数回に亘る東京遠征でも見つけることができなかった。コレクターズにも、ノスタルジアにも、スリーリーにも、ユニオンにも置いてない...(>_<)  それから何年か経ってインターネットを始め、パソコン画面上でEP盤3枚の存在を確認することはできたものの、3枚セットで10万円(!)という目の玉が飛び出るような高値で取り引きされているのを目の当たりにし、“あぁ、これは自分みたいな貧乏コレクターが手に入れられるような代物じゃないな...” と一旦はギヴアップした。 (つづく)

ヘレン・メリルのEP3枚ついにゲット!!! [Pt. 2]

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 3枚セットで10万円というニンピニン価格を見て “いくら何でもEP3枚でそれはないやろ...” と一旦は諦めたものの、心のどこかに“でもやっぱり欲しいなぁ... 何とかならんかなぁ...” という未練を残していたのも事実。そんな焼け木杭に火がついたのが今から数年前のことで、これらのEPが紙ジャケ3枚組の限定CDボックスで復刻され私は迷うことなく購入したのだが、精巧に復刻された紙ジャケを眺めているうちに “やっぱりコレはオリジナルの本物で手に入れたいなぁ...” という思いが沸々と湧き上がってきた。ドアーズじゃないが、まさにハートに火がついてしまったのだ。
 それからというもの、ネットを駆使してヘレン・メリルのEPを探す日々が始まった。ジャズのEPということでプレス枚数がめちゃくちゃ少なかったせいもあって見つけるのにかなり時間がかかったが、まず最初に手に入れたのが EP-1-6105(What's New / Born To Be Blue収録)で、Discogsでフランスのセラーからわずか €20で購入。盤質はG+ でちょっとヤバイかなとも思ったが一番大事なジャケットは一応VGだし、 “Permanent background noise. Scotch tape along edges. Please ask for details and pictures.” とあったので写真を送ってもらうと全然問題なさそうだったので即買いしたというワケだ。1週間ほどで届いたレコードはテープ跡も特に気にならないし盤質もG+どころかExレベルで大喜び\(^o^)/  これが€20やなんてホンマにエエんかいな。
Helen Merrill with Quincy Jones Sextet - What's New?


 次に手に入れたのが EP-1-6103(You'd Be So Nice To Come Home To, 'S Wonderful / Don't Explain収録)で、「ユード・ビー・ソー...」が入っているせいか、あるいは身をよじるように歌うヘレンを捉えたジャケ写の風格ゆえか、これはさすがにeBayでビッドが殺到... 不退転の決意で $200つけたところ、何とか $175で手に入れることができた。嬉しいことに届いたレコードは盤もジャケットもNM状態で、ヘレンの魅惑のジャケットを見ながらブラウニーの “スピーカーから勢いよく飛び出す” トランペットを満喫している。Who can wish for more??? (^o^)丿
'S Wonderful- (Helen Merrill)


 3枚セットの中でも最難関と思われるEP-1-6103 をゲットし、いよいよ残すところあと1枚。ターゲットはもちろん EP-1-6104(Yesterdays / Falling In Love With Love)である。ビートルズ各国盤祭りの真っ只中にもかかわらず、私は最後の1枚であるこのEPをトップ・プライオリティー扱いとし、来る日も来る日も探し続けた。その甲斐あってか2ヶ月ほど経ってついにeBayで発見、盤質はVG+ だったがスリーヴの上下共に完全スプリット状態ということもあってジャケット・コンディションはGランクだ。正面から見て問題なければ上下が裂けていようが気にならないので強気の$120で入札したところ、呆気なく$79で落札。半年ほど前に落札された時の値段が $237だったことを考えると笑いが止まらない(^.^)  待てば海路の日和あり、とはこのことだ。
Helen Merrill with Quincy Jones Septet - Falling in Love with Love


 ということで夢にまでみたヘレン・メリルのEP盤3枚セットをようやく手に入れることができてめっちゃ嬉しい。3万円ちょっとで揃えることが出来たので私としては大勝利と言っていい。一昨年あたりから大物狙いに徹して私的垂涎盤を1枚また1枚とゲットしてきたが、果たして今年はどんなレコードに出会えるのか... 日課となったネット・オークション・チェックが楽しみでしようがない今日この頃だ(^.^)

【追悼】フランス・ギャル特集

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 昨日の晩、いつものようにオークション・チェックをしようとパソコンを開いて何気なくヤフー・ニュース欄を見ると “フランスギャルさんが死去” というショッキングなニュースが目に飛び込んできた。えー、ウソやろ...(*_*)  私は今から十数年ほど前に901さんに「夢見るシャンソン人形」のシングル盤を聴かせていただいて、その昭和歌謡にも相通ずる哀愁のメロディーに一発KOされて彼女の大ファンになり、仏オリジナルLPやらEPやら(←60年代に活躍したフレンチ・ポップスの歌手はLPよりもむしろ4曲入りEP盤の方がメインという人が多かった...)を狂ったように集めまくったものだった。わざわざ仏和辞典を買ってフランス人のセラーとメールで交渉してようやく手に入れた彼女のレコードの数々は私の大切な宝物だ。今日はそんなレコードの中から選りすぐりの愛聴曲をピックアップして(←「夢見るシャンソン人形」はカヴァー曲も含めてこれまで何度も取り上げているので今回は除きます)彼女の早過ぎる死を悼もうと思う。

①Laisse tomber les filles(邦題「娘たちにかまわないで」)
フランス版ズンドコ節(?)みたいなリフが耳に残るこの曲は「夢見るシャンソン人形」と並ぶフランス・ギャルの代表曲で、様々なアーティストによってカヴァーされているイエイエの代名詞的なナンバーだ。ダンサブルなイエイエ・ビートに乗ってグルーヴするギャルが最高にカッコイイ(^o^)丿
France Gall - Laisse Tomber Les Filles (1964) HD 1080p Interactive.mp4


②N'écoute pas les idoles(邦題「アイドルばかり聞かないで」)
 上記①の三軒隣りに住んでいるようなこの②も印象的なリフが支配するイエイエ・ナンバーで、こちらはゲンスブール版「恋の片道切符」という感じ。アイドルであるギャルに「アイドルばかり聞かないで♪」と歌わせてしまうあたりがいかにも曲者のゲンスブールらしい。
France Gall - 1965 - N'écoute pas les idoles (Stéréo)


③Dis a ton capitaine(邦題「あなたのキャプテンに言いなさい」)
 心の琴線をビンビン刺激するマイナー調のメロディーを舌っ足らずでキュートなギャルの萌え萌えヴォーカルで楽しめるというキラー・チューンがコレ。それにしてもこのこっ恥ずかしい直訳邦題はもーちょっと何とかならんかったんか...
France Gall --Dis a Ton Capitaine


④Le temps de la rentrée(邦題「恋の家路(新学期)」)
 “ベンチャーズ歌謡”的な雰囲気を持ったこの曲は軽快なリズムに乗って炸裂するギャルのウィスパー・ヴォイスがたまらない。ダブル・トラック処理されたヴォーカルによるギャルの“一人二重唱” が曲の魅力を更に引き立てている。
France Gall "Le temps de la rentrée" | Archive INA


⑤Polichinelle(邦題「恋のためいき」)
 私が好きなフランス・ギャルの曲は昭和歌謡を想わせるマイナー調のナンバーが多いが、この「ポリシネル」という曲なんかもうその典型と言っていいだろう。鼻歌でも歌うかのように“ル~ル~ル~ル~♪” とハミングする彼女に絡みつくフルートが実に良い味を出している。
France Gall - Polichinelle


⑥Attens ou va t'en(邦題「涙のシャンソン日記」)
 昔ホンダCR-XのCMソングに使われたこともあるこの曲は哀愁舞い散るハーモニカのイントロからセンチメンタルなムードが横溢、2拍子のリズムに乗ってギャルが切々と歌うというまさに絵に描いたような名曲名演だ。そのアレンジの見事さにはもう脱帽するしかない。
France Gall. "Attens ou va t'en"


⑦La guerre des chansons(邦題「シャンソン戦争」)
 フランス・ギャルを舌っ足らずでキュートなだけのカワイコチャン歌手だと誤解している人はこの曲を聴けば彼女のヴォーカルのキメ細やかな表現力を実感できるだろう。オルガンを上手く使ったゲンスブールの器楽アレンジの妙も聴き所だ。
France Gall - La guerre des chansons (1966)


⑧Pense à moi(邦題「パンス・ア・モア」)
 フランス・ギャルの “裏の顔” とでも言うべき魅力が炸裂しているのがこの曲だ。デイヴ・ブルーベックの「テイク・ファイヴ」を裏返しにした様なこのジャジーなナンバーをも楽々と歌いこなしてしまう懐の深いシンガーがフランス・ギャルなのだ。
France Gall - Pense à moi (1963) (Restaurée)


⑨Jazz à go go(邦題「ジャズ・ア・ゴー・ゴー」)
 「ジャズ・ア・ゴー・ゴー」という曲名からも明らかなようにバリバリのジャズサウンドをバックに堂々たるスキャットを聴かせるフランス・ギャルにビックリ。「夢見るシャンソン人形」と同一人物とは思えないクールなヴォーカルがめちゃくちゃカッコイイ。
FRANCE GALL JAZZ A GO GO (1964)


⑩Boom Boom(邦題「ブーム・ブーム」)
この「ブーム・ブーム」は彼女の数多い隠れ名曲の中でも三指に入る名演で、ジャジーなイントロ、瀟洒なブラッシュ、雰囲気抜群のサックス、そしてアンニュイなギャルの歌声と、ソフィスティケーションの極みとでも言うべきメロウなポップスに仕上がっている。やっぱりフランス・ギャルはエエなぁ...
France Gall - Boom Boom

Jimmy Jones Trio

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 私にとっての2017年はビートルズ一色に染まった感があるが、当然ながらジャズや昭和歌謡といった他ジャンルの音楽も細々と聴いていた。正月ヒマだったので数えてみたところ、去年1年間に買ったアナログ盤のうちビートルズ関連が全体の70%以上を占めていたのに対し、ジャズはわずか10%にすぎなかったが、欲しい盤はほぼ買い尽くした感のあるジャズに関してはひたすら超大物盤狙いに徹し、先のヘレン・メリル盤のようにこれまで手が出なかったメガレア盤を1枚また1枚という感じで手に入れては喜んでいた。
 今回取り上げるジミー・ジョーンズという人はサラ・ヴォーンやアニタ・オデイ、ビヴァリー・ケニーといった女性ヴォーカリスト達の歌伴ピアニストとして知られているが、私が彼のプレイを初めて耳にしたのも前回取り上げたヘレン・メリル盤で、変幻自在なソロを聴かせるクリフォード・ブラウンのバックに回ってしっかりと引き立て役に徹するそのいぶし銀的なプレイを聴いて“この人、派手さはないけどめっちゃ巧いなぁ...”と感心したものだった。
 それからだいぶ経ってから、彼のリーダー作が1枚だけフランスのスウィング・レーベルから10インチ盤で出ているのを知ったのだが、色々調べてみると超のつくレア盤らしく、901さんの情報によると20万円(!)で取り引きされているというのだからディープなコレクターの世界は恐ろしい。20万円っていくら何でも盛り過ぎやろーって思った人がいるかもしれないが、ディスクユニオンのJazz Vintage Vinyl Want List Vol. 5 に載っている買い取り価格が8万円なので、実際に店頭に並ぶ時の値段(←買い取り額の3倍というのが相場らしい...)はだいたいそんなところだと思う。そういうワケで、このレコードに関してはオリジナル盤を手に入れようなどという大それた考えは微塵もなく、紙ジャケ復刻されたCDで十分満足していた。
 で、1ヶ月ほど前のことになるが、ビートルズのフランス盤をイーベイのフランス国内向けローカル・オークション・サイトである eBay.frで一通り調べ終わった後、 “フランス・ローカルなんやから、ひょっとするとインターナショナル・オークション・サイトに出てけぇへんようなフランス盤も出品されとるんちゃうか???” という素朴な疑問が浮かび、ほんの好奇心からデューク・ジョーダンのヴォーグ盤やらジョルジュ・アルヴァニタスのピリオド盤やらを検索して遊んでいた。
 その時ふと頭に浮かんだのがこのジミー・ジョーンズ・トリオである。どーせBMGビクターの日本盤しか出てけぇへんやろ... と思いながら検索してみると、案の定ビクター盤が我が物顔でバッコしていたのだが、有象無象の再発盤に混じって1枚だけ、いかにも年代モノという感じの風格を漂わせている薄汚れたレコードが出品されていた。ジャケットの上下左の縁はセロテープで補修されており、色合いも再発盤とは明らかに違う。何かめっちゃ本物っぽいけれど、VG++コンディションの盤がスタート価格€40で〆切があと1日というのに入札が無いなんてどう考えてもおかしい。不審に思ってこのレコードの再発歴を色々と調べてみたが、こんな超マイナー盤をアナログ復刻しているのは世界広しと言えども日本くらいのモンで、これが偽物である可能性は非常に低そうだ。“さては入札締め切り直前にビッドが集中して一気に €1,000超えとか十分あるな...(>_<)”などと考えながら迎えた〆切当日... しかし1時間を切ったというのに未だに入札ゼロだ。
 いつものように〆切10秒前からカウントダウンを開始し、“誰も来んなよ来んなよ...”と祈るような気持ちでスナイプしたところ、結局ライバルは1人も現れず、スタート価格の€40で落札。“来んなよ...” と言っておきながらいざ誰も来んかったら来んかったで “えっ? 何で誰も来ぇへんの? おかしいやん!” と不安になってくる。だから無競争落札に拍子抜けしながらも、稀少盤を超格安で買えた嬉しさが半分、ひょっとしてやっぱりニセモンちゃうんか???という疑いの念が半分というのが正直な気持ちで、レコードが届くまでの日々は仕事が手につかないぐらい不安だった。
 そんな私の気持ちが天に通じたのか、レコードはフランスからわずか6日で到着。はやる気持ちで梱包を解いてすぐに盤をチェックしたところ、センター・レーベルには50年代プレスの証しとも言うべきディープ・グルーヴ(DG)がちゃーんと刻まれている。おぉ、溝あるやんけ!と大コーフンしながらレコードに針を落とすと論より証拠、聞こえてきたのはまごうことなきオリジナル盤の生々しいサウンドで、A①「イージー・トゥ・ラヴ」なんかもうロイ・ヘインズの生々しいブラッシュの音にのけぞりそうになるし、腹にズシーンと響くジョー・ベンジャミンのベースもめっちゃ気持ちいい(^.^)  やっぱりピアノトリオはドラムとベースがスインギーに躍動するのが最高だ。そんなリズム隊に乗せられたのか、穏健派(?)のジミー・ジョーンズにしては珍しく時折り力強いブロックコードを織り交ぜながらコロコロと玉を転がすようなプレイで小気味よくスイングしており、例えるなら “ユンケルを飲んでパワーアップしたアーマッド・ジャマル”とでも言えばいいのか。この1曲だけで軽く元は取れたと言える、そんな名曲名演だ。
Easy to Love


 これに続くA②「リトル・ガール・ブルー」とA③「ラッシュ・ライフ」は原曲がスロー・バラードということもあってカクテル・ピアニストっぽいプレイに終始しているが、B①「スクイーズ・ミー」ではロイ・ヘインズの瀟洒なブラッシュに乗ってこの人の真髄とでも言うべき歌心溢れるピアノ・プレイが楽しめる。しかし一番の聴き物はジョー・ベンジャミンのウォーキング・ベースだろう。極論を言えば、ピアノトリオはベース良ければすべて良しなのだ。
 B②「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」とB③「グッドモーニング・ハートエイク」の2曲はまたまたスロー・バラードということであまり好みではないが、私としてはAB両面1曲目に配置された “軽やかにスイングする小粋なピアノトリオ・ジャズ” がオリジナル盤の轟音で聴けただけでもう大満足なのだ。
Jimmy Jones Trio - Just Squeeze Me

ノルウェー盤で聴く「ノルウェーの森」

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 洋楽の邦題には誤訳と呼べるものが少なくないが、そんな中でも特に恥ずかしい間違いがビートルズの「ノルウェーの森」だろう。中学生の時に買った国内盤(EAS)の歌詞対訳(by 山本安見)には、女性の部屋に案内されたくだりで “Isn't it good, Norwegian wood” を “ノールウェイの森みたいにシャレた部屋さ” と訳してあり(←“ノールウェイ” って何やねん...)、壁に鹿の剥製みたいなのが飾ってある暖炉付きの部屋みたいなのを勝手に想像していたのだが、それ以外の部分の訳にも意味不明な箇所がいくつかあってイマイチ腑に落ちないまま聴いていた。
 やがて大学生になり、音楽を通じて仲良くなったアメリカ人にこの歌の内容について尋ねたところ、“wood は「森」じゃなくて「木材」。Isn't it good は主人公ではなく彼女が言った言葉で、「素敵でしょ、ノルウェー産の木材を使ったインテリアよ。」という意味。” なのだという。ラストの部分はフラれた腹いせに彼女の部屋に火をつけた主人公が彼女の言葉を引用して「確かに彼女の言う通り、ノルウェー産の木材はよく燃えていいねぇ...」というシュールなオチなのだと教えてもらい、やっとこの歌の内容が理解できたのだった。
 しかしその後シンコ―ミュージックから出た「ビートルズ全詩集」(by 内田久美子)というハードカバーの豪華本にも “いいじゃないか、ノルウェーの森” というワケのわからん訳が載っているのを見て呆れてしまったが、逆に言えばそれだけ「ノルウェーの森」という邦題のインパクトが強かったということだろう。完全な誤訳とはいえ、村上春樹氏にインスピレーションを与えたことでも明らかなように、言葉の響き自体はカッコ良くてセンス抜群だ。この邦題を付けたのは担当ディレクターの高嶋弘之氏だが、彼の頭の中には「ラバー・ソウル」のジャケットでビートルズのバックに写っている鬱蒼とした森のイメージがあったのではないか。そしてシタールの神秘的な響きを耳にして天啓的に「ノルウェーの森」という邦題を思いついたのではないかと勝手に想像しているのだが、果たして真相は如何に???
 で、いよいよココからが本題だ。音楽ファンなら誰しも “一度は聴いてみたい” レコードが1枚や2枚はあると思う。私の場合はそれが “ノルウェー盤で聴く「ノルウェーの森」”で、かなり昔から “もしあったら聴いてみたいなぁ...” と思っていたが、その当時はまさか自分が将来各国盤にハマるなどとは夢にも思わず、自分でも一種の “ないものねだり” 的なレコードとして捉えていた。
 しかし半年ほど前に見つけた“The Beatles Bible”というサイトの Discographies というページでノルウェー盤の項目を発見、“まぁどーせEP盤ばっかりやろ...” と思いながらも一応覗いてみると、何と「ハード・デイズ・ナイト」から「レット・イット・ビー」までの8枚のアルバム(←何故か「ホワイト・アルバム」は載ってなかった...)が出ているではないか! その中には当然「ノルウェーの森」が入ったアルバム「ラバー・ソウル」も含まれており、“え~、ホンマに実在するんや!!!” と驚きながらも次の瞬間には “一度は聴いてみたい” というレコード・マニアならではの好奇心にスイッチが入ってしまった。
 私はこれまで検索したことすらなかった“Beatles / Rubber Soul / Norway” をeBay で探してみたが1枚も出ていない。Discogs で調べてみると確かにそのレコードの存在は確認できたものの、当然ながら1枚も出品されていないどころか、200を超える“ほしい”エントリーを見て自分の甘さを思い知るハメに...(*_*)  一体どれほどレアなのだろうと popsike で過去の販売実績を調べてみると、何とこの10年間でたったの5枚! つまり2年に1枚出るか出ないかのメガレア盤ということだ。€150(20,000円)~£250(36,000円)という落札価格からも競争の激しさが伝わってくる。私は “まぁ生きてるうちに聴けたら御の字やな...” と半ば諦め気分でパソコンを閉じた。
 しかし2ヶ月ほど前にドイツ原盤の輸出仕様レコードをイーベイのドイツ国内向けローカル・オークション・サイトで調べていた時に(←最近このパターン多いよな...)関連アイテムの中に「ラバー・ソウル」のノルウェー盤が出品されているのを偶然発見。これはエライコッチャである。ドイツ盤なんぞに構っている場合ではない。
 とにかく黒々としたオールド・タイプのパーロフォン・レーベルは風格すら感じさせるカッコ良さし、値段もBUY IT NOW €100という超お買い得価格で、更にオファー(値下げ交渉)も可能だという。eBay.deの商品説明は基本的にすべてドイツ語なので翻訳サイトにかけてみると“Cover has a crack, disk is running well by.”(カヴァーに裂けあり。盤は針飛びなし。)とのこと。写真で見る限りジャケットの裂けはそんなに酷くなさそうだし、ジョージの鼻っ柱の部分にステッカー剥がし跡があるがその程度のことを気にしてこの千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないので、試しに €90でオファーしてみたところすんなりOKが出て即落札。まさかこんなにあっけなくノルウェー盤「ラバー・ソウル」が手に入るなんて夢にも思わなかったが、とにかく嬉しくて嬉しくて、レコードが届くのを一日千秋の思いで待った。
 届いた盤の状態はVG++といったところで所々でポップノイズが入るが気にならないレベル。UKマザーでマト枝番は -4/-4 だが、プレス枚数が極端に少なくてスタンパーの劣化が少ないのか、非常に生々しい音が愉しめる。ただ、このレコードは中低音域がスベッたとか高音域がコロンだとかいう風に分析的に聴くのではなく、“自分は今、ノルウェー盤で「ノルウェーの森」を聴いてるんや...(^.^)” という自己満足(笑)に浸りながら聴くのが正しい。まさに “思い入れ一発で聴くレコード” なんである。それにしてもこの曲ってこれまでに何百回何千回聴いたかわからないが、聴けば聴くほど味わいと深みが増すエエ曲やなぁ...(≧▽≦)
 そういうワケでついに聴くことが出来たノルウェー盤の「ノルウェーの森」。送料を€14も水増し請求されたのは気分が悪いが(←ホンマにドイツ人はやることがセコイわ!)それを含めても長年の垂涎盤を14,000円で入手できたので私としては大満足だ。「ミッシェル」のフランス盤も手に入れたし、次は「オブラディ・オブラダ」のナイジェリア盤でも探すかな...(笑)
Rock Band The Beatles - Norwegian Wood (R.C.C)

The Beatles USB Box ①【USBボックス衝動買い篇】

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 ついに買ってしまったビートルズのUSBボックス... いわゆるひとつのハイレゾである。発売は2009年で、例のリマスター音源を24 bitの高音質で聴けるということでかなり話題になっていたアイテムだが、 ハイレゾといってもFLACとかWAVとかALACとかDSDとか色々ありすぎて何がどう違うのかが全く理解できず、曲を収録したUSBメモリーを手持ちのオーディオシステムでどうやって再生すればいいのかサッパリ分からなかった私は “ハイレゾで聴くビートルズ” に興味を引かれながらもこの数年間ずーっとスルーしてきたのだった。
 ところが先日、ネットオークション検索でたまたまUSBボックスを見かけたので興味本位に値段を見てみると何と発売当初の2倍近いプレミア価格になっている。そういえば全世界3万個限定(←ホンマかいな?)とかやったっけ... これは早いこと買うとかなヤバイんちゃうか?と焦った私は早速ネットでチェック。アマゾンは日米英すべて5~7万円というボッタクリ価格で全くの問題外だったし、eBayでも送料込みで$300オーバーのものがほとんどだった。
 最後の砦であるヤフオクを見ると、ラッキーなことに1万円台後半という超お買い得価格で出品されているのを発見。灯台下暗しとはこのことだ。セラーの評価があまりよくないせいか、〆切まであと1日なのに0ビッド。私は海のモノとも山のモノとも知れないハイレゾに大金を使いたくなかったのでコレを逃す手はないと入札を敢行、ライバル2人を蹴散らして結局20,500円でゲットすることが出来た。
 しかし本当の問題はここからで、USBメモリーが届いてもどうやって鳴らせばいいのか全く分からない。そこで早速“ハイレゾ、パソコン、オーディオに繋ぐ”でググってみたところ、「PCを使ってハイレゾ音源を再生するには?」という記事を発見、読んでみると実に分かりやすく解説されており、PCオーディオ・ド素人の私にでも何とか理解できる内容だ(^.^)  記事によると私が準備しなければならないのは USB DAC という装置だけで、それを介してパソコンとアンプを繋げばウチの巨大スピーカーで超解像度のハイレゾ再生が楽しめるらしい。
 その記事の中でハイレゾ入門用オススメ機種として挙げられていた DAC をいくつかアマゾンでチェックすると、中古品なら2万円台後半からありそうだ。私は最終的に KORG DS-DAC-100 と DENON DA-300USB の2機種に絞り、値段が5,000円ほど安い KORG の方に気持ちが傾きかけていたのだが、“ギャップレス再生機能(←曲間に無音部分を挿入せず継ぎ目なく連続的に再生する機能)が無いと「アビー・ロード」のメドレーは悲惨” というアマゾンのレビューを思い出し、念のために確認すると KORG に付属のソフトウェア「Audio Gate 3」はギャップレス再生に対応していないという。あ~危なかった(>_<)  今回のUSBボックスだけでなく今まで宝の持ち腐れだった「ウイングス・オーヴァー・アメリカ」のハイレゾ音源もやっと聴けるようになるというのに、もうちょっとでライヴの臨場感が台無しになるところだった(汗)
 ということでアマゾン・マーケットプレイスで目を付けておいた DENON の中古品を買おうと再び商品ページを開いてみたら、何とさっきまであった商品が無い!!! 最安値で尚且つ “非常に良い” の表示があったブツがタッチの差で売れてしまっていたのだ。う~ん、ショック...(>_<) 他の商品は “可” 表示だったり何千円も高かったりでどうしても買う気になれない。私は仕方なく即決を諦め、しばらく様子を見て良い出物が出品されるのを待つことにした。
 しかしその翌日のこと、仕事の休み時間にダメ元でマーケットプレイスを覗いてみると、何と私が逃したのよりも更に安い23,000円のブツが新たに出品されているではないか! しかも “非常に良い” 表示のAランク(美品)で付属品完備ときたモンだ。私はその場で即決し、結局アマゾンの5,000ポイントを差し引いた 18,000円で USB DAC を手に入れることが出来た。 (つづく)
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