いつもビートルズ関連のブートレッグを買っている福武多聞堂から来たメールマガジンを見ていて“XAVELレーベル監修のオリジナル・ディミックス&リマスター・シリーズ” という項目が目に留まった。面白そうなのでクリックしてみると、以前このブログで取り上げた武道館ライヴの「聖域番外地」や映画「レット・イット・ビー」の2024ニュー・マスター・ブルーレイ盤などが載っていたのだが、その中で私の興味を引いたのがこの「原色のスタークラブ」だった。
早速商品説明を見てみると、“ハンブルグ時代の初期ビートルズの集大成として有名なスタークラブでのライヴが、これまで出回ってきたいかなる音源とも一線を画す強烈なサウンドで登場! 大好評の武道館ライヴ『Please Don’t Go Home “聖域番外地”』に続く、XAVELレーベル・プロデュースのオリジナル・ディミックス&リマスター・シリーズ第2弾” とある。
更に読み進めると、“現存する最良の状態のマスターを2024年最新のAIを用いてディミックス処理。ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムといった複数のトラックに分離された素材を圧倒的なバランスのステレオ・サウンドに再構築。さらに入念なリマスター作業によって音の細部にわたり極限まで磨きあげるという、これら一連の作業の全てをXAVELレーベル監修のもとに行った完全オリジナルのスタークラブ・ライヴ” とのこと。
Xavel レーベルはその過剰なまでの自画自賛インフォで有名なのでいつも眉に唾を付けて商品説明を読むようにしているのだが、“各パートのセパレート感、定位感はこれまでに出回っていた他のディミックス音源とは別次元の驚異的なもので、その迫力には誰もが息をのむ。さながらこれまでは会場内の最後方席から鑑賞していたライヴを、今作では最前列フロントロウで楽しむことが出来るような、そのぐらいの差がある” とまで言い切られては、これはもう自分の耳で確かめてみるしかない。
ただ、Xavelのこのシリーズは第1弾「聖域番外地」こそ定価2,800円と許容範囲内の値付けだったが、この第2弾「原色のスタークラブ」は2枚組ながら4,000円、更に第3弾「ハリウッドランド・フォーエヴァー」(3枚組)に至っては8,200円と常軌を逸した値付けがなされているので、音を聴かずに買ってハズレだった場合のリスクを考えると正規盤を買うのはためらわれる。紙ジャケとか帯とかいった意味のないことをやらんでええからその分値段を下げればいいのに。私は他の業者が出しているコピー盤を1,600円で買った。音さえ同じならプラケース入りのCD-R盤で十分だ。
で、肝心のディミックス&リマスター・サウンドに関して言うと、“最前列” を期待して聴くと肩透かしを食う。単体で聴いてもそれほど凄い音には思えないのだ。しかし2台のCDプレイヤーを使って同じトラックを上記のムーンチャイルドイルド盤と交互に聴き比べてみると、確かに距離感は近くなっていて、音質向上は間違いない。高音域を強調し過ぎなのかシンバル音がひしゃげて聞こえるところもあるが、全体的に言えばこれまで聴いたことのあるスタークラブ・ライヴの音としては間違いなく最上位と言えるだろう。まぁマスターテープの音自体がプアーなので、現在のテクノロジーをもってしてもこれくらいが限界なのだろうし、これを超えるには、映画「ゲット・バック」で名を馳せたピーター・ジャクソン監督の AI技術を駆使して “スタークラブ・ライヴ” をオフィシャル・リリースしてもらうしかないと思うのだが、さすがにそれは権利関係で無理かな...(>_<)
私はビートルズの火の出るようなロックンロールを楽しむなら「BBC ライヴ」かこの「スタークラブ・ライヴ」が一番と信じている人間なので、音質が向上したこの「原色のスタークラブ」は買って正解だった。音が良くなったことも喜ばしいが、最近聴いてなかったスタークラブのライヴを久々に聴いて初期ビートルズ熱が再燃(←しょっちゅう再燃してるけど...笑)したのが何よりの収穫だ。